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0711・耐性のランクとドラゴンの話




 頭がだってるっぽい二人を連れて帰り道を急ぐ。

 Z○Pされる階段を使ってもいいのだが、その後に歩く時間を考えたら46階の入り口まで戻るのも変わらないだろう。


 さっさと涼しい所まで行きたいのは僕も同じだけど、そこまで大量のモンスターラッシュを受けるわけでもない。

 なら時間の差はそこまで無い筈だ。

 だっているとはいえ、狂っているわけじゃないからね。


 何度かの戦闘を熟して、やっと46階の魔法陣の場所まで戻ってくる事が出来た。

 暑さでダメージを受けたのか、ラスティアとキャスティが床に座り込んだ。

 やはり長時間は厳しかったらしい。


 僕の方は渇水度がそれなりに上がっているけど、それでも死亡の危険領域までは上がっていない。

 前回よりも大分楽なので【耐暑(中)】の効果は十分にあったという事だろう。


 プレイヤーよりもNPCがダメージを受ける所みたいだね、あの環境は。



 「それにしても、暑かった……。本当に【耐暑】をどうにか大まで上げてもらわないとキツいわ。完全じゃなくても特大か極大ならもっと楽なんだけど……」


 「まだ中ですからね。とはいえ素材が素材ですから仕方ないんですが、それでも長時間は厳しいとしか言えません。何とか大のアクセサリーを作ってもらわないと、このまま攻略は無理です」


 「っていうか、大の上に特大とか極大とかいうのがあったんだね。完全っていうのはレアアイテムに付いてるのを見た事があるけどさ」


 「神の贈り物ぐらいよ、完全が付いてるのは。後、【耐暑】の極大を付けたいのなら、倒す必要があるのはヴォルケイノドラゴンね」


 「あんなのと正面から戦うなんて自殺行為ですけどね。私達天使が全員で掛からないと倒せませんよ。それぐらい強いですが、ダンジョンにしか居ないのは助かります。あんなのが自然界に群れていたら、どちらの星も既に終わっているでしょう」


 「分かる。ブリザードドラゴンも同じだけど、いちいち【耐暑】や【耐寒】の為に戦いたくなんて無いのよね。というか、そこまでいったらもう別枠なのよ。相手がおかしいとしか言い様が無い」


 「テンペストドラゴンとか、クエイクドラゴンとかもそうですね。あの災害級の連中は、戦う相手としておかしいです。それとゴールデンドラゴンとダークドラゴンもです」


 「それでもスケルトンドラゴンとかドラゴンゾンビよりも遥かにマシっていうのが、もうねえ……。ドラゴンの連中は頭がおかしいと思うわ」


 「スケルトンとゾンビって事は、ドラゴンもアンデッドになるんだね?」


 「そうよ。ドラゴンの回復力よりも遥かに上、異常なまでに瘴気を溜め込み吸収するドラゴン。別名<ネクロマンサーの天敵>と呼ばれる相手よ」


 「ん? <ネクロマンサーの天敵>?」


 「ええ。スケルトンドラゴンとドラゴンゾンビは、強烈なほどの瘴気ブレスを吐いてくるのです。一撃で正アンデッドが野良アンデッドになってしまう程の強烈なブレス。それは耐えられるものではありません」


 「それは流石に無理だね。でもドラゴンだからこそ、そこまで溜め込めるんだろうし、そうそう簡単に遭ったりしないでしょ」


 「ダンジョンボスとして出てきたりするから、駄目なら即座に帰還させた方が良いわ。開幕ブレスとかは無いでしょうし、駄目なら<破滅>に聞くしかないわね。あいつなら対策ぐらい知ってるでしょ」


