0750・夜のレベル上げに送り出す
現代の巫女が腕を放したので食堂に行き、妾は本日の夕食を食す。
皆は豚と牛を食べておるが、妾だけ蟹雑炊と蟹玉じゃ。
よう分からん雑穀じゃが気にする必要はない。
そもそも日の本では粟や稗や麦など古くから食べられてきた。
なので妾が雑穀に文句を言う事などあり得ぬ。
そもそも蟹の身の風味と旨味が溶け込んだ出汁じゃ。
それを吸い込んで美味溢れる物になっておるに決まっておろう。
それが雑穀如きでどうこうなる訳が無いわ。
「はふはふ………んー! 蟹の身が沢山入った雑炊は堪らんのう! こっちの蟹玉はどうじゃ? ………むほほほほほほ、こちらも美味である!」
「………なんで一人だけ別の物を食べてるの? 流石に蟹雑炊はズルくない?」
「そんな事は知らんのう。そも、妾が獲ってきて頼んだのじゃから構うまい。それに赤美味豚のカツサンドも美味そうではないか。それは十分以上の物であろうよ」
「他人の食べている物は美味しく見えるもの。それは古来から全く変わらない筈」
「なれば、そなたらも頼めば良かろう。今日は蟹が食べたい気分だったから、妾は自分で頼んだのだ。食べたければ頼め。妾に言うてくるでない」
「それはそうね。御免だけど、私の分も蟹雑炊をお願い」
「カタ!」
「あっ、私達のもお願い。あの時には好きにしたらって言ったけど、匂いを嗅いでいると美味しそうなのよねえ。蟹って煮込んだ方が美味しいのかしら?」
「蟹は風味が溶け出やすいのと、その風味や味を穀物が吸い込むのだ。だから雑炊にすると美味いのじゃよ。味や香り良き物は雑炊にするに限るわ。唯の煮込みとは思えん味になる」
「鍋の残りでやる雑炊ね、あれ美味しいのよ。あれを捨てるヤツとか居るらしいけど、頭がおかしいとしか思わないわ。取り箸やお玉を使っても汚いって思うらしく、口にしたくないってのが居るみたい」
「それは勿体ないね。美味しい物は美味しいのに、って思うけど、面倒な感じだし無視してくれた方が良いかな? 世の中には潔癖症とか居るもんね。人間の体が汚れてるっていうのに」
「腸の中には糞が詰まっとるからのう。そんな体を持っておいて潔癖症も何も無かろう。そこまで綺麗が好きなら、まず己の体から離れろという話じゃ」
「それって死んじゃうじゃん」
「だから死ねと言うとるんじゃ。人間なぞ古くから汚いものぞ、心も魂も穢れておろうが。だからこそ妾は黄泉の主宰神なのだからな」
「言いたい事は分かるけど、食事時に汚い話は止めてね。せめて終わってからにして」
「仕方ないのう。何かを食すという事は、アレをケツからひり出すという事ぞ。それが食事というものじゃ。まったく、昨今の者は本質から目を背けるからいかんのだ」
「事実だけどね、食事時には止めろと言ってるのよ」
「分かった、分かった」
見たくもないと思うのは分からぬでもないが、そういった現実があるのが黄泉なのじゃがのう。
やはり、こやつらは理解しておらぬか……。
まあよい、人とは流れて死に至り、そしてそのまま朽ちるが故にな。
己が見たくなくて土葬にし、そして今では火葬にする。
かつては朽ちるに任せる風葬もあったというのに、今の日の本の者は知らぬのであろう。
古き時には死体がどうなるかなど、見ようと思えば見られたのだがの。
争い合っておった戦国の世の時まで、戦場に死体が放置されとるなど当たり前であったからな。
あれも風葬の一つと言えぬでもない。
場所を決めてはおらぬが、朽ちるに任せるという事は変わらんからの。
片付けなど殆どせんし。
夕食の終わった妾はソファーの部屋からマイルームへと戻り、三人を召喚したらログアウト。
現実へと戻る。
現実でも夕食をとり、風呂などを済ませたら部屋に戻ってログイン。
最近思うが、毎日湯に浸かれるとは贅沢じゃのう。
前に降臨した時には湯屋が一般的だった筈だが……変われば変わるものよ。
ログインした妾は早速ファルとフィーゴを呼び、その二人を連れてソファーの部屋へ。
そして家を出ると<屍人の森>の奥へと進もうとしたのじゃが、何やらファルが伝えてきた。
「カタ! カタカタカタカタ! カタカタ、カタ!」
「んー………これはアレか? フィーゴがおるから浄化が出来る。だから妾はついてこなくてよいという事かの?」
