表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
732/753

0732・とある姉の本音




 マイルームに戻った後は皆を召喚してログアウト。

 現実に戻ったら雑事と夕食の準備を開始する。

 そのまま両親が帰ってきたので夕食作りを始め、出来上がったタイミングでシズが下りて来た。

 タイミング良過ぎなんだけど?



 「別に何処かで確認してたとか、そういう事は無いわよ? 大体いつも変わらない時間だし、今日だって殆ど変わらないもの。タマはいつも用意する側だから時間を気にしてないだけじゃない?」


 「そうかもしれないな。用意する側の方が時間なんかは気にしない、という事はありそうな事だ。父親としては娘の手料理を食べたいところなんだが……」


 「駄目よ、駄目。この子に料理なんかさせたら、台所が滅茶苦茶にされるわ。料理は頑張れば出来るでしょうけど、後片付けが私か珠になっちゃうじゃない。そんな面倒はお断りさせていただきます」


 「そうだね。食べたいなら父さんが全部後片付けをすればいいと思うよ? それはともかくシズは料理できたんだね? 全くと言っていい程に手伝ってくれないけど」


 「面倒臭いからに決まってるじゃないの。そもそもタマがやった方が上手くいくんだから、私がする必要ないじゃない。私が料理したら勝手にアレンジするわよ」


 「そういえば珠の料理は姫の料理ソックリだな。流石は物真似が得意な息子と思うが、ソックリ過ぎて姫が作ったか珠が作ったかは分からないものなぁ……」


 「そうなのよね。だからこそ昔から私は料理しないいしタマに任せるのよ。だって自動的に母さんの料理になるし」


 「それ以外だと普通の料理にしかならないけどね。わざわざ自分風のアレンジなんてする気が無いから」


 「それで十分というより、それで良いのよ。静みたいにアレンジとかされたら、大失敗した料理を食べなくちゃいけなくなるじゃない。そんなのゴメンだわ」


 「娘に対して容赦が無さすぎない?」


 「だったら余計な事をするのを止めなさい。貴女、子供の頃から出来る癖に、余計な一手間を掛けてワザと崩すでしょう? それが迷惑だと言っているのよ」


 「えー………。ソンナコトナイヨー」



 棒読み過ぎるし、上手く出来るのにワザと崩してたのか。

 やっぱりね。


 そもそもアレだけ才能に溢れてるシズが、料理だけ出来ない何ておかしいと思ってた。

 別に腹も立たないけど、何か理由があってやってたんだろうね。

 僕にそれを見せないように……という可能性も否定は出来ないけど、違うだろうなぁ。


 シズの事だから仮にそういう思いがあったとしても、絶対に自分が面倒臭いという理由もプラスしてるよ。

 いや、むしろ僕に気を使ってー……っていうのを利用して、面倒臭い事を回避している気がする。


 その後も家族団欒の夕食は過ぎ、僕は後片付けを終えて部屋に戻った。

 今日は手に入れた素材も大して無いし、適当に最凶ダンジョンで遊ぼうかな?



 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 あー、もう! まったく!!

 何言ってくれてんのよ、本当。

 母さんにも呆れるわ。

 純粋な宝家じゃないから仕方ないんでしょうけど、<山雷やまつち>を舐めてるんじゃないの?


 今はタマも色々出来るようになったからいいけど、かつてのタマは上手くいく事なんて多くなかった。

 物真似が得意だというのも人真似だという事で、どこかコンプレックス的に感じていたわ。

 それ自体は仕方ないんでしょうけど……。


 それでも<山雷やまつち>の殺意を向けられた側としては気が気じゃないのよ!

 あの破壊衝動と殺意を向けられるのは、基本的に一番近い姉である私なんだから!


 そもそもかつて生まれてきた双子の姉弟には共通している事が一つある。

 それは出来の悪い弟が、出来の良すぎる姉に嫉妬をするという事。

 それは仕方がないのよ、何故なら類稀なる才能を持って生まれてくるから。


 でもね、歴代の弟に死んだ者が居なくても、歴代の姉の中には不自然に死んだ者が居るの。

 私はそれを子供の頃に教えられたわ、お爺ちゃんから。

 ……つまり、調子に乗ると<山雷やまつち>に殺されるってね。


 そもそ歴代の姉も、何故<山雷やまつち>の前で調子に乗ったのか理解出来ないわ。

 子供の頃からあれ程のバケモノだったのに、それの前で勝てるとでも思ったのかしら?


