0712・赤美味豚・実食
他にも色々とレトロゲームを考えてみたけど、思いつくものは無かった。
溶岩に関連する作品であれば<ド○クエⅢ>か<カリ○ンの剣>かってところかな?
溶岩が流れて固まっただけなら<ドラ○エⅢ>で、溶岩が冷えて固まったあと白くなっていれば<カ○ーンの剣>だと思う。
白いのは多分だけど冷えて凍ったからだと思うんだよね。それまでは真っ赤な溶岩で進めないし。
………という事は、おそらくだけど、どちらに似せているにしても、最後は溶岩を渡って階段って事になりそうだね。
<ドラク○Ⅲ>だと<ガ○アの大穴>に行く為の道作りで溶岩を利用するんだったかな?
<カリ○ンの剣>だとラスダンへの道だ。
どちらかによって微妙に違いそうだけど、攻略していればそのうち判明するだろう。
別に今すぐ分からなければいけない訳じゃないし。
「カンカン」
ファルが来たので食堂に行くと、今日の夕食はまさかの<トンカツ>だった。
何故……?
「まさかの<トンカツ>にちょっと驚いてるんだけど、今日のコレは<赤美味豚>だよね?」
「カタ!!」 「カタ!」
何故か師匠のスケルトン・クラフターもファルもが、タイミングよく頷く。
しかし相当の自信があるのか、その頷きも力強い。
<赤美味豚>だから気合いが入ったんだろうね。
ちょうど師匠が来たけど、皿の上に乗せられた<トンカツ>を見て片眉を上げた。
いつも洋食っていうか、ヨーロッパ系の料理が多かったからね。
師匠の口には合わないかもしれない。
ソースは幾つか用意してくれているけど、日本で使われる<とんかつソース>や<中濃ソース>が無い。
何故かゲーム内には<ウスターソース>も無いんだよねー、運営マーケットにはあるけど。
プレイヤーの手で作れって事なのかな?
トモエが中空を見ているけど、アレってまさか……。
「やっぱり<トンカツ>を食べるなら<中濃ソース>よねえ。コレが無いと始まらないでしょ」
自分だけ掛けてさっさと食べ始めてるよ。
僕も運営マーケットでソースを買って食べようっと。
………何で<ウスターソース>一つで13000デルもするんだろう?
確かに大きめのボトルだけどさ、それにしても高くない?
僕は皿の横に乗せてあるキャベツっぽい千切りにも<ウスターソース>を掛けてから食べ始める。
すると、横からイルが僕の<ウスターソース>を取って掛けていた。
「ふむ。この料理にはコトブキやトモエが掛けておるソースが合うのか?」
「<トンカツ>って豚肉に衣を付けて、たっぷりの油で揚げた料理だから、サッパリするソースでも合うと思いますよ。私は作ってくれたソースを使わせてもらいますけど、人によってはコレじゃなきゃ駄目という人も居ますので」
「成る程のう……」
「豚の肉って事は、コレが<赤美味豚>の料理って事ね! 楽しみだわ、どういう味になってるのかしら?」
「なにっ!? <赤美味豚>だと! いったいどういう事じゃ!!」
「現在攻略している神のダンジョンでは<赤美味豚>が出てくるのです。あの<赤美味豚>が幾らでも出てくるという凄い場所ではあるんですけどね、代わりに暑くて仕方がないのですよ」
「そうそう。今日もすっごく暑い中を………ん~~~~!! これ、美味しーーい!!」
「これ美味しい!! 脂が甘くて蕩けるし、肉はしっかりしてるけどジューシー! 凄いよ、このお肉!!」
「美味しい。これ向こうであったら、トップクラスの値段がすると思う。それでも牛に比べたら低いけど、結構な値段は確実」
「そりゃ牛はね、神戸牛があるから仕方ないよ。アレが異様なまでに天井を押し上げてるから、どうにもならないね。豚じゃ、あそこまで行く肉が無いからさ。それにしても、この豚は美味しいよ。絶滅しかける程に獲らせる気持ちも分からなくは無い」
「やってる事は最低だけど、食べれば気持ちは分かるね。確かにこれだけ美味しければ取り合いになるのも頷けるかな。それでも絶滅間近まで獲るのはどうかと思うけど」
「カタ!!」
師匠のスケルトン・クラフターが食堂を出たけど、何かあったのかな?
