0702・運営ダンジョン45階・最後のボス戦の終了
波動で吹き飛ばされたものの、僕はすぐに立ち上がる。
何故ならウサギのボスは波動で飛ばした後、プレイヤー狙いで攻撃してきたからだ。
完全にヘイトを無視して攻撃してくるのは対処しないとマズいし、避けないと一撃で終了、なんて事になりかねない。
それは流石に困るので、立ち上がってすぐにボスを確認する。
それが良かったのだろう、ボスは今にも僕に向かって突進してくるところだった。
地面を足で掻いているので、これから突撃しますよというのが丸分かりだ。
僕はいつでも左右に跳べるように足を曲げて腰を落とし、ボスを「ジッ」と見つめる。
ボスは「ブルルルルッ!」と息を吐くと僕の方へと一気に突っ込んできたが、タイミングさえ分かれば回避するのは容易い。
足に<瞬足>を使って横っ飛び。それだけで簡単に回避できる。
そしてボスの背中に飛んでいく【アイスショット】。
どうやら高いホーミング性能を利用してセスが連発しているらしい。
なかなかに良い感じで当たっているので、それなりにダメージがあるのだろう。
氷の地形ではあるものの、吸収している感じもしないのでダメージは与えていると思う。なのでこのまま続けさせよう。
【スタンボール】が役に立たなさ過ぎてアレだからね。
あの魔法がもうちょっと役に立ってくれればいいんだけど、気絶しないとダメージが出ないという時点でアレ扱いしか出来ない。
しかも気絶率が然して高くないんだよね、困った事に。
避けたボス馬は僕を通り過ぎて、それなりに進んだ所で止まった。
その後、振り返ろうとしてまた魔法を受けている。
特にラスティアの【火魔法】が効いているみたいだ。
やはり地形的に効果が高いんだろう。
それでもラスティアは【水魔法】も使っているからか、何故かそこまでヘイトを集めていない。
僕も【ブラックボム】を使ったが、そこまでダメージは出なかったようだ。
次のターゲットはセスのようで、ボス馬は走って行ったものの皆もそれを追いかける。
そしてボス馬が止まってすぐ、セナがヌンチャクで足を殴りつけた。
「ブルッ!?」
馬は足を骨折すると死ぬしかないと言われるくらいだ。
胴体よりも足を重点的に狙うべきなのかもしれない。
でもボス馬の足ってメチャクチャ太いんだよね、アレを折るのは無理じゃないかな?
そもそもボスだから折れないように出来ていると思うし、それでもダメージは出やすく設定されてるかも?
そう思ったらセナが波動で吹き飛ばされた。
多少離れていた僕はすぐに<瞬足>で逃げたけど、もしかして足を攻撃すれば絶対に波動を飛ばしてくる?
可能性として無いとは言えないのが難しいところかな。次も同じなら駄目だろうね。
ボス馬が僕の方を向いて荒い息を吐くので、また突っ込んでくるんだろう。
いつでも避けられる体勢で待っていると、再び僕の方へと突っ込んできた。
それをサッと回避すると、<瞬足>で近付いて足を殴る。
槍の柄で殴ったんだけど、すぐに波動を飛ばしてきたので吹き飛ぶ。
が、分かっていたので後ろに跳んだし、そこまでのダメージは受けていない。
僕はすぐに立つと、皆に声を上げて知らせる。
「足を攻撃すると、必ず波動を飛ばしてくる! ダメージを与えたいから足に攻撃するのは禁止で」
ボス馬が僕を目掛けて突進してくるので横っ飛びでかわして起き上がると、ちょうどの場所で待機していたのか皆が攻撃を開始していた。
速いなと思いつつも、僕も起き上がって攻撃に参加する。
ボス馬は四方八方からダメージを受けていて、完全にボコられている。
このまま押し切れば勝てるだろうけど、もう一回か二回は飛ばされるだろう。
僕は波動が飛んできそうになったので離れ、吹き飛ばされるのを待つ。
ボスが一定のダメージを受けたのか波動を飛ばし近接組を吹き飛ばしたが、その直後に槍を【身体強化】で投擲する。
それは一直線に飛んで突き刺さり、ボス馬は悲鳴を上げた。
「ヒヒーーン!?!!?!」
突進の前にダメージを受けたからか、今までよりも憎しみの篭もった目で見てくるボス馬。
もしかしてあのタイミングって攻撃しちゃいけなかったんだろうか?
