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0746・試し斬り




 とりあえず妾はその場で六角棒を潰して変えていく。

 出先でも好きに出来るのは【錬金術】の良いところよ。

 それはともかくとして、作る杖は基本の丸棒で良いであろう、何事も基本が大事じゃからのう。



 ―――――――――――――――


 <杖> 火炎龍樹と深紅亀の甲羅の杖 品質:10 レア度:8 耐久1570


 火炎龍樹の幹を心材に用いて、クリムゾントータスの甲羅を被覆した杖。基本的な形であり、錫杖などのような装飾は一切付いていないシンプルな物である。使う者によって大きく変わる武器である為、スキル以上の技量が求められる

 攻撃力43 破壊力4


 ―――――――――――――――



 「ほうほう。これは予想以上に優秀じゃのう。しかし杖という武器名になっておる以上は、おそらく【杖術】というスキルになっておると見るべきか。ま、とにかくまずは太刀の使い方で教えればよいな」



 妾がセナに武器を渡すと、セナはヌンチャクとトンファーを剣帯に着け、杖を振り回し始めた。

 妾はすぐに脇を締めるように言ってセナの動きを正す。

 必ず脇を空けてはならん訳ではないが、まずは脇を締めた形を覚えさせねばな。



 「うむ、そうじゃ。細かく扱うには脇を締めておかねばならん。こういう細かいところで差が出てくるものじゃからのう。まずは太刀の使い方を教えるが、実戦ではまだまだ上手く扱えんのは諦めよ。簡単には磨かれぬでな」


 「ワカッテル」



 なかなか素直に振り回し始めたの、それでよい。

 最初から「ガミガミ」言ったところで意味など無いし、それでは教えを受ける者を萎縮させるだけじゃ。

 それに意味など全く無い。


 教えられた事をただやるだけの人形にしたいのならば構わぬかもしれぬが、それでは術の発展には寄与せぬ。

 大事なのは業を教えつつも、羽ばたく為の翼を広げさせてやる事ぞ。

 そうでなければ教える意味は無い。


 妾は多少の基本を教えただけで一度戦わせる。

 戦闘中に体を動かすのと、ただ練習するのは同じではないからの。

 それにスキルとやらも習得させねばならん。

 でなければ威力が出んでな。



 「ヤァァァァァァァァァァァァ!!!」


 ペチン


 ………まあ、スキルが無いとこんなものなのであろうな。

 クリムゾントータスも意に介しておらぬ。

 とはいえ音で分かる威力の無さが凄いのう。


 普通ならばあれだけの勢いで叩きつければ、それなりの威力が出るものぞ。

 にも関わらず「ペチン」は酷いわ。

 ここがゲームの中だと、よう分かる光景ではあるがな。


 そのまま他の者達と共に戦い、戦闘は終了。

 セナは【杖術】のスキルを得たようじゃ。

 これで後は練習していけばよい。



 「杖は槍に比べて短く、薙刀のように刃が付いておらず、太刀よりも長い。中途半端と思うかもしれぬが、それらと同じような扱い方は出来る。仮に刃が付いていなかろうが、その威力は侮れるものでは無い。そこは忘れぬようにの」


 「ワカッタ! コレデツイテ、タタイテ、ブンナグル」


 「うむうむ。そうじゃ、それでよい。とどのつまり、全ての武器はそうなのだ。如何いかに扱うかであり、そこに優劣は存在せぬ。もしあるとすれば、それは使う者の優劣ぞ」


 「使う場所と使うタイミング、更には使い方と使い熟せるか否か。その辺りですかね? 相性の問題はあれど、その程度ですし」


 「そうねえ。私も短剣で色々な敵を倒してきたしね。もちろん相性的に不利な相手まで無理に倒したりしないけどさ。それでも多くのモンスターも含めて倒してきたわ」


 「相性に関しては如何どうにもならぬ。それに関しては武器種の違いでしかないから優劣とは言い難い。それこそ火炎龍樹に対して短剣を使っても仕方ないからのう」


 「まったくね。アレに短剣で挑むのは唯のバカでしょうよ。その相手とそろそろ戦うんだけど……最初に試すのよね?」


 「無論じゃ」



 妾はラスティアの問いかけに「ニヤリ」としながら返事をする。

 これも相性としては良くなく、普通は無理である筈じゃ。普通ならばな。

 さりとて妾の実力というか技術ならば、おそらく斬れる筈なのだ。

 斬れぬとすれば、集中を含めて何かが足りておらぬという事よ。

 神とて完璧ではないと分かるのう。


 さて、上手く斬れるかどうかは神たる妾にも分からぬが、楽しい楽しい殺し合いの始まりじゃ。

 そこは楽しまねばならんぞ。

 では、始めるかのう……!



