表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
721/753

0721・恋人報告と怠惰の悪魔について




 「という訳で、私達は恋人になったってわけ。さっきも言ったけど、コトブキのマイルームに居る間は大天使にも大悪魔にも監視されていないのよ。だからどちらかの星に行った際は、私達は今まで通りの態度でいる必要があるの」


 「そうしないと大天使や大悪魔に消される?」


 「流石に消されるという事は無いと思いますが、どうなるか分かりませんし、極めて危険ではあります。無意味に危ない橋を渡る事はしたくありませんしね。お互いに何かある訳にはいきませんので」


 「そうね。今は生きる目的も強くなったし、今までみたいに【色欲】の悪魔として惰性で生きていないもの。ね?」


 「ええ。私も【純潔】の天使として、惰性で生きる気はありません」



 ラスティアとキャスティは訓練場に来たんだけど、話がそれなりに長かったので聞いていた。

 今までの殺し合いの歴史から、お互いの愛情と肌の温もりの素晴らしさまで。


 もちろん具体的に喋っているわけじゃないけど、そんなに熱弁されても困るといったところかな?

 その話の最初の方に来たアルゼルが、固まってフリーズしている有様だった。


 ちなみにアルゼルは恋人繋ぎをしている二人を見て唖然とした後、絶叫しながらイルのマイルームへと走って行ったんだよね。

 イルも早くに帰って来ていたらしく、すぐに僕のマイルームに走ってきたんだ。


 そして二人の話を聞き始め、すぐにトモエ、ナツ、アマロさんにメッセージを送った。

 そしたら全員が揃ったんで、もう一回最初から話がスタートしたんだよ。

 まさか二回も他人の惚気のろけ話を聞くとは思わなかった。



 「チュッ! たまには私達のそういう話でもいいじゃない」


 「チュッ。そうですよ、いつもコトブキはイルとそういう雰囲気でしょうに。私達もその影響を多少は受けていますよ」


 「愛し合うのはとてもいい事。私も今日の夜はコトブキの家に行くから一緒。楽しみにしてる」


 「それは横に置いておくとして、さっきからエウリティアは微妙な顔をしてるけど、何かあるの?」


 「いや、まあ……何と言うか【暴食】もそうだけど、この二人がくっつく事は絶対に無いと思っていたから、余計に微妙な気分になってくるだけさ。私達は二人が憎しみ合いながら殺し合っているのを散々見てきたんだよ」


 「そうそう。こいつらの殺し合いが、天使と悪魔の間で一番強烈だったからねー。二人とも抜き身の刃で、ひたすら殺し合いしてたしー」


 「本当にその通りで、あそこまで苛烈に殺し合いをしていたのを知っている身としては、天地が引っ繰り返っても無いと思っていた事が起きているというわけだ。唖然としても仕方ないだろう?」


 「なんかー、異常な物体を見てる感じー」


 「失礼ね。どんな例えよ!」


 「そうです。私達は成るべくしてこうなったのですよ? 貴女達の言う殺し合いの果てが今なのですから、むしろ正しい形になっただけです。ねえ?」


 「ええ。こうなるのは必然だったのよ、きっとね」



 お互いに恋人繋ぎをした手を振りつつ、くっついて幸せそうな顔をしている。

 まあ、だからこそこじれるような事は無さそうだ。



 「僕としては好きにしてくれて良いんだけど、仲間として必要だから札を掛けるボードでも作ろうか。中で何してるか分かるように。流石に邪魔されるのは嫌でしょ?」


 「まあ、それはねえ……。今回はビックリしてそれどころじゃなかったけど、確かに邪魔されると冷めるのは間違いないわ。バレるのはアレだけど、悪い事をしている訳じゃないんだしハッキリ示した方がいいかな?」


 「そうですね。不在、部屋に居ます、取り込み中です。この三つくらいでいいでしょう。それ以上に増やしても仕方ないですし」


 「取り込み中はハートマークでいいのでは? そもそも、そういう事をしているわけですしね。その札が掛かっているなら、誰も近付きませんよ」


 「そうだね。部屋の入り口横に置いて、木製の札を引っ繰り返すっていう形でいいと思う。とにかく二人は星に下りたら普通にね」


 「今まで誰も気付いてなかったでしょ? 上手くやるに決まってるじゃないの。大天使にも大悪魔にも邪魔させるもんですか」


 「最悪はコトブキのマイルームでずっと過ごしますかね? そうすれば逃げ切れるとは思います。天使としては如何いかがなものかとも思いますが……」


 「いいじゃない。どのみち私達が生きている最大の理由は<死王>をどうにかする為なんだし。それさえ出来れば文句は無い筈よ」


 「あれ? 天使と悪魔って争ってたんじゃなかったの?」


 「それはお互いに気に入らないからだね。別に大天使様も大悪魔も私達に争いを強要した事は無い。ただ、私達がそれぞれの<美徳>と<悪徳>で示されるように、お互いの本質に色々あるという事さ」


