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0701・運営ダンジョン45階・最後のボス戦




 朝食が終わった僕達は師匠の家の前で二人を待ち、ユウヤとオウカさんが来たら魔隠穴へと転移する。


 いつも通りに採掘が終わったら戻り、今度はバイゼル山へ。そして鉄などを掘っている最中に牧場の話になった。



 「そう。昨夜コトブキが牧場を買っていたのを見て、ちょっと欲しくなった。羊と馬が特に良い感じだったし、アレはちょっと癒される。ただし二段階目にしないと牧草が無限に生えてこないし、水も無限に出ない」


 「そもそも牧草が無限って時点でおかしいし、水が無限に出てくるってなに? 色々とブッ飛びすぎてるでしょーが」


 「残念ながらそれが事実なのですよ、ラスティア。私もアレを見て呆れました。馬が牧草を食べたにも関わらず、その少し後に生えて伸びてくるんです。あんな理不尽は初めて見ましたよ」


 「「………」」


 「草なら無限に食べられるー?」


 「何を血迷ったのか知らないけど止めなさい。あんたがお腹を空かせてるのは知ってるけど、それでも今は大分マシでしょうに。なんで馬とかと一緒に牧草を食べようとしてんのよ」


 「【暴食】だからねえ……っていうのは冗談で、確かに無限に生えてくるとなれば、何とか食べられないかと思うのも分からなくは無い。無限にあるのならば有効利用を考えるのは普通の事だよ」


 「まあ、言いたい事は分からなくもないのですが、それにしたって草ですよ? 流石に消化は出来るでしょうが、問題が全く無いとは思えませんけどね? 茹でても焼いても駄目な気がします」


 「なら蒸すか揚げる? どっちにしたって牧草の時点で駄目な気しかしないけど、食べられなくはないと思うよ? 食べられなくは」


 「それは食べられるだけなのでは? 私は食べたいとは思えませんし、口に入れる気もありませんが」


 「古い時代の人だって、食べられる野草は厳選してた筈だぞ? 食べられるかどうかとか不味いとかいう意味じゃなく、純粋に消化不良で腹を壊すからだったと思うが」


 「何でも食べられる訳ではないですし、食べては駄目な物も多いですからね。何がしかの手を加えれば食べられなくはありませんが、無理をして食べる意味も無いでしょう。危険です」


