0785・帰る前と帰ってからの雑談
「スキルレベルがビックリするぐらい上がったんだけど、これってそれだけの戦闘をしたからよねえ」
「それしかないでしょう。流石にあの地獄で何も無かったらクレームものですよ。偶然上がるところだった……という感じもしませんし。となると中級に上がらなかった理由がありそうな……」
「死闘?」
「それはあるかもしれないわね。MPなんて枯渇したし、それでも進まなきゃいけなかった。案外そういう経験ってした事なかったし、それが原因だったのかも。そう言われたら反論が出来ないもの」
「死闘を経験しなきゃ上がらないか。可能性としてはあるかもな。魔法をメインにしている連中の中には既に中級に上がってる奴らは居るし、掲示板でも見る。俺達はどちらかと言うと物理メインだからなぁ」
「だからこそ継戦能力は高いですからね。コトブキさんが暴れてくれると、本当に継戦能力高いですし。それが原因と言われても分かる気がします」
「死闘を経験しておらぬから駄目じゃ。と、言われたら返す言葉が無いのう。確かに死闘の一つも経験しておらん者が何を偉そうに言う? というのは当然ある。となると、上に上がるには死闘の一つも経験せねばのう」
「私達までそうなってるのが腹立たしいけどね。能力が随分と減ってるし、確かに復活してから死闘は経験してないけどさ。それにしても、やってくれると思うわよ。稀人と一緒に居るからかしら? こんな状況なのは」
「まあ、ゆっくりと取り戻していけばいいと思いますよ。無理に急ぐ必要もありませんしね。何より、そこまでしても芯まで削られるだけです。あまり何度も経験したい事ではありませんからね」
「それはね。私達だって経験したくないさ。何より暗闇ダンジョンの70階に到達するのが、あんなに大変だなんて知らなかったよ。あそこまで数が多くて厳しいとは……」
「無理に突破した感じだから、あそこまで大変だったんだと思うよー。それでも、もうしなくていいから楽だけどー」
「本当にね。とりあえず私達をマイルームに戻してくれる? もう疲れたから、ゆっくりしたいわ」
ラスティアの言葉の後、妾達は仲間を戻し家へと戻った。
その後は解散して、妾達はソファーの部屋からマイルームへ。
訓練場に居たファルに呼び出す事を伝えて、ソファーの部屋へ移動。
呼び出して夕食の手伝いに行かせた。
その後はマイルームへ戻り、倉庫の部屋でお金を取り出しながらプレイヤーマーケットを調べる。
そして自分が知らない触った事の無いアイテムを手当たり次第に購入。
記憶を探りつつ金に飽かせて、どんどんと買ってやった。
そして手に入れたアイテムを一つずつ手に持ちながら【鑑定】していく。
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※スキル:【総合鑑定・中級】が規定のレベルに達したので、【総合鑑定・上級】にランクアップします。
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やはりキャスティの言っておった通りか。
己の手で実際に触る事に意味があったわけじゃな。
言われてみれば当たり前というか、こういうところにも星が分かれておる意味があるわけだの。
あの二人は疲れておるかもしれぬが、倉庫の中の物を【鑑定】しておいてくれと言っておかねばならんな。
訳の分からぬアイテムも多いが、そこは気にせんでもええじゃろ。
妾も疲れたが、とにかくやるべき事は終わったのでソファーの部屋へ。
すると童女達は揃っており、現代の巫女が自然に腕を絡めてきおった。
「そなたらマイルームでゆっくりと休まなんだのか?」
「その言葉はそっくり返させてもらうわ。おそらく同じ事を考えたんでしょうけど、マイルームに居て時間を気にするより、ソファーの部屋で気を抜いていた方が楽なのよ。面倒も無いし」
「まあ、それはそうじゃが、結果的に天使や悪魔を連れて来なければいかんところに変わりは無いぞ? 誰も連れて来ておらんし」
