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0787・ウェズベア森での出会い




 朝食が終わった妾は家の外へと出ると2人を待ち、いつも通りの素材収集へと出ていく。

 適当にダラダラとしつつも回収していくが、やはりユウヤとオウカの2人も昨日のダメージを引きずっておった。

 流石に疲れたらしいな。



 「昨日のアレは相当に大変だったからな、流石に今日はゆっくりしたい。あそこでの戦闘に次ぐ戦闘は、本当に芯から疲れた。あそこまでワラワラと出てくる場所もそうそう無いだろ」


 「アレを一度経験すると他の場所は楽だとしか思えません。私でも前に出て敵を倒せますしね。昨日の戦闘での最後の方は、前に出る気力も湧きませんでした。本当に疲れるって、ああいう事を指すのでしょう」


 「本当の意味で大変だったのは間違いない。でも、あの大変さはそれなりにあったりもする。このゲームでは初めてだったけど、私達は経験があるし」


 「そうね。だからこそ、まだマシなのかもしれないけど、その私達でも大変だったわよ? どこまで行けば終わるかは分かってるけど、そこまで行くのにランダムだからさ。そういう意味ではよく出来てるんだけど」


 「ランダムだと、どこまで行けば先へと進めるか分からないからなぁ。次の階への階段を虱潰(しらみつぶ)しに探さないと見つからないし、そうなるとギリギリの時は辛い。その事が追い打ちを掛けてくる」



 魔隠穴で採掘をしながら話をするが、周りのモンスターは仲間達が倒してくれておる。

 特に疲れた訳でも無い感じからするに、この辺りは作られたデータという感じがするのう。

 何故か悪魔や天使は疲れとるが、これは専用のAIでも積んでおるのであろうよ。


 それはともかくとして、妾達は碌に戦う事もなく、採掘を終えたら魔隠穴を出た。

 その後はバイゼル山に行って採掘し、それが終わったらウェズベア森へ。

 既に幾つかのチームがここで狩りをしておったが、妾達も狩っていく。


 適当にスライムなどを狩っていると近くにウェルズベアー・エリートが出たので、立ち上がった時を狙ってオウカが首を一閃。切り飛ばした。

 意外と言ってはなんじゃが、上手くやるではないか。



 「流石に私もそこまで下手ではありませんよ。皆に置いて行かれまいと、色々とやってみていますしね。槍を薙刀のように扱うのも、だいぶ慣れてきましたので


 「そういえば、そなた薙刀の方が得意というか、それを習っておったのじゃったのう。おそらくはしっかりとした流派なのであろうし、ならば大丈夫であろう。現代の巫女は弓じゃしな」


 「現実で覚えた技は役に立つ。でもVRに合わせて改良はしなくちゃいけない。でないと上手くいかないし、どうにも動きがおかしくなったりする。弓はそこまででもないけど、刀とか薙刀は癖が出る。昔、そんなのが居た」


 「そういえば居たなぁ。コトブキに剣術流派のヤツが喧嘩を売ってきて、フルボッコにされてた事があった。懐かしいけど数回ボコボコにされたら見なくなったから、あれ多分だけど引退してたと思う」


 「流石に現実の流派の名前を出してボコボコにされたんじゃ、恥ずかしくて顔を出せない。さらに言えば、同じ流派の人に見つかったら終わり」


 「あれはねえ……コトブキも若かったというか、容赦の無かった時代だから仕方ないのよ。あの<BUSHIDO>でギラついててオラついてた時だし、その時に喧嘩を売ったらどうなるかは……」


 「あの頃のタマは素晴らしかった。抜き身の刃を超えるような切れ味で、近寄れば切られるんじゃないかと錯覚した事もある。あれは素晴らしい」


 「そう思うのはアンタだけで、私達は気が気じゃなかったわよ。表面は変わらないけど中身は抜き身の刃で、しかもその剣気が漏れてるしさ。おかげで、いつ人を斬るのか本当に心配してたわ」


 「ちょうど天兵さんに会う前ぐらい。会ってからは徐々に落ち着いていったけど、代わりに内側でさらに鋭くなった。それもそれで悪くは無いし、切れ味は鋭くなってる。とはいえ……」