「カタ!」
コクコクと頷くファル。
しかしじゃのう、このまま放置してよいものかという思いがあるのじゃが……。
「カタ! カタカタカタ。カタカタカタカタ、カタカタ!」
「長い棒? いや、杖か? ……ああ、代わりにセナに杖を教えてやってほしいという事じゃな」
「カタ!」
「ふーむ………そなたの言う通りにしてもよいが、気を付けるんじゃぞ? 流石に居なくなっては困るからのう。そこだけは覚えておくがよい。それと、危険ならば即座に撤退せよ。逃げる事は恥ではない、それも分からぬ事が恥なのだ」
「カタ!」
フィーゴもファルの体から少し出ると、こちらをジッと見てくる。
おそらくは大丈夫だと言いたいのじゃろう。
妾は二人に任せる事にし、家に戻ってソファーの部屋からマイルームへと移動する。
その後は訓練場に行き、眠るまでセナに指導をした。
妾とセナは適当な木で作った杖を使ってやりあったが、やはりまだまだであったな。
だからこそセナを優先せいとファルは思うたのであろう。
妾は十二分に指導をしたらログアウト。
邪悪な思想の連中を見つけて始末した後は、さっさと眠りについた。
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使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・中級のレベルが上がりました
使い魔:キャスティのサブ職業:農家・中級のレベルが上がりました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
召喚モンスター:セナの【杖術・下級】に【水平薙ぎ】が追加されます
召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました
召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました
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2001年 1月31日 水曜日 AM8:22
今日は暗闇ダンジョンとやらに金を取りに行く日じゃ。
上手く出てくれれば良いのじゃが、ガチャというものは目的の物がそうそう出んものだと知っておる。
ちょっと憂鬱じゃのう。
とはいえ、用意はしてやらねばなるまい。
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使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・中級のレベルが上がりました
使い魔:キャスティのサブ職業:農家・中級のレベルが上がりました
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早速ログインしたが、昨日の夜から連続して上がっとるようだの?
何があったのか知らぬが、効率よくレベルを上げる方法でも見つけたか?
踊り子の方は誰かさんと踊っとる気がせんでもないが……農家の方の説明がつかんのう。
あれか、種を蒔くという事か?
いやいや、キャスティは女子。
種を蒔く側ではなく受け取る側じゃ。
………何やらよく分からんが、レベルが上がる分にはいいじゃろう。
効率の良い何かでも掴んだと思う事にしておこう。
深く掘っても誰も得をせんじゃろうし。
マイルームの訓練場に行って挨拶した後、二人の寝室に行ってボードを確認。
○の札じゃったのでノックするのだが、中から反応が無い。
まだ寝ておるみたいじゃの。
妾は仕方なくソファーの部屋に移動し、まずは家の外へと出る。
すると、外にはファルが居て、赤いスケルトンと何やら話をしておるような感じであった。
「どうやら無事であったようじゃの。上手くレベルも上げられたようで何より」
「カタ!」
ファルが頷いたので家へと共に入り、そのまま朝食の準備を頼んだ。
今日はフィーゴがおるが、得をする事はあっても損をする事はあるまい。
能力は上がっておる筈じゃしの。




