表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
706/753

0706・とある女性の本音と本質




 無事に皆の装備も作り終わり、身に着けさせたので僕は訓練場で遊ぶ。

 イルはメイやギンと遊んでいるので放置し、他の支配モンスターや召喚モンスターとの訓練を始める。


 僕が持っているのはいつも通りの木刀であり、そこら辺の適当な木で作った物だ。

 なるべく悪い物で戦うのも僕自身の修練の為でもある。

 なかなかの大人数が敵だけど、これぐらい居ても良いだろう。


 戦いが始まるとすぐに前衛陣が攻めて来るけど、甘い甘い。

 ウチの召喚モンスター達は、そんなに隙だらけで攻めて来ないよ。


 すっかり僕を警戒して簡単に攻めて来なくなった仲間達を尻目に、僕は攻めて来る支配モンスター達とアマロさんの召喚モンスター達と戦う。

 もちろん殺気と殺意はいつも通り全開にしている。


 若干とはいえ戦いにくそうにしているので、スキルでない殺気と殺意にも意味があるのだろう。

 若干でしかないが。


 それでも僅かに動きが鈍るという事は、戦いにおいては致命的なわけで……。

 彼らはボコボコにされながらも、僕には攻撃をまったく当てられない。


 魔法を使われれば、戦っている相手を誘導して盾にし。

 スキルで攻撃してくれば、その出始めを叩いてキャンセルさせる。

 そしてそこで崩れたら更に追い打ちを掛けて潰す。


 そういった戦いを繰り返し、相手の多数という優位を使えないように仕向け続ける。

 ウチの召喚モンスター達はそれを知ってるから迂闊には攻めて来ないんだけど、知らない相手にはついつい教えたくなるんだよね。

 もちろんワザとだけど。


 数の優位を持っている側は有利なんだから、僕に数の優位を利用されても仕方がないよね。

 戦いとは非情なものだし、殺すか殺されるかしか無いんだからさ。



 「モシカシテ、ウカツニセメテハダメナノデハ?」


 「ソウ。ウカツニセメルト、マエノヤツラヲリヨウサレル。ダカラワタシタチハ、カンタンニセメタリシナイ」


 「ヤハリ……。コノママデハカテマセンガ、シカタアリマセンネ。カズガオオスギテ、サクセンヲクムノハムリデス」


 「ソモソモ、クンダトコロデイミガナイ。ドウセコロガサレルダケ。ジブンノチカラヲミガクイガイニハ、オソラクカテナイ」


 「ソウデスカ……」



 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 「普通に作戦を組もうとしてる事にも驚きだけど、それ以上に諦めてるのにも驚き。やっぱり思っているより頭が良い」


 「それもあるけどー、それ以上にアレと戦い過ぎなだけだと思うよー? っていうか【純潔】が負けたっていうのも納得なぐらいに頭がおかしいねー………。うん、アレは無い」


 「無い事は無いし、目の前に在る。アレがコトブキだからどうにもならない。アレはそもそもそういうモノ」


 「………アレを好きになるって、君も大概におかしいよねえ。どう考えてもアレは好意を寄せる対象にはならないよ?」


 「??? ………何を言っているのか、ちょっと分からない。アレだから良いのであって、普通なら意味が無いし魅力も無い。私はコトブキの顔を好きになった訳じゃない、あの本質を好きになった。それだけ」


 「………(何を言ってるのか分からないのは、むしろこっちだよ)」


 「何故そこで黙る? 特に変な事を言ったつもりは無いし、唯の個人の好みでしかない。それは変な事?」


 「いや、別に変じゃないけどねぇ。ただ……」


 「私はアレが好きで、アレに殺されても構わない。それも含めて私はアレを好きなのであり愛している。それは子供の頃からも、そしてこれからも変わらない」


 「そうなんだ……(両方おかしかったかー……。まあ、それならそれで見てて楽しいからいいけどねー)」


 「できればアレの破壊衝動や殺意は、私に性欲としてぶつけてくれると嬉しい。でもそこまでには、もう少し時間が掛かりそう」


 「………(こっちも大概におかしい。これって性欲じゃなくて愛欲だね?)」



 △△△△△△△△△△△△△△△



 僕と戦った経験の無い者達は大体沈んだし、後はいつものメンバーと慎重に様子見をしていた者達だけだ。


 それにしてもアルゼルが来てるみたいだけど、食事もせずにイルと話してる。

 何を話しているのか知らないけど、食べてないって珍しいね。


 おっと早速セナが攻めて来たけど、相変わらず一歩を詰めて来ないね?

