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0061・はじめてのダンジョン




 『おっ! コトブキじゃないか、昨日ぶりだけど……もしかしてダンジョンか?』


 『そうそう、昨日言っておいたダンジョンの話。ちょうどログインしたし、朝からダンジョンへ行こうと思ってるんだけど、ユウヤはどうする? 昨日、伐採に行くって言ってたけど』


 『行く行く。そっちで待っててくれ、直ぐに転移陣で行くからよ。ついでにダンジョン街ってトコで何か食ってから入ろうぜ? 今日はいつものお手伝いさんも泥酔しててさ、朝っぱらから何も食ってねえんだよ』


 『泥酔って……ウチの師匠とラスティアも泥酔してたけど、どうやら一緒に飲んでたみたいだね。いつ帰ってきたのか知らないけど、師匠の家でも飲んでたんじゃないかな? ログインしたら大きなワイン樽が鎮座してたし』


 『フレンドコールを使うのは良いけど、全方位チャンネルになってる。ウィスパーモードにする必要もないけど。それより、コトブキとユウヤは合流できた? 何故?』


 『僕の師匠がユウヤの師匠であるシャルロットさんと知り合いで、強引に転移陣で繋げたからだね。ユウヤの居る所はバイゼル山っていうらしいよ? 何処にある山か知らないけど』


 『バイゼル山って、私が居るサキュリアとブラッディアに跨る山じゃない。王都よりも北の方にあって、それが東西に連なってるらしいわよ。ユウヤ、そんな所にいたの?』


 『知らねえ。そもそも俺は山の名前も知らなかったし、師匠に聞いた事も無かった。聞く意味もないほど山の上だったし、修行中だったしな。そもそも俺が自分の居る山の名前を知ったの、コトブキと一緒に初めて町に行った時だぜ?』


 『それも凄いねー。第二陣が来てるタイミングで町に初めて行ったって、開始直後と間違えられるレベルだよ。変なのに絡まれなかった、コトブキ君?』


 『いや、そんな事は無かったね。むしろ僕一人の方が、盗賊に何度も襲われてるよ。毎回返り討ちにしてお金儲けのカモにしてるけど』


 「おっと、ユウヤ来たね。それじゃあ、ダンジョンに行こうか?」


 「おう! それにしてもコトブキがダンジョン行ってないって事は、中がどうなってるのか分からないって事だよな。なんかワクワクしてくる!」


 『ユウヤと合流したから、これからダンジョンに行くよ。まだ入った事ないから僕も楽しみなんだけどね。どんな感じなんだろう?』


 『あれ? コトブキ、あんたまだ入った事なかったの? 私は入った事あるわよ、町の近くにダンジョンあったし。というか、今も来てるし』


 『『えっ!?』』


 『どうやらナツもイルも知らなかったんだね。トモエはレベル上げの場所を探してて見つけたの? それとも別の理由?』


 『前に言ってた通り、レベル上げの為に色々探してたら、ウチのシルキーさんが「ダンジョン行ってこい」って言って場所を教えてくれたわけ。まさか師匠の居る町のすぐ近くだと思わなかったわよ。灯台下暗しってヤツね』


 「おっと、着いたな。近いっちゃ近いけど、面倒な距離っちゃ面倒だな。総じて微妙な感じ。コトブキがダンジョンに行かない気持ちも分かるわ。アンデッドで経験値稼げるんだしな」


 「でしょ。で、どこで食事する? 僕も多少の金銭は持って来てるから……ここは敢えて屋台だね」


 「俺も同じ事思ったわ。ついでに中で食う物も買っていくか。余ったところで問題ないし、インベが足りなくなったら食えばいいし」



 僕達は屋台で串に刺された焼き鳥を買う。僕は5本でユウヤは10本。巨人族だけど、食べる量が大量になる訳じゃないらしい。そこそこ増えるけど許容範囲内なんだそうだ。体が大きいからってエンゲル係数が跳ね上がっても困るだろうしねえ。