 「んー………無理かー」


 「思ってる以上に食いついてる事に驚きだけどね。僕のマイルームの倉庫にもまだ料理は残ってたし、問題なく食べる物はある筈だけど?」


 「それとこれとはー、話が別かなー?」


 「無限という言葉に惹かれたんだろうけど、止めておいた方が無難だね。きっと碌な事にならないよ」


 「諦めるしかないかー……」



 本当に思っている以上に食いついてるなー。

 家畜と一緒にアルゼルが牧草を食べてるなんて光景は見たくないので、さっさと諦めてほしい。

 絵面が幾らなんでも悪過ぎる。


 結局は全員で諦めさせつつ採掘が終わり、今後はウェズベア森へ。

 いつものように熊を始末しつつ、重要な素材であるスライム系を乱獲する。

 それが終わったら師匠の家へと戻った。


 マイルームで精錬などを終わらせた後は雑談をして過ごし、ファルが呼びに来たら昼食へ。


 昼食後はさっさとマイルームへ戻ってログアウト。現実へと戻る。


 雑事と料理を終わらせたら食事にし、終わったら片付けなどを終わらせて自分の部屋へ。

 そして再びゲームにログイン。


 午後からは運営ダンジョン45階のボスだ。

 僕達は準備が終わったら41階に移動し、すぐに出発。


 途中のザコ戦でセスが新魔法である【アイスショット】を使ったようで、やっと【アイスショット】がどんな魔法か分かった。


 ようやく習得した割には名前がショボイなと思っていたんだけど、これはマルチロックオンの魔法で、しかも思っている以上にホーミングする魔法だった。


 威力は【アイスジャベリン】よりも落ちるものの、その代わりに命中力が極めて高い。

 更にマルチロックなので多数の敵に対して放てるし、弧を描いて飛ぶので味方越しにも使える。


 それらも考えると、十分に優秀な魔法だろう。

 もちろん一体に対して複数を放つ事も可能だったので、思っているよりも柔軟に使用できる魔法だ。


 これが今回の魔法で一番の当たりだったかもしれない。

 【雷魔法】の【スタンボール】は気絶しないとダメージも入らない魔法だったので、失敗した時の落胆が大きい魔法だった。


 昨日の移動で道順は分かっているので実験しながら進み、44階。

 昨日は地面の膨らみを踏んでウサギのボスの居る階段を下りたが、今日は地面の膨らみ自体が無かった。


 つまり、ウサギのボスへと進む道自体が無くなっているらしい。おそらくはネズミのボスも同じだろう。

 これでようやく見えている階段を下りてのボス戦だ。


 僕達は階段を下った先にあったボス扉の前で休憩。

 十分に休んで回復したら、ボス扉を開けて中へと入る。


 先に聞いていた通りに地形は氷だが、出てきたのは二本角の馬だ。

 何故か翼が生えていないが、もしかしたらウサギのボスを倒したからかな?



 「皆、ボスには翼が生えていないみたいだ。飛び回られたりはしないだろうけど、慎重に戦おう。どれだけの強さをしているか分からない」



 皆もそこは分かっているようで、バラバラに分かれた後で様子見をしている。

 馬である以上は高い確率で突進攻撃をしてくるだろうし、それをスカしての反撃になるだろう。


 そう思っていたら、早速とばかりにキャスティに突っ込んできた。

 ドースのように三重スキルという訳じゃないが、かなりの速度が出ている。


 ドドッ!ドドッ!ドドッ!ドドッ!ドドッ! と馬が駆けてくる音がするが、滑る事無く走ってくる。

 ボス馬の体高は2メートル50センチぐらいだろうか? 足も太くゴツい体型だ。


 そしてそんな馬のボスを前に、動かず盾を構えているキャスティ。

 どうやらあの突進を受け止める気らしいけど、大丈夫だろうか?


 ドドッ!ドドッ!ドドッ! ズドォン!!! という音がしてキャスティが押されるものの、それは1メートルくらいで止まった。

 それは凄いが、キャスティの盾の前に紫色と黄色の壁が見える。



 「魔力の盾と闘気の盾。二重に使えば突進を受けてもこんなものです。っと、危ない」



 突進を受け止められた馬はキャスティに噛みつこうとしたものの、キャスティは<瞬足>を使って離脱。

 そして僕はその瞬間、持っていた槍を真っ直ぐに投擲した。


 僕の立ち位置は元々後ろだったので、滑ってきたキャスティと止められた馬とはそこまで離れていない。

 なので動かず投擲しても、余裕でボス馬に当てる事は可能だ。


 側面から槍が突き刺さった馬は「ブルァァ!!」と叫ぶも、次の瞬間にはキャスティに顔をブン殴られる。


 顔が横向きに多少飛んだと思ったら、セナがその顔にヌンチャクを振り下ろして殴りつける。

 そしてその隙にシグマとセスが左右の側面から攻撃を始めた。


 僕もすぐに近付いて槍を抜き、ボス馬の体にザクザクと突き立てていく。

 ボス馬の皮膚は硬いものの、決して突き刺さらない訳ではなく十分なダメージを与えられる。


 もしかしたら武器が良いからかもしれないけど、それでもダメージが与えられるなら一気呵成に攻撃するべきだろう。


 そう思い攻撃していると、突然波動のような物を飛ばして吹き飛ばしてきた。

 ウサギのボスもそうだけど、簡単にはボコられてくれないようだね。


 これ以降のボスはこんな感じで、距離をリセットされるボスが主体になるのかもしれない。

 なかなかに厄介だし、仕切り直しをされると再び接近するのにリスクを背負う。


 もちろん運営側はそれを分かって波動を使わせてるんだろうけど、今まで以上に慎重に戦わないといけないね。


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