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0591・第五回公式イベント その15




 男達の後ろをついていきつつ、いつでもなすりつけられるように準備をしておく。そして遂に後ろから迫ってきた。明らかに速い速度であり、このままだとマズい。そう思った僕は素早く走り、前の男達を追い越す。



 「何だあいつ? 金色のジャージなんて見たのは始めてだぞ」


 「それより、さっきのヤツは何でオレ達を追い越して行ったんだ? 意味が分からん。そんな事をする必要が……」


 「おい、もしかして後ろから来てるんじゃ「ギャァァァァ!!」ねえのか!? ってやっぱりかよ! さっきのヤツなすりつけていきやがったな!!」


 「くそ! 何だコイツ! って、羽の生えた蛇って神話かよ!?」


 「噛みつかれたら毒が回って死ぬぞ! 絶対に噛みつかれるな!」


 「それ以前にどうやって逃げるんだよ! にげギャァァァァァァ!!!」


 「くそ! ガッシリ噛みつきやがって外れもしねえ! 噛みつかれたら最後だ、放っておいて逃げるぞ! もう助からねえ!!」



 成る程、ここのお仕置きモンスターは羽の生えた蛇か。通りでやたらに速い筈だ。ここでは出来る限り気配を読んで、他のプレイヤーの近くに潜んだ方が良い。ジャングルの癖にお仕置きモンスターだけ移動速度が速いなんて不利に過ぎる。


 何かしら欠点はあると思うんだけど、考えても分からないから押し付ける相手だけは常にキープしておかないとね。そう思いながら移動していくと、やたらに気配の小さい人が居る。僕も出来る限り気配を消しているけど、向こうもそんな感じだ。


 嫌な予感がするなぁ。聖人か魔女のどちらかだろう。僕はその人に近付かず、他のプレイヤーとおぼしき人達に近付いていく。気配の薄い人が気になって仕方がないけど、気配が薄いという時点で怖い。


 特に師匠だとシャレにならないので、僕は出来る限り身を隠す形で潜む事にする。先程のお仕置きモンスターはウロウロしているし、気配が一際大きいので分かりやすい。とはいえ遠く離れると気配は追えなくなってしまう。


 流石に【気配察知】のような都合の良いスキルを天然で持ったりはしていないので、精度としては下がらざるを得ない。それでも使えるだけマシだろうとユウヤなら言ってくるだろうけどね。狭い範囲ながらも気配を探れる癖に。


 それはそうとプレイヤーの後ろから追いかけていると、突然薄い気配と大きな気配が近付いてきた。間違いなくお仕置きモンスターに追いかけられている。僕は素早く追いかけているプレイヤー達が間に挟まるように逃げていく。


 どう考えても逃げなきゃ間に合わないし、気配の薄い人の走る速さが速い。僕も素早く逃げているけど、相手の方が僅かに速い所為で近付かれてる。こちらに気付いていたんだろうけど、何故ここまで執拗しつように追いかけてくるんだよ。


 師匠のような気がしてきたが、師匠ならここまで執拗しつように追いかけたりしない気もする。となると……誰かは知らないが迎撃させてもらおう。そう思い足を止めて振り向き、管槍を構える。


 向こうもこっちが止まった事に気付いたのだろう。少しずつゆっくりと近付いてきた。僕が居る場所はジャングルの中でも多少開けたところだ。流石に出てくれば分かるし、気配は追えている。


 ガサガサと音がして出てきたのは、黒いオークの姿の人物だった。昨日だったらザ・ファドゥという人物だったんだけど、今日は分からない。ただし足が妙に速かったので、間違いなくプレイヤー以外だ。


 その黒いオークは右手に剣を持っていたが、僕が管槍を持っているのを見て驚いている。しかし剣を構え切り込んできた。僕は素早く管槍を突き出し、相手にかわされると瞬時に戻す。再び敵を管槍で素早く突き、間合いには入らせない。


