0062・初めてのボス戦
皆が動き回ると僕達に寄ってくる危険がある為、ファルとセナ組、ドースとフォグ組に分けた。その2組は僕達の左右をウロウロしつつ、スネークを率先して片付けてくれている。何と言っても、地面を這ってくるのはスネークだけなので分かりやすい。
グレイドッグやコボルトなどは目視で分かるし、チキン戦士♂は見え難いものの、ここでは一番弱い。鶏はどこまで行っても鶏らしい。蹴りの威力は多少あるものの、その程度とも言える。僕ですら然したるダメージを受けていない。
そんな中をウロウロとしつつ、大した事もないドロップを集めながら下への階段を見つけたので下る。4層も再び草原。そのうえ、どうやら出現する魔物が変わらないようだ。何だそれ? と思ったものの、どうも数が結構多い。多くの狩人がここで狩りをしているのが見える。
「成る程な。これだけの数で狩りが成り立つっていうのも凄いが、これだけの数でもダンジョンの魔法陣がオレンジっていうのが怖いなー。まあ、迷宮魔法陣の周りは分厚い塀だし、その周りは深い堀になってるけど」
「とはいえ、空堀だから埋まっちゃうけどね。水堀なら死体は流れていってくれるんだけど、空堀じゃねえ……ダンジョンスタンピードってよくあるネタだけど、NPCが死亡するかどうかで印象ガラッと変わるし、防衛は難しいと思うよ?」
「色がオレンジだもんなあ……最初は黄色でお願いしたいところだけど、最初からオレンジじゃどうにも出来ないぜ? 進化個体のスタンピードだったら目も当てられない被害になるだろ」
「そこはもうベテラン狩人に期待するしかないんじゃない? 僕らは出来る事を精一杯やるだけだよ。それしか出来ないんだしさ。例えゲームでも正義のヒーローじゃないんだから、全部救うのは無理だし」
「まあな! っと」
そもそもこのゲームは出発地点がバラバラなんだし、どう考えてもスタンピードを止められる戦力なんて無い。今近くに居るプレイヤーだって少ないだろうし、殆どNPC頼りの戦いにならざるを得ない。というか僕達以外に居るんだろうか?。
考え事をしていた所為でスネークが近寄ってきていたのに気付かず、慌てて【ダークバインド】を使って身動きをとめる。止まっている隙に僕とユウヤで倒したけど、毒を受けていたら面倒臭い事になっていた。ユウヤと2人で安堵の溜息を吐く。
その直後、下への階段を見つけ下るも、5階は階段を下りたら真っ直ぐ一本道だった。進んで行くも、すぐに目の前に大きな扉が見え、僕達はその前で腰を下ろして休憩する。
「コレって間違いなく、ボス部屋の扉だよな? 中に何が出てくるか分かんねえけど、最初のボスだからそこまで強くはないと思う。今まで出てきた魔物も最強でコボルトだし。中はコボルトの群れじゃないかと思う、もしくはオーク」
「僕もそこまで強くはないと思うけど、コボルトが出てくるなら、多分上位種も出てくるんじゃないかな? ハイコボルトなのかは知らないけど」
「何が出てきても俺とスケルトンは前線で防御、その間に他の皆が数を減らす。その基本方針は変えない方がいいだろ。ボス戦だけ特殊な事すると、細かいミスをして全滅しそうだからな」
「そう思うけど、一応ある程度の対策をしておこうか。相手が1体だとユウヤとファルが前へ、多数だと僕が先に前に出て範囲魔法を連発。そもそも初めてのボス戦だし、細かく策を立てる必要も無いでしょ」
そう言って、休憩を終えた僕達はボス部屋の扉を開けて中に入る。中は石造りの部屋で、ガランと開いており何も無かった。そんな中、地面に突如魔法陣が現れて、魔物がせり上がってくる。来るんだけど……。
「ある意味で予想通りだけど、猪顔って事はオークが10体ほどか? コボルトよりも強いとは思うけど、ボス部屋だからか鑑定が効かねえ。普通に「鑑定できません」って出やがる」
「「「「「「「「「「ブヒィッ!?!!?!」」」」」」」」」」
