0590・第五回公式イベント その14
昼食を終えて雑事も終わらせたら、再びログインしてマイルームで時間を潰す。ギリギリになってイベントの控え空間に入ったら、すぐに光の扉で移動した。鬱陶しいヤツの鬱陶しい言葉なんて聞く気は無いからね。
次の地形は……おっと、1日目に来た山の地形かな? ここは巨大なツチノコみたいなお仕置きモンスターが出る場所だ。移動速度は早くないんだけど、吸引してくるので厄介ではある。呑み込まれたら即座に死亡判定を受けていたし。
なかなかに厄介な地形ではあるけど、隠されたアイテムがありそうだから頑張ろう。上手くすれば4本目の何かを手に入れられるかもしれない。出来れば次は短刀とか小さなのが良いんだけど、難しいかな?。
苦労して倒したのに、手に入るのが短刀じゃクレームが来そうだしね。運営もそこまではしないかな? でもなー、ここの運営ならそういうのは平然とやりそうな気もする。無くさない武器と考えれば短刀でも優秀だし、何かしらの付加効果も付いてるだろうからね。
山をとりあえず登ってみる。普通は下っていくので意図的に登ってるんだけど、狙いは山頂だ。1日目は下っちゃってて、上がどうなってるかは知らないんだよね。折角だから気になるので向かう。
特に何かがある訳じゃないけど。蔦とか下草が厄介でなかなか進めない。更にはこの山、思っている以上に広いし高いと思われる。1日目に下った所為で全体像が分かっていなかった。あの時はツチノコから逃げたりとかばかりだったから。
思っている以上に面倒で広い山だと言わざるを得ない。そのうえ何処まで行けば頂上かまで分からないんだから大変だよ。それでも隠しアイテムがあるなら頂上しかないと思うんだよね。
だからこそ必死に登ってるんだけど、途中の洞窟とかにあったらどうしよう? それは流石に運が良くないと見つけられないだろうし、頂上まで行って駄目なら諦めるか。そこでツチノコが出てくるまで休憩しておこう。そこまで逃げ難くはないだろうし。
長く伸びている下草を掻き分けながら、斜めになっている地面を何とか登っていく。とにかくやたらに草がボーボーなんだけど、ここまで生やさなくてもいいんじゃないかな? そう運営に文句を言いたい程に大量だ。
それでも掻き分けて頂上付近に出ると、そこは殆ど草が無くて見渡せるようになっていた。前後左右に見渡せるし、何故か雄大な自然の山という感じになっている。まあ、そういう風な背景になっているだけだが。
それはともかく、見渡せるのはありがたい。頂上付近には何も無いし、ここでツチノコが来るまでゆっくりしていよう。
…
……
………
結局一度も来る事なく14時になったので終了。控えの空間に戻る。相変わらず雰囲気の悪い奴がいるのでスルーし、僕はマイルームに戻って適当に過ごす。あんなトコに居ても嫌な気分にしかならないし、それなら居てもしょうがない。
始まるギリギリ前に戻り、さっさと光の扉に触れて14時15分からの地形へ移動する。すると再び氷山だった。どうやらまたもアイスゴーレムらしい。再び大量に撃ってくるだろうけど、言い換えたらそれぐらいだ。
僕は気にせず逃げ回っていれば済む。それに氷山と言っても広いし、流石にこの地形には隠れモンスターは居ないだろう。居ても既に取られている可能性が高い。
適当に歩きつつ滑らないように気をつける。ここはそれぐらいだから大した地形ではないんだけど、何故か早速プレイヤーが襲ってきたね。僕は管槍で素手のプレイヤーを殺害する。とはいえ見れば僕が武器を持っている事ぐらい分かるだろうに。何で襲ってくるんだろうか。
もしかしたらポイントが無くて破れかぶれな人が居る? それとも何かしら納得できない事があったとか? 武器持ちのプレイヤーなんて、襲ったところで負ける確率は高いだろうに。不思議な人も居るものだ。
