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0728・運営ダンジョン50階 ボス戦前まで




 「あれは<火炎牛>ですか。アレの肉は火に対して耐性があり、それゆえに高温で熱されても旨味が逃げ難いんですよね。だから噛めば噛むほどに肉汁と旨味が溢れてくるんです。アレも高級肉の一つですよ」


 「ええ。なかなか見つからないのと、基本的に地元で消費される程度しか獲れない牛。それゆえに食べられる機会は少ないのよね。美味しい魔物はだいたい昔に乱獲されてるから少ないのよ。今は回復したのかしら?」


 「変わりませんよ。一度減った数がそう簡単に回復したりなどしません。それに今も獲っているんですから早々に増えるというのも難しいでしょう。商売の為に致し方がないとは思いますがね」


 「それでも美味しい肉は減ったわねえ。本当に美味しいドラゴンはダンジョンに居るけど、アイツら狩るのが面倒臭いのよ。それさえ無ければ無限に食べられる美味しい肉なんだけど……」


 「アレらは本当に面倒臭く、かつ厄介なんですよねえ。間違いなくトップクラスの味なんですが、労力が合ってないんです。その所為で王侯貴族でさえ「獲ってこい」とは言いませんしね」


 「それ以前に国の持つ戦力程度じゃ、アイツらを狩れないでしょうが。全滅するのがオチよ」


 「まあ、それもありますね「ブモォォォォォォ!!!」……っと」



 こっちに気付いて足で地面を掻いていたんだけど、ついに突っ込んできた。

 とはいえ皆は既に準備を終えており、フォグが【スモールピット】で転倒させる。

 後は囲んでボコボコだ。


 そしてあっさり死んだ<火炎牛>さんは、早速<火炎牛のサーロイン>をドロップ。

 これは幸先の良い事だと思いつつ、僕達は49階を進んで行く。


 49階には特にギミックなども無かったが、厄介な事に階段が四つもあった。

 どれか一つが正解なんだろうが、残りはZ○P階段の可能性が高い。



 「最後の最後にやってくれるよ。これで失敗したら、また46階からやり直しだ。しかもどれが正解か分からないってんだから、まったく」


 「本当に厄介な事をしてくれますね。しかもコトブキの描いた地図を見るに、階段の場所はバラバラですか……」


 「いや、中央には無いんじゃない?」


 「中央はそもそも48階から下ってくる階段があるんですから……。って、もしかして見えている階段は全部偽物?」


 「ええ。神の性格が悪いのは分かっているんだから、正直に当たりの階段を見せてくれるとは思えないのよね。で、怪しいと思ってるのは、中央付近にあった大きな岩。アレだけやたらに目立つのよ」


 「なら行ってみましょうか」



 そうと決まり、僕達は上り階段がある49階の中央部までやってきた。

 確かにここには大きな黒い岩があるんだよ。

 とはいえ火山の中みたいな場所だから、僕は気にしなかったんだけど……。



 「とりあえずツルハシも持っているのですし、掘っていきましょうか。このツルハシなら壊れる事も無いでしょうし」


 「そうね。この岩が妙に怪しかったのよ。もしかしたら何かが封印されていたりしてね」



 ラスティアがフラグになりそうな危険なセリフを言ったものの、僕達は黙々と黒い岩を壊していく。

 そして完全に壊れたその時、中から煙がモクモクと噴き出し、その煙が形を持って実体化した。



 ―――――――――――――――


 <火車> 妖怪 Lv100


 燃え盛る炎を纏う牛車。一説には悪人の遺体を連れ去るモノとされているが真偽は不明。誰彼構わず乗せようとし、燃え盛る炎で焼き尽くそうとする。攻撃手段は主に体当たりであり、注意して戦おう


