0710・まさかの階段
この地形の中ではモンスターの弱点を突いてはいけないという、妙な縛りの中で戦わなくちゃいけないようだ。
レトロゲームにもそういうのがあるけど、これ思ってる以上に厄介なんだよね。
わざわざ相手の弱点があるのに、それを突かずに倒さないとドロップアイテムがゴミになる。
更に言えば、弱点が突けないので時間が掛かるし、時間が掛かればダメージを受ける可能性が上がってしまう。
それでも皆は上手く防いだり避けたりしてるけど、出来れば早く倒せる方法を編み出したいところだ。
無駄に時間が掛かっている所為で、簡単には次の階への階段が見つかりそうに無い。
順調にドロップアイテムは得ているんだけど、だからと言って本来の目的は攻略だからね。
時間が掛かると、そっちが疎かになってしまう。
<赤美味豚>以外は弱点を狙おうかな?
「それで良いんじゃない? 一度持ち帰ってみてからでしょ。もし大して使えない物だったら集めるだけ無駄だもの、だったら弱点攻めて倒した方が手っ取り早いわ。数も十分に集まっただろうし」
「ですね。コトブキが試作で使える程度の分量は集まっています。<赤足蟹>の出現頻度も多くありませんし<赤美味豚>もそこまで多くありません。一番多いのが<ヒートスライム>と<ルビーバード>ですからね」
「面倒よね、いちいち。<ヒートスライム>に構ってると上から攻撃してくるし、あれ絶対に上で確認してから急降下してきてるわよ。本当に面倒くさい鳥」
「ああいう嫌がらせを好んでする鳥って居ますからね。しかもそういう鳥に限って弱いですし、弱い癖に嫌がらせばかり。倒しても良い物なんて手に入らず徒労に終わるだけ。色々な意味で腹立たしいモンスターですよ」
ゲームならよくあるパターンだよね。リアルではあり得ないタイプのヤツ。
本当にリアルで居たら駆除対象だし、弱いなら間違いなく近付いたりしない。
カラスも嫌がらせをしたりするけど、大抵は人間側から何かしたから、その個人に対して復讐しているだけだったりするしね。
こちらから何かしなければ、何もしてこない事は多い。
そんなスライムと鳥を弱点なり魔法で倒しつつ、46階をウロウロとしていると階段を発見。
僕達は下ってみる事にした。
下りた先は平原であり、遠くにネズミやウサギが見える。
何で急に平原? と思うも、とりあえず近付いて鑑定してみた。
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<アースラビット> 魔物 Lv2
何処にでも居るウサギの魔物。非常に繁殖力が高く、絶えずネズミのモンスターであるアースラットと巣穴の奪い合いをしている。稀に希少なアイテムを落とすが、その確率は高くない
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「これ土ウサギじゃん……。すると、もしかしてここは2階から4階の何処か? もしそうだとしたら……」
「あの階段の何処かで転移したという事でしょうね。厄介な事になってきましたよ、これは」
「あんな暑い所をウロウロして、正解の階段を探せって? 神はどれだけ嫌がらせをしてきたら気が済むのよ。しかも面倒臭いモンスターを配置してさ! <赤美味豚>と<赤足蟹>だけでいいじゃない!」
「ま、とりあえず愚痴ってても仕方ないから、一度脱出しよう」
ここが2階なんだとしたら、上にアスレチックの階がある筈だ。
そこから脱出できるから、一度脱出しよう。
ウロウロしていると階段を見つけたので登り、予想通りにあった魔法陣で脱出。
そして再び46階の魔法陣へと戻ってきた。
それにしても、まさか戻されるとは思わなかったな。
厄介な事をしてくれるよ。
愚痴を言いたくなるのを堪えて、今度は地図を描く為の道具を持ち込んで描いていく。
暗闇ダンジョンじゃないし大丈夫だと思ってたんだけどね、まさか戻されるとは予想もしていなかったよ。
これはもしかしたら<ド○アーガの塔>のZ○Pなんだろうか? と頭に浮かんだけど、まだどうかは分からないね。
もうちょっと詳しく調べてからだろう。
