0777・武術大会の終了と説明
「あーあー! 結局、最後の最後でつまらない試合になっちゃったかー!! 最初から前に出てブチのめしておくんだった」
「トモエは無手でも戦えるんだから、あえて誘えば良かった。相手の首を折る事もできたはず。私は無理だから自ずと限界がある」
「ごめんね。最初に落ちるとは思わなかったけど、すっかり相手が弓を持ってるのを忘れてた。まさか鞭を持って出てくるとは思わなかったし、私の盾だと防ぎにくくて仕方なかったからさー」
「ラウンドシールドでしたし、そこを避けるように攻められていましたからね。相手が上手かったと言うべきですけど、まさか決勝でだけ武器を変えてくるとは思いませんでした」
「多分だけど相手さん、最初から俺達の事を見て対策を立ててたんだと思う。いつも通りのメンバーなら絶対に勝ってるんだけど、いつものメンバーが一人足りなかった事が敗因だろうな」
「いつものメンバーですか? それはいったい……」
「コトブキよ。いつもだとユウヤが前衛、私が中衛、イルが後衛。そしてコトブキが遊撃……っていうか、敵陣突入要員? で、相手陣営に突っ込んで引っ掻き回すの。どうせ突っ込んでも生きてるし」
「うわぁ……それは酷い。前からプレッシャーを掛けられるわ、突っ込んできた人が無双するわ。それって何ていう拷問でしょう?」
「言いたい事は分からなくもないけど、対抗する人は居るわよ? まあ、滅多に居ない事は事実だけどね」
「うん、ほとんど居ない。弓矢を射かけてもフレンドリーファイアするように動くし、味方の当たり判定が無い場合でも煙幕に使ったりする。そこを警戒して切りかかると、カウンターで斬られるだけ」
「ダメージのゲームならもっと酷い。ひたすら死ぬまで斬られ続ける。むしろそっちの方が拷問だろうな。そういう場合はスキルを使わないで延々と切り裂いてくるから」
「アレって十分に地獄よね。刀の刃が自分の首を滑っていくのにダメージで死なないとか、恐くて仕方がないもの。実際それでトラウマになった連中も居たし」
「居た。首筋を刃物が滑る感触が嫌過ぎて、コトブキを見ただけで避けるほどのトラウマ。そういう連中を量産していたのも同じ? 今回の相手も多分トラウマになってるはず」
「そんなもんは知らんの、戦場に出てきた時点で覚悟があると見做す。そもそも戦いとは殺し殺されるものぞ。その程度の覚悟もないなら、戦いに出てくるでないわ」
妾はそのような事を言いつつ、アルゼルとエウリティアをマイルームに戻させ、その後に転移札で転移して戻った。
そのまま家に入るのだが、何故かユウヤとオウカの2人も来たの? 何かあったか?
ソファーの部屋に戻りてソファーに座ったら話を聞く。
どうして座った途端に腕を絡めてくるのだ、現代の巫女よ?