 ―――――――――――――――



 「まさかの妖怪が出てくるとは思わなかったよ。とりあえず近付くと危険だから、離れて戦うんだ!!」


 「何で燃えている乗り物が煙から出てくるわけ? 意味が分からないわね。……【ブルーボム】!!」


 「文句を言っていても始まりませんよ。それにこんなものが出てきたのですから何かある筈です。【ホワイトボム】!」



 ラスティアの【ブルーボム】を受けた火車は嫌がったのか大きく後退。

 しかし車輪で前後に動く速度は速く、思っている以上に厄介な相手かもしれない。

 セスは効くからか、嬉しそうに【アイスショット】を放ってるけどね。


 他の皆も各々の魔法を使ってダメージを与えているが、近接攻撃しかないセナとシグマが近付いて攻撃。

 すると火車は二人に対し正面を向き、「ギュオォォォォ!」と音をさせると吸い込んでしまった。


 思わず「掃除機か!」とツッコミそうになるものの、ラスティアが【ブルーボム】を放つと中から二人が弾き出されてきた。

 それは良かったが結構なダメージを受けているので【ダークヒール】で回復しておく。



 「近付いて攻撃するのは仕方ないにしても、相手の側面か後ろからしか近付いちゃ駄目だ。弱点攻撃をしないと救出できないから注意してほしい。しかし中はとんでもなく熱かったようだね」


 「オモイッキリヤカレタ!!」 「ガン!」


 「そりゃあんな燃え盛る中に放り込まれたら、そうもなるでしょうよ。問題はあの音が鳴ると吸い込まれるって事でしょうね。抗えなさそうじゃない? 【ブルーボム】!」


 「ですね。【ホワイトボム】! 私達は良いですけど、近接組が大変な敵だと思います。そもそも燃えているにも関わらず、何故か燃え尽きもしませんし」


 「アレはそういうモノとして考えた方がいいよ。細かな理屈を考えたところで意味無いから。それより一気に畳みかけよう!」



 僕も【セイントジャベリン】を撃ち込んだりしながらダメージを与え、セナとシグマは<瞬足>で近付き、側面から車輪へと武器を叩きつけた。



 「ギェェェェェェェェェェェェッ?!!?!?」



 どうやら車輪は最大の弱点らしく、攻撃を受けた後で暴れ回る火車。

 吸い込もうとはしていないので、車輪に攻撃を受けると暴走するのだろう。


 暴れている火車から二人は離れ、僕達は魔法で攻撃。

 結局はそれだけで終わり勝利する事が出来た。


 すると火車は消えて、先程の岩の下が「ゴゴゴゴゴゴ……」と動き階段が出現。



 「やっぱり黒い岩を壊すのは正しかったみたいね。ここで階段が出てくるって事は、正解ルートってヤツでしょ!」


 「そうでしょうね。それにしても流石はラスティア、お手柄です。ラスティアが気付いてくれなかったら、四度も徒労を繰り返していたところですよ」


 「でしょう。お礼はキスでいいわよ」


 「もう、仕方ありませんね」


 「二人とも、魔物が出てくる場所だから下りてからにして。でないと<火炎牛>が突っ込んで来るよ」


 「それはやーね。階段を下りてからにしましょうか」


 「ですね。邪魔するような野暮が居るところでは諦めるしかないでしょう」



 階段を下った僕達は通路の先に扉を発見。

 間違いなく50階のボス戦が中であるだろう事を確信すると、一旦休憩して回復する事にした。


 僕は【昏睡眠】を使って回復し、皆は適当に休んで回復するようだ。

 とりあえず全快するまで起きないので、アレをスルー出来るのが助かる。



 「チュッ! お礼のキスは一度とは決まっていませんからね。しっかりとお礼をしますよ」


 「もう、そういう事を言うとずーっとするわよ? 誰が誰を愛しているか、しっかりと知ってもらわないとね」


 「それはもう存分に知らせてほしいですね。そして私がどれだけ愛しているのかも知ってもらいましょう」


 「ふふ、たっぷりと教えてもらいたいわ。私もね。チュッ!」


 「チュッ、何度でも教えてあげますよ。私がどれだけラスティアを愛しているかを」



 あの二人、本当に変わったと思う。

 っていうか、変わり過ぎじゃないかな?

 本当に天使の星や悪魔の星で隠せるんだよね?

 もうとっくにバレてるとか……流石に無いと思いたい。


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