 子供の頃に一度殺意を向けられてから、私は絶対に勝てないと理解したわよ。

 何故ならあんな殺意を持つ事は不可能だから。

 アレは殺意や破壊衝動そのものと言ってもいい存在。


 スポーツ的なものじゃない。

 純粋に目の前のモノを殺すという意志しかない怪物。

 修羅を超えた破壊の御子であり、破壊の〝神子〟なのよ、アレは。


 それを敵に回すなんて愚かでしかない。


 まともな人間なら相対した時点で保たないかもしれない程のバケモノ。

 よくもまあ初代の<鎮めの巫女>はアレを静めようと思ったわよ。

 間違いなく巫女も狂気の存在でしかない。


 あの神子を無条件で全肯定して受け入れている椿を見れば、<鎮めの巫女>も狂っていたのが否応無く分かるってもの。

 ウチの祖先は両方ともに常軌を逸している。


 むしろ中心じゃない私達の方が、<山雷やまつち>や<鎮めの巫女>のおかしさがよく分かるわ。

 あいつら両方とも狂気の存在でしかない。


 あれほどの破壊衝動と殺意を向けられながら、それを嬉々として受け入れ、しかも殺される事を望む。

 片や人の身に不釣り合いな破壊衝動と殺意をその身に宿し、片やその異常なモノに狂った愛欲を示す。


 <割れ鍋に綴じ蓋>という言葉があるけれど、アレは血に飢え血に塗れた刀と、それを悦んで血ごと納める鞘よね。

 アレが何を殺そうが、その全てを愛する異常さが巫女にはある。


 私が<鎮めの巫女>ではない絶対的な理由。

 それが、アレに対する狂愛を持たないという事。

 それに尽きる。


 かつての双子の姉の中には、アレに対する狂愛を示した姉が居たらしいもの。

 つくづく自分がそうじゃなくて良かったと思うわ。本当。


 あれを間近で見ていて、あんな狂った頭のおかしい連中には絶対になれないと悟るもの。

 私は私で、この身に宿る才能を有効活用させてもらうわ。

 歴代の姉は大抵そうやって財を成したんだしね。


 五條家もその一家の筈なんだけど、アレの狂気に呑まれてるのかOKを出したみたいだし、やはりアレに関わると狂うのかしら?

 でも元々は宝家が本家だと考えると、どうしようもないのかとも思う。


 財を成せたのは不思議な能力か才能によるもの。

 そしてそれを再び得るには宝家の血を宿す者を迎え入れるしかない。

 祖先の双子の姉が忌避したであろう血を……。



 △△△△△△△△△△△△△△△



 2001年 1月28日 日曜日 AM7:41



 昨日は50階のボスを何とか倒せたので、今日からはクリムゾントータスの乱獲を始めよう。

 せっかくだし出来得る限り倒してレベル上げをしたいところだ。

 早速ログインするかな。



 ―――――――――――――――


 <修正内容>


 運営ダンジョン48階に出現するクリムゾントータスを倒せるプレイヤーが現れるという、運営の計算外がありました。よって、この階層での経験値の取得を無くします。


 該当する一名のプレイヤーには申し訳ありませんが、現時点でクリムゾントータスを倒せるとは予想できておりませんでしたので、ここで謹んでお詫び申し上げます。


 代わりといっては何ですが、素材はドロップしますので倒す意味そのものは完全には無くなっておりません。


 それとお詫びとして<火炎龍樹>も配置致しました。これも経験値取得はありませんが、倒すと素材が得られます。


 頑張って倒して下さい。


 ―――――――――――――――



 「………」



 確かに倒せるけどさ。

 倒せるけど経験値を無くすってズルくない!?

 まあ、代わりに良い木材を落としそうなモンスターが追加されたけど……。

 何か、こう、納得いかないなぁ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