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0013・ウサ耳カチューシャとネズミの尻尾




 お金が無くなったので町を出てモンスターを倒す。まだそんなに時間も経ってないし、師匠の家は思っているより森の出口に近かった。なのでゼット町に来るまでにそこまで時間は使っていない。


 もう少しお金を稼ぐべく、外に出て石を拾っては気付いていない魔物にぶつけている。一撃で倒せる事もあれば倒せない事もあるが、全て怒りに塗れて襲ってくるので簡単に倒せる。最初の投擲でそれなりのダメージが出ているみたいだ。


 つまり武器と違って投げられた物は、ダメージが最低値にならないという事でもある。ベータの時は普通に戦ったりウルフに任せてたから、投擲ダメージの記憶が無い。たぶんだけど、正式版から違うという事は無い筈。


 思っているよりも投擲の扱いが重要になっ「ポーン」てくるな……と思ったらなに?。



 ―――――――――――――――


 ※スキル:【投擲】を習得しました


 ―――――――――――――――



 ああ、そういう事ね。別になくてもダメージは出るんだから問題無いと思うんだけど、もしかしたら見つかってない状態のみダメージが出るんだろうか? 無防備に受けてるからダメージが普通に出る……とか?。


 いや、分からないし、お金儲けの最中とはいえ少しは戦闘に集中しよう。



 ―――――――――――――――


 種族レベルが上がりました


 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナが【格闘術】スキルを習得しました


 ―――――――――――――――



 えーっと、能力値は……流石に力と耐久に振らざるを得ないな。初期値から全く伸びてない。いつまでも初期能力じゃどうにもならないだろう。魅力に関しては捨てるからいいんだけど、力や耐久は戦闘に直結してくるから。


 おっと、またこっちに気付いていないウサギがいるな。石を拾っているから……ふっ!!。


 狙い通りに頭に激突し、ウサギは消えていく。【投擲】スキルを習得してから、何だか投げやすい気がするが、威力もちゃんと上がってる感じだな。杭とか棒手裏剣ならもっと威力が出るだろうけど、今のところは無理だ。お金が無い。


 再び石を拾って歩くと、今度は穴に顔を突っ込んで喧嘩しているウサギとネズミを発見した。何やってんのモンスター同士で? そう思うも自然と考えれば普通の事か。頭が狙えないものの、ネズミの尻にぶつけたら倒せそう。


 そう思い、石を全力で投げつけると、何故か顔を出したウサギの頭に激突した。一撃で死んだウサギはウサ耳カチューシャを出したが、それをくわえてネズミが逃亡した。……ちょっと待て、お前ぇぇぇぇぇぇ!!!!。


 僕はファルとセナの事を忘れて走って追いかけ、ネズミに追いつけない為、やむなく槍を投げつけた。ここでも模倣力が発揮されたのか、狙いをあやまたずネズミに突き刺さり、クソネズミを一撃で倒す事が出来た。


 僕のアイテムを盗むなんて万死に値する!!。


 まったく、ヤレヤレだ。そう思っているとウサ耳カチューシャの下に何かある。カチューシャを拾って見てみるとネズミの尻尾だった。持ち上げて確認していると、横から白い手が伸びてきて取られた。



 「あっ!? ………ファル、もしかして着けるの? 効果も分からないのに?」


 「カタ!」



 何故かファルが装備し、骨の体からネズミの尻尾が生えるというシュールな光景になった。あと2人を置いて走って行った事に怒っているみたいなので謝罪しておく。もちろん盗まれた事を言ったんだけど、言い訳は許されない雰囲気だったので素直に謝った。


 何かもう疲れたので町に戻り、お婆さんの雑貨屋に行くと、こっちでも怒られてしまう。



 「こんなに大量の肉を買い取れる訳ないだろ。ちゃんと肉屋に持ってお行き、適正な値段で買い取ってくれるよ」


 「すみません、ありがとうございます」



 そう言って、僕はお婆さんの店を後にした。肉屋に行くと豪快なオヤジ……ではなく、小さな女の子が店番をしている。なので大丈夫かと思ったのだが、特に問題なく計算して買い取ってくれた。


