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アグロンド王国物語-妖精の国の七英傑-|第1部「建国王アリス」  作者: ガーレ
急拡大するダネオラウ・第12章-会議に乾杯-

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閑話-聖夜-

 恋愛モノは経験がなくてですね。拙いですが許してください。

 デケン月(12月)の25日目はアトゥス教では祝日よ。なんでも第1の使途が聖典と共に降臨した日だとか。で、今日はその前日。

 正直ドレイツ教徒である私にとっちゃどうでもいいんだけど……なーんか皆が浮かれてるのよね。


「ねえ、なんで皆そんなにソワソワしてるの」

「君……もしかして降臨祭を祝ったことないのか」

「あるわけないでしょ」


 降臨祭の日は家族や友人同士で過ごす――これくらいなら知ってるけど、これだけでそんなに浮かれるものかしら。


「毎年プレゼントもあげていただろう」

「あれ……確かに毎年年末にプレゼント貰ってたような……え、それって降臨祭と関係あったの」

「あのなぁ」


 ジョンが本気で呆れてる。ええ、何よ。そこまでのこと?


「お前、学院の基礎課程で神学やらなかったのか」

「異教徒の私は神学免除なのよ!」

「……なるほどな」


 なんだかんだジョンは優しいから、こういう時はちゃんと教えてくれる。


 今から400年くらい前。ロマーラ帝国に聖ヌコルスという聖人がいて、その人は貧しい人々や冤罪を掛けられた人々を救って回ってたんだとか。それで、その人がよくやっていたのが靴下に小銭を入れることだったらしいの。

 で、降臨祭の前夜にその行いで子供を救ったという伝説に由来して、「降臨祭の前、子供が寝静まった夜に靴下にプレゼントを入れていくおじさん」という童話、風習が出来上がったと。

 ついでに、大人になっても生誕祭の日にはプレゼントを贈り合うらしいわ。


 この風習を私は7年間――学生時代まで含めたら13年間も知らなかった。

 今までずっと忙しかったんだから仕方ないじゃない! と言いたいけど……これは呆れられても仕方ないわね。


「ごめん、まッッッたく知らなかったわ。そういうことだったのね」

「この日は皆プレゼントを送り合うんだ。おそらくそれで浮かれてるんだろう」

「ちょっと待って、私プレゼントなんか用意してない!」

「別にいい。共に過ごしてくれればそれで……」


 ちょっと何よ、あんた。照れてんの。


「本当にそれだけでいいの?」

「ああ。俺はお前と一緒に居たい」

「……嬉しいこと言ってくれるじゃない」


 私も人のことは言えないわね。彼の言葉にちょっとドキッとした。


「よ、よーし! 明日はゆっくりするわよ!」

「そのテンションは一体なんなんだ」

「何よ、悪い?」

「いや……」


 ジョンと2人っきりの休日なんて久々だし、テンション上がっちゃうのも仕方ないでしょ!?

……それと、この歳にもなって照れるのってなんか恥ずかしいんだから。照れ隠しよ。




――――――――――


「ジェファー様、好きです! あの、降臨祭の日、私と過ごしてくれませんか」


 降臨祭の前日、僕の目の前にアラーナが現れた。

 普段の控えめな布ではなく、赤の鮮やかなドレスを身に纏い、黒いヘッドドレスを着けていた。それが彼女の美しい金髪と合わさってよく映えている。

 それに、彼女にしては珍しく化粧をしていた。これはイヴリン様か他の侍従がやってあげたのだろうか。その薄く引かれた紅1つで肌の白さが際立ち、彼女の元々持つ儚げな雰囲気が強く印象付けられる。

 僕はその美しい姿に見とれてしまった。


 彼女から気持ちを伝えられるのはこれで3度目。そろそろ、ちゃんと向き合う頃合いだ。


「うん、喜んでお相手するよ」

「え、あの……」


 僕の言葉に彼女は戸惑っていた。もしかして――


「信じられないかい?」

「すみません。でも、本当に、その、夢、みたいで……」


 それもそうだ。僕は彼女の告白を2度も振った男なのだから。普通なら愛想を尽かされてもおかしくはない。

 それなのに、彼女は何度も僕に向かってきた。諦めずに挑んできた。それが、今では堪らなく――


「僕は君のことが愛おしい」

「ふぇ!?」


 僕の言葉に彼女の頬が赤く染まる。


「アラーナ、君は確か今年で18になったんだよね」

「はい」

「ならもう、遠慮はいらないね」


 そう言って僕は彼女を抱きしめる。

 とても華奢な彼女の体。でも、暖かい。


「……ッ!」


 正直、元から彼女のことは可愛らしいと思っていた。けど、ずっとそこに恋愛感情はなかったんだ。

 変わったのは……多分、ウィンタカスターの戦い――あの時だ。

 戦いに出る時、僕はなぜか絶対に死ねないと思った。彼女の顔が浮かんだ。彼女の元に無事に帰りたいと思ったんだ。


「アラーナ、僕と一緒になってくれませんか」

「はいッ! 私の方こそ、よろしくお願いしましゅ! ッうぅ……」


 僕が戦いに出る時、彼女はいつも泣いていた。今ならその気持ちが分かる。その人と離れたくない。絶対に失いたくない。「好き」というのは、そういう特別な感情なんだと。


「僕は君の元から居なくなったりなんかしない。約束するよ」

「なんですか、唐突に。当たり前じゃないですか! 居なくなったら怒りますからね!」


 彼女の肩を離し、再び向かい合う。

 彼女は泣いていた。大人になっても泣き虫なアラーナ。これから、彼女の涙は「喜び」だけになる。僕がそうする。

 聖なる日の前日、僕はアラーナを前にそう固く誓ったんだ。




――――――――――


「イーヴは何か――」

「堕天使の私に何か予定があると思いますか?」

「ちょ、顔怖いわよ。ほらほーら笑ってー」

「う、うう……」

「笑ってって言ってるでしょ! 泣かないでよ!」

「どーせ、どーせ当主様はジョン閣下と一緒なのでしょう? エッチなことするんでしょう! 聖(・)なる日は性(・)なる日ってそういうことでしょう!?」

「しないわよ! したいけど……しちゃいけないの! 私まで禁忌の道に引きずり込もうとするのやめなさい!」

「当主様はエッチなことするんだ! びええええええええええ!!」

「あーもう、あんたこそ部下にお気に入りのイケメンが居たでしょ! ほら、あの子。誘えばいいじゃないの」

「ぱわはら……って言われないですかね……」

「しょーもないことに気遣うのね」

「私には立場があるんです! 部下を誘うのにどれだけ気を遣うか――」

「はいはい。そんなの気にせず独り身の侍従たちを集めてパーティでもすればいいじゃない。家族がこっち(ウィンタカスター)に来てない者も多いでしょうに」

「集まって……くれますかね……」

「あんた程の人望があれば大丈夫よ」

「ちょっと……誘ってみます……」

 つまりはクリスマス回だったのさ! 作者は今年も予定はなさそうだ。

 あ、これで第2章は終わりです。ここまでお読み下さりありがとうございました。

 アリス編は次こそ、第3章でちゃんと完結させます。アグロンド王国建国します。タイトル回収してみせます。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
ジェファーとアラーナ。 二人の関係が良いように変わってよかった。 戦いに身を置く時に帰ってきたい場所があるのは良い。
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