 ユウヤが横で焼き鳥を食べながら見回りつつ、僕達はダンジョンの入り口を聞き移動、目の前まできた。そこには唯の地面しかなく、その地面に直径20メートルほどの巨大な魔法陣が描かれている。


 ダンジョンの中は異空間となっていて、この迷宮魔法陣からしか入れない。出てくる時も迷宮魔法陣から出てくる事になるが、スタンピードの際もここから溢れてくる。そんな事を近くの兵士から教わった。


 魔法陣の色が青なら問題なく、黄色に近付くと小規模なものが起こる恐れあり、赤だと大規模なスタンピードが起こる恐れありと長年の経験で分かっている。そして、現在の色はオレンジ。……嫌な予感がするなぁ。


 ユウヤと2人、顔を見合わせて嫌な予感を感じつつも、迷宮魔法陣の中心に歩いて行く。魔法陣の中心に立つと、僕達はダンジョンの中に転移していた。


 中は草原みたいなところで、周りにはウサギとかネズミにスライムとかゴブリンが居る。そういえば敵で出てくるゴブリンは目つき悪いけど、トモエの連れてたゴブリンは目付きが悪くなかったな? 仲間になると変わるのか。



 「おお、初めてスライムとかゴブリンを敵で見たぞ。トモエの連れてたやつは仲間だったからか、あんな睨みつけるような目はしてなかったのにな?」


 「僕も同じ事考えてたよ。それより下に進む階段があるらしいから探そうか? 入るのには魔法陣に乗るのに、次に進むのは階段なんだね。まあ、ダンジョンという異空間って言えば終わるんだろうけど」


 「まあ、そりゃ……な!!」



 近付いてきていたゴブリンに、ユウヤが狼牙棒を振り下ろしたけど、その一撃でゴブリンは死んだらしく消えていった。流石にゴブリンで、しかも頭を潰したら一撃か。当たり前と言えば当たり前なんだろうけど、何か弱いなあ。どんどん進もう。


 僕達は色々と動き回りながらも次の階への階段を見つけ、下へと降りていく。若干ドースが下りにくそうにしているが、それでも転げ落ちるという事はなかった。2階に下りてきたものの、そこは1階と変わらない草原だ。


 特に何か変わったような……うん? ウサギとネズミが居ない? ゴブリンとスライム……に灰色の犬と鶏?。



 ―――――――――――――――


 <チキン戦士♂> 魔物 Lv9


 戦う鶏の雄。そのトサカは勇敢さの証


 ―――――――――――――――



 「いや、知らないよ。勇敢さの証とか言われても困るし」


 「急にどうしたコトブキ、あの鶏か? ……チキン戦士、しかも雄って表記されるのかよ。っつーか、俺が食った焼き鳥の肉ってあいつか? ……何かそれっぽいな。塩だけだったけど、普通に美味しかったぞ」


 「ふーん。だったら狩っておこう、か!」



 僕は石球を投げて頭にぶつけると、その一撃で即死してしまったようだ。気付かれていたのに一撃かー、ここも然して強くないみたいだ。先に続く階段を見つけよう。長居する理由はないね。



 「石球投げて一撃、となると大して経験値もくれないな。鶏肉が欲しい訳でもないし、さっさと先に進もうぜ。階段を探さなきゃいけないのが面倒臭いけどよ」



 僕とユウヤは再びダンジョンの中をウロウロし、次への階段を見つけると、さっさと下りて3階へ。今度も草原だったが、スライムとゴブリンが消えており、代わりにコボルトっぽいのと、スネークが出てきた。



 「どうやら多少は戦えそうなのと毒持ちか。毒持ちの方は悪いけどコトブキの召喚モンスターに任せるわ。俺もコトブキも毒を治す薬なんて買ってきてないし、回復魔法も使えねーしな」


 「カタ!」 「マカセル!」 「ブルッ!」 「ク!」


 「何だか殺る気MAXみたいだけど、空回りしないようにね。【魔力感知】と【闘気感知】を持ってるセナとドースを主体にして索敵」



 僕の言葉を聞いてるのか聞いてないのか、早速辺りをウロウロし始めた4体。まあ、任せても大丈夫だろう。たぶん。


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