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0014・賞金首




 目の前には盗賊と思(おぼ)しき奴等が4人居る。全員の頭の上に赤いドクロマークが出ているので、殺していい犯罪者となる。黄色のドクロマークだと捕縛する対象の犯罪者、虹色のドクロマークだと即刻始末するべき重犯罪者となる。


 ちなみにだが、この区分けにプレイヤーかNPCかの違いは無い。というより、このゲームはプレイヤーかNPCかの表示が出ない。なので慎重に振舞う必要性が出てくる。これは<レトロワールド>だけじゃなく、他のゲームでも同じだ。


 NPCだから何をやってもいい訳ではなく、公序良俗に反する場合は警察に通報される。実際に迷惑行為を続けると威力業務妨害となり懲役刑すら出るのだ。しかもゲーム内だと行動をつぶさに記録できるので、言い訳は完全に不可能となる。


 その為、ゲーム内の方がモラルが高いなんて事も多い。情けない人間がそれだけ多いのだろう。ちなみに、そういうロールプレイだと運営に事前申請すれば認められる。もちろんその範囲であればだが。



 「テメェ! 人の話聞いてんのか!! ウサギ耳の付いたもん出せっつってんだろうが!!!」


 「えっ!? オッサンが着けんの? 流石にそれは気持ち悪いかなぁ……。美女がバニースーツならともかく、オッサンのバニー姿なんて見たくないよ。そういう趣味は良くないんじゃないかな?」


 「ちげーよ!! オレが着ける訳ねえだろうが、このクソガキ!! もういい、テメェら! このクソガキをブッ殺してさっさと奪うぞ!!」


 「「「おうっ!」」」



 盗賊が動いた瞬間、僕は前に居る3人のうちの1人に石を投げる。当然顔面に投げてダメージと怯みを与え、残りの2人に相対して構えた。ファルも盾を持って構え、セナもトンファーを構える。


 オッサン盗賊2人は何を思ったのか僕に対して突撃してきたので、片方の剣を”前に出ながら”かわし、もう1人の方へ体当たりをして飛ばす。短剣の盗賊の方は倒れこんできた剣の盗賊の下敷きになってしまった。



 「ファル! セナ! ストンピングだ、顔を狙え!!」


 「カタ!!」 「う!!」



 先ほど買ってあげた鋲付きのサンダルで容赦なくストンピングする2人。何か2人とも楽しそうだな。そんな2人を横目にしつつ、石をぶつけた槍持ちのオッサンが前から鬼の形相で迫ってくる。


 オッサンが熱烈な感じで襲ってくるのは気持ち悪いが、戦闘では冷静さを欠いた方が負ける。僕はオッサンが突き出してきた槍を、蛇が巻きつくようにして弾き上げる。オッサンはあっさりと槍がなくなった事で、呆然とした顔をしながら僕を見ていた。


 戦場で停止するなんて、<BUSHIDO>の世界じゃ死ぬよ? 僕は動かないオッサンの喉を一直線に突き刺し、槍を引き戻す。いったい何千回<BUSHIDO>で殺されたと思ってるんだ、舐めてもらっちゃ困るな。



 「チッ! バカどもが。クソガキ1匹程度も殺せねぇとはな。とはいえ、多少はやるようだが終わりだクソガキ。この<血斧のアセモ>様が相手じゃ、テメェには万に一つも勝ち目はねえ」


 「ぷっ! <血斧の汗疹(あせも)>って……ぷくくくく、汗疹(あせも)って……! お肌弱いんだね? ぶぁーはっはっはっ!!! オッサンは汗疹(あせも)ーーー!」


 「汗疹(あせも)じゃねえ!! ア・セ・モだ!!! ……こんのガキィ! ブッ殺してやる!!!」



 おっ、上手く挑発に乗ってくれた。それにしても汗疹(あせも)はダメだよ、絶対にネタにされるに決まってるじゃん。斧は攻撃力が高いけど重い。とはいえ<血斧>っていうくらいだから斧の弱点は知ってる筈だ。汗疹(あせも)だけど。


 それにコイツだけ鉄の胸鎧とか、鉄のガントレットとかグリーブとか着けてるんだよ。首から上は何も無いけど、却ってそれが怪しいんだよね。何よりこのオッサン鈍重なんだよ。だから先ほどと同じく、僕は”前に出て”回避する。


 <BUSHIDO>の乱戦では必須の技能であり、刀や槍や鉞(まさかり)や金砕棒を相手に何度も練習したんだ。オッサン程度の攻撃を回避出来ない僕じゃない。オッサンの放ってきた斧の袈裟切りをスルーして、オッサンの横へ付く。


 オッサンの左足に足を掛けつつ、オッサンの背中を押して地面に倒す。僕は素早くオッサンの両足を抱えて持ち上げる。すると当然ながら、オッサンは両足を使えない。



 「ファル! セナ! こいつの顔面や後頭部にもストンピングをお見舞いしてやれ!!!」


 「カタ!!!」 「う!!!」


 「くそがぁ!!! 放せクソガキィ!!!」



 誰が放すかよ! 僕が放すのは、お前が死んだ時だ! ………くそ、暴れるな、さっさと死ね!!!。


 僕は暴れるオッサンの股間を蹴り上げてやった。するとオッサンは悶絶しながら抵抗するという奇妙な行動を始める。それがおかしかったので、僕は何度もオッサンの股間を蹴り上げてやった。


 頭へのストンピングを腕で守ろうとすると、僕が股間を蹴り上げ、股間に手が行くとストンピングが激しくなる。流石はゲームだと思う。ひたすらに耐えていたオッサンは、最後は血だらけで死亡した。死因は出血多量だろうか?。



 「あー疲れた!! やっと終わったー!! ゲームだからって耐久力高すぎでしょうよ。普通の人間や<BUSHIDO>ならとっくに死んでるって!」


 「カタ……」 「うー……」



 どうやら2人ともお疲れのようだ。オッサンが死ぬと死体は消えて行き、オッサン盗賊どもの金と装備品と首が残った。



 ―――――――――――――――


 おめでとうございます。賞金首である盗賊<血斧のアセモ>を討伐しました。

 首を持って衛兵事務所に行けば、報奨金がもらえます。


 種族レベルが上がりました

 種族レベルが上がりました

 種族レベルが上がりました

 種族レベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました

 メイン職業:ネクロマンサー・見習いのレベルが上がりました


 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました

 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました

 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました

 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました


 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました

 召喚モンスター:セナのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 何なの? この怒涛のレベルアップのラッシュは。あのオッサンどんだけレベルが高かったのさ。しかも衛兵事務所って事は、また町に戻らないといけないじゃん。それと、ベータの時もレベル10じゃ進化しなかったから、やっぱり進化しなかったね。


 とりあえずオッサンどもの持ってた金と装備品と首を拾って、さっさと衛兵事務所に行こう。ファル、セナ、師匠の所に戻るのが遅れるから走るよ。



 「カタ!」 「う!」



 師匠の名前を出すとすぐにキビキビ動くなぁ。まあ、師匠が怖いのはよく分かるけど、そこまでかな? 何か僕とは違うものを師匠から感じとってる? ま、気にしなくてもいいか。


 オッサン3人は弱かったのに、持ってるのは鉄の装備品だ! 確認してみたら驚きだよ! オッサン如きが贅沢な装備してるなー……じゃなくて、盗賊如きが贅沢な装備してるなあ。


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