足を曲げて体勢を整え、いつでも跳べるようにしてボスを待つ。
ボス馬の胴体には槍が突き刺さったままで、随分と目立っている。
あれ引き抜いたら駄目かな?
「ブルルッ! ブルルゥ!!」
やる気というより殺る気しか見えないボス馬は、僕の方へと一気に突っ込んできた。
その速度は今までよりも速く、新たに何かのスキルを発動したようだった。
それでも僕の反応速度を超える程のものではなかったので、さっさとかわしてボスを見る。
すると、Uターンしてきて更に僕に突っ込んできた。これ、もしかしてパターンが変わってない?
波動の後に攻撃したと言うより、HPが減って行動パターンが変わっただけでしょ。
とはいえ、そこまで劇的に変更はされていないので、対処は難しくなく簡単だけどね。
再びかわして見送った僕は、後ろで止まったボス馬に近付いて槍を引き抜く。
しかしそこまで血が出る事もなくボス馬はまだまだ元気だ。
今回のボスは本当にサンドバッグ系ばかりで困るよ。
僕達は攻撃力の高い武器を持ってるんだけどね?
それでこれだけ掛かるって事は、他のプレイヤーはもっと大変だって事だよ。
幾らネクロ系でボスのHPが増えてると言っても、これはおかしい。
もしかしたら別の要因があるんじゃ……。
そこで思い出したのは光結晶であり、もしかしたらここのボスって光系メタなんじゃないかと考えた。
「皆、光結晶系の武器は止めて、重結晶の武器で戦うんだ! こいつに光系は碌に効いていない可能性がある!!」
「妙に時間が掛かるし生命力の高いボスだと思ったら、そういう事ですか!」
「今までのネズミやウサギもそうだった可能性があるわね! 光はキャスティとエストだけど、どうなの?」
「申し訳ありませんが、私は殆ど【木魔法】とウォーハンマーしか使っていませんので分かりません」
「カー?」
エストは首を捻っているので、エストも分かっていないようだ。
かつての蛙戦隊もメタってたんだから、今回もメタがあると考えるべきだった。
氷の地形で【氷魔法】が効くからスルーしてたよ。
槍が刺さってダメージを受けていたって事は、光系メタじゃなくて光耐性ぐらいかな?
とはいえ、かなりのダメージが減衰されている可能性がある。
特に僕とキャスティの物理攻撃は殆ど効いてなかったんじゃないかな?
僕は笹穂槍から重結晶製の太刀に切り替えてボスに攻撃を始める。
それでも斬った傷は深くならないので、そもそもの防御力も高いのかもしれない。
それでも皆で囲んでボコっていると波動で飛ばされた。
が、今までの間隔よりも早いので、やはり光系は効きが悪いという予想は正しいと思われる。
もしかしたらHPが減ったので早くなった可能性も否定は出来ないので、完全に正しいとは言えないけどね。
吹き飛ばされたのですぐに立ち上がり、突っ込んで来るボス馬をかわす。
行って戻ってくるボス馬を再びかわすと、皆が近付いて一斉に攻撃を始めた。
キャスティもグラディウスを抜いて戦っている。
セナはトンファーのみで戦っているが、コレばっかりは仕方ない。
ヌンチャクが光結晶製だし、あとは魔鉄の棒手裏剣しか持っていないんだ。
そろそろ棒手裏剣の素材も変えるべきかな?
そんな事を頭の片隅でチラリと考えていると、ボス馬がようやく倒れた。
ここまで時間が掛かると思わなかったけど、光に耐性があったのなら仕方がないだろう。
皆の顔を見ると「ホッ」としているのが多い。
実際に結構な時間を戦っていた気がするし、皆も疲れたんだろう。
何回も波動で吹き飛ばされたし。