 「ですね。<破滅>殿がアンデッドに困ったとかは、聞いた事がありません。となると、何がしかの対策方法はあるのでしょう。私は詳しくないので知りませんが」


 「私も知らないわね。さて、多少はクールダウンしたから、さっさと立ち上がって戻りましょう。水浴びがしたいわ」


 「そうですね。あそこで一気にクールダウンしましょうか。それに体も綺麗にしたいですし」


 「それだけ大きいと汗で蒸れるでしょうし、本当に大変ねえ」


 「………」



 ラスティアの危険なセリフはスルーし、二人が立ち上がったので、僕も立ち上がり運営ダンジョンを出た。


 マイルームに戻ってきた僕は個室に入って【クリーン】で綺麗にし、それが終わったら訓練場に行ってファルに呼び出す事を伝える。


 その後はソファーの部屋に移動し、ファルを連れて師匠のスケルトン・クラフターの所へ行く。

 何故かイルがついてきてるけど、そこはスルーしよう。


 師匠のスケルトン・クラフターに会ったら、師匠の倉庫に<赤美味豚>と<赤足蟹>の部位を渡して入れていってもらう。

 今日はこの豚肉などを使って料理をしてほしいと頼むと、何故かスケルトン・クラフターはサムズアップしながら激しく頷いた。


 イマイチよく分からないけど、珍しい食材だからやる気になったのかな?

 とりあえずテンションの高そうな師匠のスケルトン・クラフターとファルに後を任せ、僕はソファーの部屋へと戻る。



 「どっか行ってたみたいだけど、何処に行ってたのよ?」


 「師匠のスケルトン・クラフターに食材を渡してきただけだよ。運営ダンジョン46階では<赤美味豚>と<赤足蟹>っていうモンスターが出てくるんだ」


 「「<赤美味豚>!!!!」」


 「エウリティアとアルゼルが急に大きな声を上げたけど、その「あかびみぶた」に何かあるの?」


 「ラスティアとキャスティも凄い反応をしてたけど、かなり美味しい豚らしいんだよ。そもそも赤色、美味しいという意味の美味、豚で<赤美味豚>だから」


 「あー、成る程。<赤美味豚>なんだね。で、それが運営ダンジョンの46階から出てくるってわけかー」


 「他にも蟹があった」


 「<赤足蟹>ね。こっちもなかなか美味しいらしいから、師匠のスケルトン・クラフターに言って倉庫に預けてきた。今日の夕食では出ないだろうけど、いつかは出るんじゃないかな?」


 「ラスティアとキャスティが反応して、エウリティアとアルゼルが大きな声を出すくらいだから、相当に美味しいんでしょうね。呼んでこなくていいの?」


 「二人は今日も暑さで苦労したから、現在は水浴び中だよ。呼ぶならトモエが行ってきてくれない?」


 「成る程ね。まあ、暇だからいいわよ。何故かギンがコトブキの所に入り浸りみたいだから、ちょっと行ってくる」



 そしてトモエが消えたので、僕らは雑談を始める。

 といってもテンションの高いエウリティアさんとアルゼルによる<赤美味豚>の話ばっかりだけど。

 食べられなくなったからこそ、食べたくて仕方がないらしい。


 そうしているとトモエからメッセージが飛んできたので、僕はラスティアとキャスティを呼ぶ。

 どうやらトモエが行った時に丁度終わったらしい。



 「ふう。やっとサッパリしたわ。それにしても、暑苦しくて堪らなかったわよ。あそこは【耐暑(中)】じゃ厳しいわ。何としても大が要るわね」


 「そうですね。中では長時間の探索は無理でしょう。次回までには大の用意をお願いします」


 「ああ、うん。できたらね。無理なら二人は留守番って事で」


 「ええ。流石に休ませてもらうわ。大があればそこまで汗も掻かないと思うし、問題ないと思うんだけどね」


 「おそらくは進むと大の素材があるとは思います。あの暑さのまま攻略しろというのは、幾ら神の試練とはいえ無いでしょう。あれを長時間は無理です。強引に突破は可能かもしれませんが……」


 「それに赤い変なので階段が塞がれてたしね。アレも含めて色々と怪しいし、あそこ何かあると思うわ」


 「赤い変なのってなに?」


 「階段の上に赤いバリアーみたいなのが張られてて、石を投げたら「ジュッ」って蒸発した」


 「何よ、それ? どう考えても赤いバリアーを外さなきゃ先に進めなくなってるじゃない。っていうか、なんで赤いバリアーなのよ?」


 「それを僕に言われてもね? 何かの作品から持って来たんだろうけど、何かは不明。パッと思いつく物が無いんだ。何かある?」


 「私はレトロゲームに詳しくないので知りません」


 「私もー」


 「私もあんまり覚えてないわねー」


 「…………セ○ションZ」



 ………あー、アレかー。

 確かに分からなくはないけど、マイナー過ぎない?


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