ファルは残ってるから、ファルには関係ないみたいだし。
いったい何なんだろう?
「あー! <破滅>、あんたおかわり頼んだでしょう! ズルいわよ!!」
「だったら、お主も頼めば良かろう。まだコトブキのスケルトン・クラフターはそこに居るでな、そっちに頼め。どうせ無限に出てくるダンジョンだ、獲れるだけ獲ってきたのであろうが」
「それはそうだけど……まあ、いいわ。ファル、私のおかわり作ってきて」
「カタ!」
「私の分もお願いします!」
「キャスティは止めておいた方がいいわ。また胸が増えるわよ」
「胸が〝増える〟って何ですか!? 三つ四つに分裂するような言い方は止めて下さい!」
「「「あはははははは……!」」」
女性陣は笑ってるけど、僕はスルーします。
ザ・男の入れない会話をされても困るんだよね。
あと、イルは自分の胸を触るのは止めてほしい。
別に小さくないんだから、気にする事じゃないと思うけどね。
「イルは自分の胸を触ってるけど、それ嫌味になるから止めなさいよ。そもそもキャスティが大き過ぎるだけで、私どころかイルだって大きい方だし」
「確かにイルが胸の話題で自分の胸を触るって、私に対するあてつけに思えなくもないね。それでも私以下が現れてくれて何よりだけど」
「アバターは嘘を吐けないものね。アマロはBでナツがC、イルはEで私がG。昔から私が一番大きかったものねえ。そこだけは変わらなかったわ」
「猛烈にムカツク!」
「どうどう、怒っても仕方ない。昔から言ってるし、事実は事実。後、大きいと歳をとったら垂れる。これは真理」
「それは事実だけど、自分もそうなるって事を忘れてる?」
「私は垂れないように運動と、なるべく胸に負担を掛けないようにしてる。形の為にも色々」
「私も負担は掛けないようにしてるわね。何ていう名前か忘れたけど、筋が柔らかくなるか切れるんだったかな? そしたら重力に逆らえなくなって垂れるんだった筈。……はー、やだやだ。その状態にはなりたくないわね」
「それはクーパー靱帯の事。大胸筋の低下でクーパー靱帯が伸びると垂れるし、バストが柔らかくなって垂れていく場合がある。後、最大の原因は加齢と出産。これは避けられない垂れ乳の原因」
「稀人は稀人というだけあって、向こうでは人間らしいからの。それは垂れるだろうて。妾には左様な事など無いから、気にもならんが」
「私も無いわねえ、だって悪魔だし。放っておいても体は修復されるからね」
「私も天使ですから、自動的に修復されます。天使も悪魔も最善の状態を維持するように出来ていますから、当然なのですが」
「私も無いね。大きくはないけど、垂れるなんて事も無い。そもそも筋が切れたところで回復するから関係ないんだよ。【暴食】は垂れるほど無いから大丈夫だけど」
「失礼なヤツだねー、まったく。それでも【嫉妬】よりはあるよー」
「あいつは男でしょうが。あれは胸っていうより胸筋よ」
せっかく美味しい<赤美味豚>を食べているのに、その食事時の会話がコレってどうなのさ。
僕一人だけが物凄く居心地が悪いんだけどね。
まあ、唯一の男だから仕方ないんだけども。
昔からよく周りに女性が多くて羨ましいって言われるけど、大抵の場合においてはこうなんだよ。
女性が多数で男が一人だと、非常に居心地の悪い事が多いんだ。
替わってくれるなら替わって欲しいくらいには居辛い。
そういう所を知らなさすぎなんだよね、まったく。
おかげで<赤美味豚>を味わえていないけど、これは諦めるしかないね。
ここで口を挟む勇気は僕には無い。