 黒いオークも剣で槍を弾こうとするが、そうなる前に僕が引き戻すので攻めあぐねているようだ。お互いにスキルなど無い自分の技で戦わなければならないので、向こうも現状を打破するのが難しいらしい。


 元々先ほどまで追いかけっこをしていただけに、あまりスタミナが無い。おそらく向こうの方があるだろうし、オークだからプラスされていると思う。ユウヤのゴーレムはゴーレムらしく堅かったし。


 管槍を突き出し引き戻しを繰り返していると、本当にスタミナが無くなってきたので賭けに出る事にした。


 再びオークの体の中心を真っ直ぐ突き、それが相手に弾かれそうになるので引く。そして素早く同じ箇所へと突き出す。オークは下段から切り上げた状態だったのだが、速度を落とす事も無く振り下ろしてきた。もしかして剣の聖人だろうか?。


 僕は予想通りの挙動に管槍から手を放し、右手で太刀を持って抜き打つ。当然やる事はそれだけじゃない。



 「【稲妻】!」



 その場で抜き打ちを行っただけだが、太刀からほとばしった雷がオークの体に直撃してその身を焼く。僕は抜き打ちで振り上げた姿のまま前進し、未だ痺れているオークの首を切り裂いた。


 バックステップを行い残心をしていると、倒れたオークは血を噴出しながらビクビクし、やがて消えていく。最後まで誰かは分からなかったけど、相手の持っている剣が唯の鉄の剣で良かったよ。僕みたいに特殊なものが付いている剣だったら、確実に殺されていただろう。


 スタミナの差で負けるというのは勘弁してほしいところではあるけど、戦いとなれば何でも利用するのが当たり前だ。相手の息切れを狙うのも1つの戦術ではある。常に自分に都合の良い事なんて無い。


 それは僕も分かってなくちゃいけない事だ。太刀を鞘に納め、管槍を持って近くのプレイヤーを探す。思っている以上に走ったからか、近くにプレイヤーらしき気配が無い。このままだと、お仕置きモンスターに遭ったらなすりつけられないな。


 僕は歩いて移動しつつ、早急にプレイヤーを見つけ出そうと気配を深く調べる。ある程度のスタミナが回復するまで歩くしか出来ないのが厳しい。さっきの黒いオークの所為でとんだ目に遭ったよ。本当。


 …

 ……

 ………


 結局、その後は何も無く終了。遂に16時30分となった。15分間の休憩があり、そして最後の15分が始まる。そこで果たして生き残れるかだけど、正直に言って自信は無い。特に聖人と魔女が居る以上は大丈夫と言えないんだよなー。


 さっきの黒いオークもそうだったけど、本当に怖いし危険な人達だ。僕は管槍を然程使った事は無いけど、それでもリーチの差で牽制できていただけでしかない。あの切り上げからの切り下ろしは見事だったしね。


 あれが剣の聖人でない可能性があるんだから、聖人ってのは本当に危険だ。そしてそれとは違い、魔法を完全に封印されているにも関わらず暴れている魔女もまた怖い。魔法が使えないからって舐めたら、絶対に殺されるだろう。


 そろそろ時間になるな。マイルームに退避していたけど、そろそろ金色チームの控え空間に行って準備しよう。


 この空間もこれで最後か……。そう思うと清々するよ。今だにブツブツと言ってるしさ、冗談じゃなく止めればいいのにって思う。イベントでもゲームでもさ。自分の思い通りにならないからって鬱陶しすぎるでしょ。


 時間が来たので、全員強制で最後の空間に移動させられた。そこは昨日と同じく真っ白な空間で、プレイヤーも大量に入り乱れている。ここからの15分は地獄と言っても差し支えない。


 全力で敵から逃げるのと敵を屠り続けないと、死亡せずには終われないだろう。ひたすら目の前の敵を倒し、お仕置きモンスターからは逃走しよう。という事で、早速羽の生えた蛇からは逃げないとね。


 あんなのの近くに居たら殺されてしまうよ。


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