0729・運営ダンジョン50階 ボス戦
回復が終わって目を覚ましたけど、その頃にはラスティアもキャスティも普通に戻っていた。
いや、普通と言うとちょっと語弊があるだろう。
普通の恋人みたいにイチャイチャしている。
僕が起きる前の濃厚なのは鳴りを潜めていたので安心したよ。
いや、安心するのもおかしいんだけどね。
とはいえ昂っている二人にTPOって言ったところで、お前は野暮だと言われるだけでしかない。
いちいち反発も受けたくないのでスルーしたいのが本音なんだよ。
止めてくれとは言い辛いし、何よりイルと似たような事をしかねない身としては余計にね。
「おっと、コトブキが目覚めたようですね」
「そうね。これでコトブキは全回復とはいえ、私達は半分を超えた辺り。仕方がないけれど、逆に言えばまだまだイチャイチャできるという事よ」
「そうですね。回復しきるまではゆっくりしていましょう」
「まあ、好きにしてよ。僕はゆっくり何か食べようっと」
「あっ、ポ○キーってヤツちょうだい。前にイルが言ってた事がしたいの」
「………はい、これがポッ○ーだけど知ってるの?」
「前にイルがコトブキとしたい事の一つに挙げてましたよ? しましたか?」
「いや、してないね? わざわざポ○キー使わなくても普通にキスしてるし」
「「………ポリポリポリポリ、チュッ!」」
人に話を振っておいて、始めたらスルーですか。
まあ、視界に入れなきゃ問題ないし、掲示板でも読んで皆が回復するのを待とう。
…
……
………
「そろそろ全回復したみたいだし、ボス戦に挑戦しようか。時間的にも結構マズいしね」
「あら、そう? 時間が経つのは早いわねえ」
「そうですね。楽しい時間はすぐに過ぎると言いますが、久々にそれを味わっている気分です。さっさと倒して戻りましょうか」
「そうね。さっさとブチのめして続きをしましょう」
何でもいいけどボスを倒すのにやる気になってくれたのは良い事だ。
そのやる気の間にさっさと入ってボス戦を始めよう。
ボス部屋の扉を開いて中に入り、後ろで扉が閉じられる。
部屋の中は溶岩が見えている穴が幾つかあり、それ以外は大理石の床と柱がある景色だった。
何となくで出てくるボスが分かったんだけど、これは思っているより厳しいかな?
「皆! ボスはその穴の溶岩から出てくる。何処から出てくるかは分からないから気をつけて!」
「穴から出てくるってどういう事よ?」
「長細い体を持ったヤツがそこから出てきて炎のブレスを吐いてくると思う。おそらく当たっている筈だから注意して!!」
「とりあえず注意しましょう。コトブキも適当な事を言っているわけではない筈です」
「そうね。とりあえず警戒するに越した事はないし、ボスが未だに出て来ないって奇妙だか、来た!!」
ボス部屋には全部で六個の穴が開いており、それは六芒星の頂点に開いている。
その右上の場所から現れたのは、あのボスにそっくりな、でも微妙に変えてあるボスだった。
「うわっ! キモッ!! 何あれ、ワーム!?」
「ワームが炎のブレスを飛ばしてきて、また溶岩の中に潜っていきました! まさか何処から出てくるか分からないのと戦えというのですか!?」
ミミズのようなヒョロ長いのが勢いよく出てきて、先っぽが八つに分かれながら開き、そこから炎の玉のブレスを三発放ってきた。
原作はドラゴンの頭だったような気がするんだけど、流石にそのままではなかったようだ。
それは分かるんだけど、原作よりキモいって何だろう?
そこはもうちょっとマイルドにする気は無かったのだろうか?
と思うも、ここの運営だしなぁ……。
そんな事より戦わなきゃいけないんだけど、溶岩の中に入っていったので攻撃できない。
出てきたところを攻撃するしかないんだけど、次に出てくる穴が何処かは今のところ不明だ。
何回か出てくればパターンがあるのかどうかは判別が付くと思うけど、こういうボスって基本的にランダムだよなーと思う。
もしかしたら音で分かるかもしれないけど、今のところはおかしな音などはしない。
と思ったら、次は左下の場所で出てきた。
皆が慌てて魔法を撃つけど、ワームは炎のブレスを三発放つと溶岩に沈んでいく。
おかげで一度たりとも攻撃が当たっていない。
本当に倒せるんだろうか? このボス。
右上が最初、次は左下。
それだけじゃ分からないけど、同じ場所は使わない気がする。
なら次は出ていない場所の何処かかな?