「そのまま放ってきた。アルゼルは早速お菓子を食べていたから、結構なストレスが掛かってたっぽい。ダンジョン攻略中も食べてたけど、それでも解放されてからのお菓子は美味しそうだった」
「それはそうでしょうね。それよりナミは何をしていたのですか? 少々遅かったですけど」
「妾は天使の国のアイテムとか、見知らぬアイテムを買い漁っておった。キャスティが自らの手で持った物を【鑑定】せねばとヒントを出しておったからの、御蔭で【総合鑑定・上級】になったわ」
「ゲッ!! っていう事は、いちいち自分で手に持って【鑑定】しなきゃいけないってこと? 厄介な仕様にしてあるわねえ。何でそんな面倒な形にしてあんのよ」
「自分の手に持った方がより分かるからでしょ? となると、プレイヤーマーケットで見えている情報って【鑑定】スキルにとっては全くのプラスになってないって事だね」
「ですね。流石にこの仕様は落とし穴というか、運営のしてやったりっていう顔が目に浮かびます。言われてみれば分かりますが、気付かないのが悪いと言われたら……」
「反論が出来ないわね。死闘の事といい、何か色々と隠れていて厄介ねえ。多くのデータが隠されてるからだけど、隠されていないと簡単に暴かれてつまらないし」
「すぐに効率厨が上に上がってくるという、面倒な事にしかならない。効率を突き詰めると言えば聞こえはいいけど、それは単なる作業ゲー」
「ですね。作業になったらゲームをしている意味がありませんし、チャートで全て暴かれたら、もう誰がやっても似た結果です。それにいったい何の意味があるのかと」
「そうやって面白さが失われていくのよね。そうなるぐらいなら謎でいいわよ。体感とか経験とか、そんなアバウトな情報から何となくで選んだって悪くないわけだしさ」
「なんとなくこっちの方が強そう。なんとなくあっちの方が良さそう。レトロゲームなら良くあること。そして実は失敗していたまでがお約束。でも、そういうのも悪くない経験」
「本当にね。そんなこと何度もあったけど、そういう失敗があるから面白いのであって、失敗しないゲームに意味があるのかしら? 間違えて苦労して、何とか突破してから凹む。あるあるだけど、悪くないわ」
「そうなの?」
「そういうもの。攻撃力に惹かれて装備したら、実は命中力が下がって当たらないとか。防御力の高さに惹かれて装備したら、実はどこかに弱点があったとか。そういうのは多い」
「トラップみたいにしてあるんですよね。そして装備から外して売り飛ばすんです。でも命中力を底上げするアクセサリーとか、弱点ダメージを無くす他の装備が実はあったりして、後で損したと思うまでが思い出なんですよ」
「そうそう。そういった失敗があるから記憶に残るの。昨今のゲームって記憶に残る物は少ないけど、そういう失敗をし辛いようにしてあるからでしょうね。昔のゲームなんて不親切なくらいに情報が出てこないし」
「ハンマー系は攻撃力が高い。からの、あんな重い物の命中力が高いわけないだろ。までがセット。命中力の事は表示されないから想像するしかない」
「ありますね、そういうの。後は攻撃回数ですか。二回攻撃、三回攻撃だけど攻撃力が低すぎて碌なダメージが出ないとか。そういうのもあるんですよ」
「なんか、ゲームっていうのも色々と大変なんだね」
「大変だから楽しいのよ。その大変さが無いと楽しくもない。何故なら心が動かされないから」
「熱中するのは心が動くからであり、簡単なゲームじゃ心は動かない。これは現代のゲームもレトロゲームも同じ。むしろレトロゲームはそういう事が分かってない時代だったのに、核心を突いていた事になる」
「理不尽すぎる難易度はアレですけど、当時の子供はキレながらゲームをしていたと聞きます。そこまでの怒りを持つから記憶に残るんでしょうね」
キレながらというのも凄いのう。
とはいえ珠の記憶を漁れば分かるがな。
ようもあんな理不尽な物を作るものじゃ。