僕はそのまま歩いていくが、他のプレイヤーは僕を遠巻きにするか離れていくだけだ。当たり前だけど、いきなり襲ってくる者は居ないね。おかしなのは先程の人物だけか。
歩いていると遠くから「ドスン!」という音がしたので見ると、その方向にアイスゴーレムが居た。逃げている人が多いが、中には近付いて殴ったり蹴ったりしている人も居る。アイスゴーレムが遅いから出来る芸当だ。
ある意味で一番回避しやすいのが接近距離なんだよね。動きが遅くて大振りだし、腕や足を飛ばすにしても近距離には飛ばさない。思いっきり離れるか、それともくっ付く程に接近するか。どちらかをしていれば死ぬ事は無い場所だ。
僕は遠くにアイスゴーレムが居る状態を維持し、近付いて襲ってくるプレイヤーだけを排除し続けた。大して難しくない地形は本当に助かる。
15時15分になったので終了し、再び金色チームの空間に戻される。僕はすぐにマイルームに移動してからログアウトし、トイレに行って水を飲む。後もうちょっとでイベントも終わる。そうすればポイントを持ったま終われるだろう。
とはいえラスト15分がなぁ……。師匠方も狙ってくるだろうし、何度死ぬかは分からない。特に師匠方に囲まれたらどうしようも無いだろうから、必死になって逃げるしか方法は無いだろう。特に金色なうえに輝くんだから、隠れる事も出来ないし。
そろそろ時間なのでログインしたら、さっさと金色チームの空間に移動して光の扉に入る。未だにブツブツ言ってて気持ち悪いな。何が気に入らないのか知らないけど、周りからどう見えてるかぐらい考えればいいのに。
15時30分からの地形は……ジャングルみたいな場所だ。ここは初めてだからちょっと分からないけど、そこまで危ない場所じゃないだろう。出てきても蛇か虎かってところじゃないかな?。
虎は素早いから厄介だけど、それでも誰かに擦りつければ済む。後はお仕置きモンスターの気配とプレイヤーの気配だ。これさえ掴めればプレイヤーを犠牲にして逃亡すればいい。僕にとってはそこまで難しくはない事だ。
ジャングルなので近くでも視認し辛く、周りのプレイヤーも苦戦しているらしい。僕はそのプレイヤー達の後ろを付かず離れずでついていく。擦りつけるタイミングは、僕が襲われそうになってからだ。
前に居るプレイヤーが先に狙われたら、さっさと逃げよう。近くにいても損するだけだ。出来る限り音を漏らさずに後ろをついていくと、「ギャァァァ!!」という声が聞こえた。プレイヤーが何かに襲われたらしい。
「今の右から聞こえなかったか? お仕置きモンスターかもしれないから左に行こうぜ。流石にこのまま行くのはマズいだろ」
「そうだな。出来る限り危険からは遠ざかろう。それにしても、今回のイベントは本当に厄介だよ。今までみたいに戦えばいいってのじゃなく、絶対に勝てないのから逃げるイベントだからなぁ」
「逃げるしかないのが厄介だよねー。まあ、そこまで自分も強い訳じゃないけどさぁ」
「逃げるしかないっていうのが怖さを煽るんだよ。勝てない相手からの逃走って、思ってるより怖いしキツい。倒せるのなら無理してでも倒すんだけど、誰も倒せたって聞かないし、聞かない以上は勝てないんだろう」
「っと、何かこっちに来てるっぽいぞ。少し走れ。このままじゃ追いつかれる」
「何で見えてないのに、こっちに来るんだよ。鬱陶しい」
「隠れてやり過ごすか? でもお仕置きモンスターに見つかったら終わりだしな。……さっさと走って逃げるぞ、本当に近くなってきた」
僕も逃げるけど、近くまで来たらこいつらを盾にして逃げよう。誰かが助かるには誰かの犠牲が必要だから、これは仕方のない犠牲なんだよ。
だから、その時が来たら安らかに眠れ。