むしろこのボスは待ち戦の方が良いのかも。
とりあえず既に出てきた穴は無視し、僕は下の穴の近くで待機する。
すると偶然にも出てきたので、深紅亀の六角棒で体の部分をブン殴ってやった。
穴は直径1メートル50センチ程度なので、ワームが出てきている穴から落ちる心配は殆ど無い。
ドスンッ! ……ビタン! ビタン!!
何故か胴体を殴られたワームは地面に倒れ、ビチビチ跳ねている。
その隙だらけな姿に皆の魔法が飛んできたので、とにかく僕は当たらないように動くのを止めた。
僕が攻撃するチャンスなんだけど、皆も容赦なく攻撃するよねー。
一秒でも早く攻撃を当ててやろうっていう風に見えるよ。
いちいち溶岩に潜るから気持ちは分かるけどさ。
ある程度ビタンビタンと跳ねていたワームは、時間経過で潜っていった。
これで右上、左下、下が終わった。
となると残っている穴のどれだろう?
とりあえず近い右下に行こう。
そう思って右下で待っていたら、出てきたのは上だった。
明らかに距離があるので仕方なく待機し、皆が戦っているのを眺めていた。
面倒臭いボスで若干イライラしてきたけど、こういうボスは仕方がないと諦めよう。
再び右下で待っていると出てきたので、深紅亀の棒で殴りつけて地面に倒れさせる。
どうやらコイツは穴から出ている時に物理攻撃を受けると隙が生まれるらしい。
大ダメージを与えたければ物理攻撃を狙った方がいいね。
地面で跳ねているボスに皆の魔法が殺到してダメージを与えていく。
そこから離れて、僕は左上の穴へと走って移動。
残っているのはここだけなので、ここに出てくるのは確定の筈。
皆は出てきたワームが沈むまで魔法を放っていたが、何故かセナとシグマがこっちに来た。
どうやら僕がここで待っている意味を理解したらしい。
僕は既に<深紅亀の甲羅の六角棒>を構えて待っており、いつでもブン殴れるようにしている。
セナもヌンチャクを構え、シグマも斧を構えて待っていた。
そして狙い通りに出てきたワーム。
僕は【爆力】を使い【背水】を発動させたうえで、その胴体に【身体強化】をした一撃を全力で叩き込む!!
「ツェァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ズドォンッ!!
皆に攻撃されて動けなかった鬱憤も含めてブン殴ってやれば、ワームは派手に地面に叩きつけられてのた打ち回る。
そしてそのワームに猛攻をしかけるセナとシグマ。
二人が<瞬撃>を使ったラッシュをワームを挟んで叩き込むと、ワームの体がボールみたいに跳ねていく。
ワームが苦しんで跳ねているというより、二人の攻撃で跳ねているといった方が正しい表現だろう。
実際にそう見えるし。
他の皆は溶岩近くの胴体に魔法を叩き込み、セナとシグマが鬱憤を晴らしながらボコボコにしていると、溶岩の中に帰る事も出来ずにボスが消えた。
「え? これで終わり? ………となると、溶岩の中に逃がさなければ簡単に勝てるボスだったのか」
「おつかれー。逃がさなければって言うけど、コトブキのアレと、セナとシグマがボコボコにしたからじゃないの? 流石に見ていて可哀想になるぐらい酷かったわよ」
「おつかれさまです。確かに酷かったですね、コトブキのアレは。あんなものを叩きつけられたら、それは悶絶もするでしょう。とんでもない音がしていましたからね」
「まあ【爆力】と【背水】と【身体強化】の一撃だからね。そろそろ仙人の力である【魔仙練体】を使いたいんだけど、未だに制御が難しいんだよ。あれ早く習得し過ぎたのかな?」
「「当然でしょう」」
「ああ、やっぱりそうなのか。もう一段階は種族進化しないと無理っぽいね」
あれだけ扱い難いんだから、強化量は【魔仙練体】の方が上だと思う。
もちろん当然だろうけど。
それが使える様になるのは楽しみでもあるね
おっと、とりあえず回復しておこう。
忘れるところだった。