僕は簡易的な地図を描きつつ、先程の階段を描いて<2階>と横に書き記しておく。
これで間違った階段だという事が分かるので、同じ失敗はしない。
別の階段を探しながら歩き回り、先程よりも先で階段を見つけた。
これが正解か分からないが、溶岩に近いので可能性は高いだろうと思われる。
「どうかは分からないけど、結局は下りてみるしかないんじゃない? 一度は調べなきゃ分からないんだし、どうにもならないわよ。ここで話し合っても仕方ないし、暑いだけ」
「階段の方が涼しいのは事実ですし、失敗してもクールダウンにはなりますから良いのでは? 行ってみなければ分からないのは間違いありませんよ」
「そうだね。とりあえず下ってみようか」
そう言って階段を下りていくと、再び溶岩地帯だった。
なので、あの階段が正解の階段だったらしい。
僕が地図に先程の階段が正解だと描きこんでいると、ラスティアとキャスティが微妙な表情をしていた。
どうやらZ○Pされて涼しくなりたかったらしい。
気持ちは分かるけどねえ……。
そんな二人を励ましつつ先へと進むと、早速<赤美味豚>が現れた。
このモンスターだと目の色を変えて狩るよね、二人は本当に現金だと思う。
<赤足蟹>でも変えるけど<赤美味豚>ほどじゃない。
そんな元気になったり暑そうにしている二人を微妙に思うも、僕は地図を描きながら戦闘をしつつ階段を探していく。
すると47階の階段を見つけたのだが、階段の入り口に赤いフィルムみたいなのが張られていた。
いや、若干ブレたりしているからバリアーかな?
「これ、多分だけど触れたら酷い事になるよね? ………近くの石を投げてみようか?」
「調べた方が良いわね。頭が熱さで茹っていたけど、コレを見て一気に冷えたわ」
「ええ、本当に。なんというか、凄く禍々しい赤ですし、触れると焼き尽くされて死にそうです。嫌な予感しかありません」
僕が近くで適当に拾った石を投げると、その石は赤いフィルムに触れた瞬間「ジュッ」という音を残して蒸発した。
「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」
流石にコレはヤバい。
いや、ヤバいなんてもんじゃないよ。
触れだだけで死ぬとかおかしいでしょ。
どうなってんの、コレ?
石が煙のようになって蒸発したところを見たからか、もはや意味不明すぎて何も口に出来ない。
それは僕だけじゃなく皆も同じだ。
それでも頑張って口を開いて声を出す。
「…………とりあえず、この階段は使えないから別の階段を探そう。どう考えても赤いバリアーを外さないと突破できない」
「……そうね、アレは無理だわ。絶対にここから先へと進ませないという意思を感じるもの」
「何処かへ先に行って、何かをしてこなければ通れないのでしょうね。またスイッチでしょうか?」
「さあ? ボスを倒してくる事かもしれないし、何かを取ってくる事かもしれないわよ? スイッチとは限ってないから、思い込むのは止めた方がいいんじゃないかしら」
「ですね。とりあえず他の階段を探しましょう。この危険なのは何かをするか見つけてからですし、迂闊に近付きたくありません」
という事で、僕達は危険な赤いバリアーが張られている階段から離れた。
とてもじゃないけど、あんな危険な場所の近くに居たくない。
それは仲間達も変わらなかった。
その後もウロウロした結果、別の階段を発見したもののタイムアップ。
そこにはバリアーが無かったから、そっちが先だと思われる。
一応の確認の為に下ったけど、次も溶岩地帯だったっぽいので帰ってきた。
Z○Pされる階段は一つだけだったみたいだね。
それはそれで腹立たしいけど仕方ないと諦めよう。
さっさと戻らないと僕も厳しいし、ラスティアとキャスティは相当に頭が茹ってるっぽい。
【耐暑(中)】でも長時間は厳しいようだ。
別作、「時空の旅人 ~イシスとヌン~」が140話を超えました。宜しければ、御一読ください。
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