 「すぅ……はぁ……。すぅ……はぁ……」



 カッと目を見開いた妾は、一気に敵に向かって駆ける。

 今この時に妾が使っておるのは【身体強化】ではない、【魔仙練体】の方じゃ。

 それに加えて生身の方での気の練り方と同じ方法を使うておる。

 こちらの方が巡らせやすいでな。


 タッタッタッタッタッタッタッダンッ!!!


 「チェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェィ!!!」



 大陸の業でいうところの【震脚】の如き踏み込みも加え、今出来る全力で斬ったがどうじゃ?

 上手くいったか?



 「………」


 ズズズズズズ………ドスン!


 妾が後ろに跳び、残心をしながら構えていると、火炎龍樹は斜めにズレて地面に落ちた。



 「よぉし! 今の妾でも斬れると思うておったのだ! これで証明できたのう! うははははははははは……!!!」


 「うわぁ、見た? キャスティ。マジで一刀両断にしたわよ? どう考えてもおかしいし、普通ああやって戦う相手じゃないっていうのに……」


 「冗談でも何でもなくメチャクチャです。あんな事が本当に出来る以上、間違いなく剣の聖人よりも上ですよ。歴代の剣の聖人でも、あんなメチャクチャが出来た者は居ない筈です。そもそも身体強化系以外、一切何も使っていないんですから、本来ならあり得ないんですよ」


 「何を言うておるか。目の前にて起きたのだから、あり得ておるであろうが。あははははははははは……!!」


 「何かもう色々と言う気が無くなったわ」


 「そうですね。これが神なのだと言えば、そうなのでしょう。私達の想像力が貧困なだけだと思えば、変な事ではありません。たぶん、きっと……」



 さてさて。

 一撃で倒せると分かった以上は、もう拘る必要もない。

 後は皆と共に普通に戦うか。

 それが一番良いし、皆の経験にもなる。


 妾ばかりが遊んでおるわけにもいかん。

 実戦での戦い方をセナに教えねばならんしな。


 その後は妾も裏方に徹し、セナに教えつつ他の者にも指導を行った。

 体の動かし方を含めて色々と教え、実戦での練習は過ぎてゆく。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:セナの【杖術】がランクアップし、【杖術・下級】となりました

 【杖術・下級】に【速突き】が追加されました


 ―――――――――――――――



 「さて、そろそろ戻る時間かの。今日も乱獲……というか、昨日以上に乱獲したような気がするぞ?」


 「火炎龍樹が35にクリムゾントータスが41。十分に狩ったし、流石にもういいでしょ」


 「これで全員分の装備も作れるでしょうし、明日からは<赤美味豚>か<火炎牛>を狩ってお肉を調達しましょう」


 「そうじゃの、美味しい肉を集めておいて損は無い。今の内に集めておかねば面倒になるかもしれんし、集められるだけ集めておくか」



 時間が来たので戦いを止めて帰るのだが、セナはなかなか面白い事をしておったの。

 突く際に先端から【闘刃】を出すとは思わなんだので、初めて見た時に少々面食らってしもうたわ。


 しかしアレは面白き使い方じゃ。

 元々しておったとはいえ、妾の長巻に応用できそうじゃしの。

 【闘刃】と【魔刃】を束ねて刃としてみれば、更なる切れ味の増強になるやもしれぬ。


 ゲームの世界というものは、これはこれで楽しいのかもしれんのう?

 色々と〝悪さ〟が出来そうなところがまた良い。

 明日から様々に思いついた事は試していくか。

 それで気がつく事もあるであろうしな。


 これからも楽しめそうで何よりである。


別作、「時空の旅人 ~イシスとヌン~」が240話を超えました。宜しければ、御一読ください。


https://ncode.syosetu.com/n1425lv/

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