「おいおい、あいつらグーラの子を見て興奮してねえか? ちょっと待て、コレ本当に12歳以上はOKなゲームかよ!?」
ユウヤがツッコミを入れてるけど、僕はそれよりも早く前に飛び出し【ダークウェーブ】を連発する。後は闘気を使えばいいので、とにかく連発して敵を削っておこう。MPギリギリまで連発したからだろうか? 既に半数は倒れ、もう半数は瀕死みたいだ。
それでもゾンビのようにセナに近付こうとしているところを見るに、相当程度オークというのは性欲に汚染されているらしい。イヤな魔物だなぁ……。
「何つーか、あっと言う間だったなぁ。既にもう瀕死だし、俺達のやる事ほぼ無くね? まあ楽でいいっちゃ、楽でいいんだけどさ。しっかし、それでもグーラの子に向かう根性よ……いや、性欲か? 凄まじいな、瀕死なんだぜ?」
「僕もそう思うけど、何というか魅了されてる? って思うほどだよ。案外そうなのかもしれないけど、今は鑑定が効かないから分からないし……。判別は無理だね」
「ま、しゃあねえ。っていうか、召喚モンスター達が終わらせたけどさ。見事に蹴りあげたなぁ、股間を」
「うん。容赦なかったね、セナは」
ゾンビのようにフラフラしながらもセナに襲いかかろうとしたオークは、【格闘術・下級】を持つセナの見事なキックを股間に受けて沈んだ。わざわざトゥキックで容赦なく股間を潰すように蹴りあげたからね。情け容赦は一切なかった。
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召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました
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「そもそもセナの履いている靴は、爪先に鉄板が入ってるんだよ。そういう意味でも情け容赦が無い」
「おぉ……そりゃ御愁傷様だ。とはいえ性欲に塗れている奴が悪いと言えば、それで終わる話か。オークの強さが分かんねえけど、ちゃっちゃと先に行くかね」
ボスを倒し終わった後、少し経ってから壁が上にスライドし、その向こうに階段が見える。大きな扉の方に行って触るも、どうやら入った段階で完全に施錠されるようだ。
「ボス扉は入った段階で開かなくなってるね。先に進むしか道は無いみたい。まあ、お約束というか、一応調べてはみたけどさ」
「普通は無理だよな。それが出来たらボス周回が出来ちまうから、流石に出来ない仕組みにしてあるだろうさ」
だよねー。仕方ない、開いた方にある階段から6階に下りようか。皆に声を掛けて僕達は階段を下る。ある程度下っていくと光が差し込んでいるのが見えたので6階は近い。
下まで辿り着いたものの、目の前に見えている光景に顔を顰める僕とユウヤ。そこには鬱蒼と生い茂るジャングルがあった。6階から急に難易度が上がっているのと、階段の横に魔法陣がある。
その魔法陣の上に立つと目の前にウィンドウが現れた。
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スカルモンド地方のダンジョン B6Fを登録しました
これ以降、入り口の迷宮魔法陣において選択する事が可能となります
尚、この魔法陣は脱出用です。指定の階層に行くには入り口の物を使用して下さい
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「エレベーターのアナウンスみたいだね?」
「何かそんな感じだな。とりあえず脱出方法が分かったんでいいが、この階層は骨が折れそうだ。多分だけど方角も分からなくなるタイプだろうし、明らかに準備不足じゃね?」
「うん、僕もそう思う。とはいえ、何回か入り口近くで戦ってから帰ろう。流石にもったいない」
「だな」
という事で多少戦ってみる事にする僕達。厄介な魔物が居ても、すぐに脱出するから大丈夫でしょ。