「恋人ポイントが必要。タマが帰ってきた時の為に稼ぐ」
「………はぁ、そうか。で、何でそなたら2人がここへ? 何ぞあったかの?」
「いや、何ぞじゃないって。あの最後の爺ヴァンパイアに使ったアレなんだよ? 明らかに今まで使えなかった何かを急に使ったろう?」
「ああ、あれか。あれは妾が気を使った自己強化の重ねと、一撃必殺を行おうとしただけじゃ。そうしたら何故か新たな【魔仙術】が手に入ったという事よ。それと【爆力】と【背水】を使った結果だの」
「それだけであそこまでに……いえ、そもそも新しい【魔仙術】がおかしいのでしょうか? あんな威力はあり得ないと言っていいぐらいですよ。もちろん実際に目で見たからあり得ているのですが……」
「そうなんだけど、どう考えてもメチャクチャに過ぎる。アレ絶対に設定しちゃいけない威力だろ。あの爺ヴァンパイア、相当に強いだろうに一刀両断にされてたぞ。それも抵抗なく」
「習得した【魔仙術】は【剛体強力】【致命破山】【天地融合】の3つじゃ。そして【剛体強力】は肉体の強化となる。【魔仙練体】より強化されるが、使用時点で仙力を3割消費。そのうえ時間経過で消費し続けるという説明があった」
「一度の使用で3割は厳しいわね。レベルが上がっても消費量がキツいし、普通には使えないでしょ。最後の一撃用のスキルね」
「【致命破山】は一撃を超強化する代わりに、致命的なダメージを受けるというもので、闘仙と魔闘仙の死んだ原因らしいわ。使ったら最後、生き残る術の無い一撃じゃな。おそらく使用してもHPが1で残るんじゃろうが、反動に耐えられんというヤツであろう」
「ああ、そういうロマン砲タイプか。自爆するけどダメージ3倍とか5倍とかは普通にあるからなぁ。死ぬからデスペナ受けて損するだけなんだけど、超絶ダメージを叩きだせるというヤツ」
「ロマン砲……」
「超凄い一撃とかが放てるけど、条件がメチャクチャ大変とか自爆になるようなもの。もしくはデメリットが重いものとかを、纏めてロマン砲と言うんですよ。自爆込みの一撃なんて、完全にロマン枠ですからね」
「そこに浪漫はあるけど、まともには使えない。だからロマン砲。でも生き残ってた」
「そうじゃの。おそらくじゃが、その理由が最後のスキルである【天地融合】であろう。生命力、魔力、仙力、心力、そして自然と一体化するとか説明に書いてあったわ。妾は普通に神力を使っただけぞ」
「うん? しんりょく?」
「心の方ではなく神の方じゃ。神の力、故に神力。それを使ったからか【天地融合】というスキルを何故か習得したという事じゃの。何でも自然と一体化する力が神力なんじゃとwwww」
「なんだろう? 言い方的に、かっこわらいって感じ」
「もしくは掲示板みたいに草が生えてるな」
「それは笑うし草も生えるというものよ。妾は普通に神力を使おうとしただけじゃ。それを人間の子に神力とか言われてものう、そもそもそれを使おうとしたのだ。という話であろ?」
「たまたまでしょうけど、神力を使ったらゲーム内で神力と言われるものと合致した。そういう事ね」
「そういう事じゃ。そもそも普通に神力を使うておるのだからして、当たり前の事を言われても困るわ。それに人間の子こそ、正しく神力を理解しておるのか疑問しか持たん」
「絶対に適当というか、それっぽいだけだと思うわよ?」
「じゃろうの。ま、教えようとも思わんから、どうでもよいがな。人間には過ぎた力じゃし、ほぼ全ての者には使えん。かろうじて珠が僅かに使えるくらいか。それも妾の覡だから使えるというだけよ」
「そもそも人間が神様の力を使えるということ自体がおかしいんだし、使えないのが普通でしょ。とにかく超強力なロマン砲を手に入れたと考えればいいわけね?」
「そうじゃの。クリムゾントータスと火炎龍樹で作った太刀が、一撃で全損する威力。それが使えるようになったが、滅多には使うまい。あそこまでの力が無くとも普通に勝てるし、武器を毎回壊すのものう……」
「作れば済むけど、いちいち素材を取りに行くのが面倒くさい。それに明日からは姉さんを暗闇ダンジョンの60階に連れて行く必要がある」
「うむ。という事で、明らかに今の時点では過剰な力じゃ。使えるが使わんロマン砲となる。ま、使えそうな相手なら使うがの」
「それはそうでしょ。ま、とにかく分かったわ。何かのバグかと思うような威力だったものねえ。アレがきちんと作られてるものなら問題ないんじゃない? 向こうも想定してるだろうし」
「これほど早いのは、多分だけど想定してない」
「それはね。言っても仕方ないでしょ」
なんじゃその溜息を吐きそうな顔は?
そもそも定義しておる以上は、作った者が悪いのだ。
妾の所為では無いぞ?