 「たとえば私は生きる為の【暴食】だしー、【慈悲】は無慈悲な慈悲を持つんだよー」


 「孤児としての孤独と仲間を失った事、その寂しさを埋める為の【色欲】。そして初恋を最悪の形で壊された故の【純潔】。そういう風に色々とあるんだよ」


 「あんたにも結構知られてたのねえ。まあ具体的なところまでは知らないんだろうけど」


 「まあ、そこまで私は突っ込んで聞いたりしないさ。対立が酷い時にちょっと聞いただけ。……それにしても、天使と悪魔が恋人になるなら【寛容】と悪魔の誰かだと思ってたよ。まさか【色欲】と【純潔】だとは……」


 「何度も言うほど驚きなんだね」


 「【寛容】は誰でもオッケーなヤツだけど、私は無理。あり得ない」


 「【暴食】の語尾が伸びないほどだから、完全に無理みたいね。気持ちはよく分かるけど」


 「【寛容】は非寛容な寛容ですからね。仕方なく認めてやる、ですから、本質を知れば好かれるわけがありません」


 「ああ、元々の寛容なのか。社会や法の為に〝仕方なく受け入れてやる〟。そんな上から目線を、古くは【寛容】と言ったんだよ。今じゃあり得ないけどね」


 「【寛容】はそれだけじゃなく、自分の体を利用して仲間を増やしていくんだよね。ある意味で天使の中の【色欲】と言えるかも」


 「アレはねえ。大天使様も納得はあまりされてないんだよ。それでも【寛容】の天使で居られるのはアレの目的、つまり仕方なく受け入れているものを正しい形にする為に動いているからだ」


 「弱者救済。己の体を使って様々な者を利用し、それでも成し遂げようとしているのは弱者を救う事なのですよ。だからこそ大天使様も強くは言われませんし、今でも天使のままなんです」


 「【寛容】の弱者救済は本物で、女子供が弱者なら救い、貴族の男が弱者ならそれも救う。弱者であれば全て救済する、そこは一切ブレる事が無いんだ。そこだけは立派だと思う、方法が天使としてはアレだけどね」


 「そういえば天使と悪魔って全員は見つかってないらしいよ。前に掲示板に出ててねー……」



 ナツが言うには、雑談掲示板には天使と悪魔の性別と名前が出ていたそうだ。

 それ僕はまだ読んでないね。

 ちなみに全部でこうなってるらしい。



 男【謙虚】マニス

 男【忍耐】ファム

 女【慈悲】エウリティア

 男【勤勉】インダス

 女【寛容】リリティス

 男【節制】テンラ

 女【純潔】キャスティ


 男【傲慢】ラディアーダ

 女【憤怒】イスラ

 男【嫉妬】ヴィダ

 ?【怠惰】???

 男【強欲】アヴァド

 女【暴食】アルゼル

 女【色欲】ラスティア



 いつの間にか、ここまで情報が出揃ってるとは思わなかったよ。



 「成る程。アーチェだけ、つまり【怠惰】だけが見つかってないのね。あいつ隠れるのと逃げるのは得意だから仕方ないのかしら? 元々能力は高いし優秀なんだけど、あいつは……」


 「努力しても〝平民の女〟というだけで功績を奪われた者ですからね……。今も変わらず何処かに隠れているんでしょう。もはや<死王>との戦い以外に顔を見る事すらありませんし」


 「私達悪魔だってないしー、あいつが普段どこに居るかも知らなーい」


 「私も知らないわね? あいつ今は何処に居るのかしら? 昔はフロッグマンの国であるククタマに家を持ってたけど、知られている場所に長く居るヤツじゃないし……」



 どうやら【怠惰】の悪魔はアーチェという女性みたいだ。

 さっきキャスティが平民の女だから、と言っていたからね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