 そこで一歩前に来ないから、ちゃんとした威力の打撃にならないんだし、牽制にもならないんだよ。


 軽すぎる攻撃では牽制にすらならないんだという事を、そろそろ覚えた方がいいんだけど……まだ難しいかなぁ。

 こういう事は身に沁みて理解してこそ意味があるからねえ。


 何故を突き詰めなきゃいけないんだけど、その何故を突き詰める為には基礎が必要だ。

 いや、基礎だけじゃ無理で応用も知る必要がある。僕はそれを天兵さんから習った。


 体を動かすスポーツなどでも勘違いしている指導者が居るけど「見て覚えろ」は話にならないんだよね。

 アレを信奉している人は、他人に教える才能も能力も無いから辞めた方がいい。


 天兵さんは勉強を考えれば分かると言っていた。

 足し算と引き算と掛け算と割り算。いわゆる四則演算を教えたら分数の式が解けるのか? という話だ。

 無理に決まってる。


 にも関わらず「見て覚えろ」という人は自分がそれをやれと言っている事を理解していない。

 分数の計算は分数の解法を教えなきゃいけないのに、教えずに「見て覚えろ」と言ってるわけだ。

 駄目なのがよく分かる。


 ちなみにだけど「ひらがな、カタカナ、漢字を教えれば古文が読めるのか?」とも天兵さんは言ってたね。それも無理だ。

 「ゐやゐやし」が丁寧で礼儀正しいなんて、知らなきゃ分からないよ。


 結局のところ「見て覚えろ」というのは「私は指導者としての能力がありません」と言うのと同じなんだよ。

 天兵さんはそうハッキリと言っていた。


 そもそも己の力で開拓するのは、全てが終わってからだ。

 そこで弟子は初めて新たな技を模索するのであって、師の下に居る間は教えてもらうのが先なんだよね。


 にも関わらず見て学べは明らかにおかしいし、そもそも見て学べるなら師の下に居る必要ないよねって話だ。

 見て学べるんだから、師が必要かって話になる。


 近くで見れるだろうって? 貴方がそれほど素晴らしい技を持つ人物ですか? で終わる話だと聞いた。

 天兵さんいわく「大した技も持たない者ほど見て学べと言う」んだそうだ。


 自分が教えられた技を、自らの血肉に出来ていない。

 出来ていないからこそ、教え方が分からない。

 教え方が分からないから「見て覚えろ」となってしまい、結局その弟子も大した実力にならない事が多いんだそうだ。


 元々センスがある人や才能がある人は「見て覚えろ」という人が居なくても一角ひとかどの人間になる。

 つまり弟子が凄くても「見て覚えろ」という人が立派なわけじゃない。


 おっと、思考が横道に逸れていたら、良い感じに連携するようになってきたね。

 セナとリナは相性が良いのかな? 意外と綺麗に嵌まってるよ。


 とはいえ、それだけじゃ上手いだけで追い詰められはしない。

 まだまだ僕を追い込むには甘いね。



 「ギャッ!!」


 「シマッタ!?」



 綺麗に連携できるのは良いけど、まだ深さが足りないから簡単に崩される。

 そして崩されたら復帰に時間が掛かり、そこを起点にして更に崩される。

 そうなるともう綺麗な連携は出来なくなるんだよ。


 綺麗にするほど崩れた時に脆くなる。

 だからこそ連携には遊びが要るんだ、崩されても大丈夫な遊びがね。


 セナもいつものメンバーとなら遊びがあるんだけど、僕を倒す為に外部の何かを入れる事にした。

 そしてそれがリナだったんだけど、連携が浅すぎて遊びが無い部分を僕に狙われた、と。


 言葉にすればそれだけなんだけど、狙われたセナからすれば腹立たしいんだろうね。

 狙われた後に気付いたみたいで、明らかに不機嫌になってるし苦々しい表情をしてる。


 とはいえ僕の勝ちは僕の勝ちだ。

 最後まで粘ってたけど、まだ足りなかったね。



 「クヤシイシ、ナットクガイカナイ!」


 「スミマセン、ワタシノセイデ……」


 「リナの所為というよりは、いつも勝てないからって外部のイレギュラーに頼ったのが悪い。正攻法で勝てないと意味は無いよ? だからこれからも頑張ろうか?」


 「ガンバッテ、タタキノメス!」


 「ま、とりあえず終わりだけど、イルはどうする?」


 「私はやらない。勝てないし、そこまで突き詰めたいとも思わない」


 「そう。じゃあ、そろそろ今日は終わりかな?」



 時間も時間だし、そろそろログアウトしよう。


別作、「時空の旅人 ~イシスとヌン~」が120話を超えました。宜しければ、御一読ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