 ウサギの肉は1個180デルで14個、ネズミ肉は100デルで22個。女の子いわくウサギを乱獲すると怒られるそうなので気をつけるように言われた。ネズミは乱獲していいらしい。あいつらは何処からともなく現れては、周辺の草を食い荒らすそうで嫌われている。


 ウサギの数も減るのでネズミは駆除対象のようだ。とはいえ唐揚げにすると美味しいらしく、駆除対象の割には人気のある肉みたい。乱獲していいのは大変ありがたいね、よく覚えておこう。4720デル受け取ったら、肉屋を後にした。


 再びお婆さんの雑貨屋に行くと「またか」という顔をされたが、買い物に来たというと表情は普通に。現金なもんだ。



 「これを持っとけっていうオススメの物ってありますか? 後、コレって売れますかね?」


 「やっぱりねえ。<神の贈り物>だと思ったんだ。そこのゾンビの子からウサギの耳が生えてるって、明らかにおかしいからね。<神の贈り物>っていうのは、魔物を倒した時にたまに落ちる訳の分からない物の事さ」


 「ああ、成る程。ウサギを倒したら<ウサ耳カチューシャ>が出たり、ネズミを倒したら<ネズミの尻尾>が出るっておかしいですからねー」


 「ネズミに尻尾があるのは普通だろうに。無い方がどうかしてるよ」


 「いえ、そういう事ではなくてですね」



 僕はファルに後ろを向かせると、お婆さんはファルのお尻の骨からネズミの尻尾がでているのを見て「スン」とした表情になった。あれだ、チベットスナギツネみたいな顔だ。



 「あたしは生まれてこのかた、ずっとこの町で育ってきたけどね。あのネズミから<神の贈り物>が出るなんて初めて見たよ。ついでにウサギ耳のそれも、数十年に一度しか見ないんだけどね?」


 「そんな事を言われても困るんですよ、実際に出てる訳ですし……」


 「そのウサギ耳もさ、出すトコに出せば20万デルぐらいで売れるよ。オークションに出したらもっとじゃないかねえ………何でそんな物をポンポン出すんだか」


 「だから知りませんって。それより、持っておいた方が良い物って何かありますか?」


 「あ、ああ……水筒なんかは持っといた方がいいね。喉が渇くと良い事ないし、集中力も下がるからねえ。後は糖分補給の為の飴かねえ。喉を潤す事にも使えるし、何といっても保存性が高いから、最後の食料という保険になるよ」


 「じゃあ水筒と飴をお願いします」


 「水筒は300デル、飴は10個入りで100デルね。……毎度、また来なよ」


 「ありがとうございました。それじゃ」



 そう言った後、僕は防具屋に行く。サンダルを探しに来たんだけど……あった。サンダルの裏が鋲で補強されたサンダル。一足で2000デルもするの!? ……おーう、仕方ないな。槍が遠のくけど諦めよう。


 僕は青銅の鋲で補強された革のサンダルを買い、ファルとセナに身に着けさせる。これで滑る事は減るし、鋲が地面に食い込むから2人とも殴りやすくなったろう。おかげで320デルしか残ってないけど。


 そういえばウサギ耳って幸運になるのかね? あの後から出てるし……ファル、着ける? 僕には似合わないのでファルに聞くと、ファルは首を横に振る。成る程、ファルも自分には似合わないと思っている……と。


 何というか、コレを着けるには勇気が要るよねえ。とりあえずインベントリに仕舞って帰り道を歩く。ある程度の距離を進むと、ようやく声を掛けてきた。



 「おい、ちょっと待ちな! お前、さっき持ってたウサギ耳のもん寄越しな。死にたくなけりゃあな」


 「「「へへへへ……」」」



 絵に描いたようなチンピラどもだ。こういうイベントもあるんだなぁ……頭の上に赤いドクロマークが付いてるから犯罪者だ。


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― 新着の感想 ―
多分主人公にうさみみめっちゃ似合うやつ
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