 「ほんに現代の巫女はブレんのう……。沈女(しずめ)を見ておるようで呆れるしかないが、ほんに変わらん奴らじゃ。っと、ウェルズベアー・エリートと誰かが戦っとるぞ?」



 妾達が戦っとる奴らを見ると、それは2人組の女子(おなご)? であった。

 1人は長身の割と綺麗な顔をしておる。

 もちろん妾には圧倒的に負けるがの。

 そしてもう1人は太マッチョの女装ゴリラじゃ。


 どうにも掲示板でそんな奴らを見たというか、読んだ気がするのじゃが……妾の気のせいか?

 どう考えてもアレな奴らの(かしら)であろう? あのゴリラ。



 「ぬぅん!! ……んー、出ねえなぁ。金になるのはいいが、こんなに皮が出ねえんじゃ無駄な時間を過ごしてるだけになっちまうぜ?」


 「とはいえ皮が出れば儲かるんだからいいじゃない。そもそも急いでないんだし……って、あら?」



 長身の方が妾達に気づいたので、こちらから挨拶をする事にした。

 こやつら艶女(えんじょ)組とかいう男達のクランであろう。

 掲示板で見るが、ゴリラの方が<テツオ>で長身の方が<マール>じゃな。



 「初めましてー。まさか掲示板で有名な人達がウェズベア森で狩りをしてると思わなかったよ。ちょっと驚き」


 「初めまして。掲示板でも濃い目の人達と会うとは思わなかった。予想外」


 「その言い方どうなんだよ。初めまして、俺達もちょうど狩りをしてたんですよ」


 「「「初めまして」」」



 妾も無難に挨拶をしておく。

 別に無理に挨拶でどうこうと言う必要も無いし、適当でいいじゃろう。

 そもそも人前では珠のフリをするのが無難じゃからのう。

 そもそも妾の話し方じゃと、珠が妙な誤解をされかねん。



 「あらぁ、初めまして。それにしても可愛い子達ねえ。遠くからチラリと見た事があるけど、話すのは初めてだわ」


 「おお、本当だな。初めましてだが、オレの事は知ってるだろう。一応言っておくと、オレが艶女(えんじょ)組のリーダーでテツオだ。ちなみにオレがリーダーをしてるのは、最近のこの界隈はマナーを守らねえヤツが増えたからなんだよ。オレ達は古き良きマナーを守るカマだからな」


 「古き良き……というのですか? 他の方に迷惑をかけないのならば、どんな事をしていようが自由だとは思いますが……。そんなにマナーを守らないのが多いので?」


 「まあな。昨今の若いヤツは相手が何も合図を出してないのに襲うんだ。まあ、オレもヘイホーのヤツを襲いそうになった事があるんで他人の事は言えないんだが、それにしても多いんだよ。相手の事を考えるのが先だってのにな」


 「そうねぇ。相手が私達でも良いと言ってくれないと、そもそも成立しないのよ。だから私達の先輩方も、古くから隠語とか合図で確認してきたの。銭湯で足首にカギを付ける、とかね?」


 「ああ、なんか都市伝説で聞いた事があるけど、あれってガチだったのか……。言われてみれば納得はするが、そうと知らなきゃ勝手にやってるかも」


 「そうなのよね。ノンケの人でもやったりするから間違わない合図に変えたりとかね。他にも色々とあるんだけど、そういう過去を知るとそれはそれで面白いのよ……っと、ごめんなさいね。面白くなかったでしょ?」


 「そんな事はない。そういうのは私達には絶対に分からない事だから、聞いている分には面白い」


 「それならいいんだが、それよりモンスターと戦いに来たんじゃないのか?」


 「そこまで私達も戦いたいって感じじゃないの。いつものルーティーンみたいな感じかしら? それでしているだけだから、そこまでモンスターを求めてないかな。それよりウェルズベアー・エリートの皮を求めてるの?」



 おっと、これはもしかして語る気かの? 別に構わんが。


文芸・歴史カテゴリの「式神と霊兵」が120話を超えました。宜しければご一読下さい。

https://ncode.syosetu.com/n5672me/

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