ルミゲル
目の前には さっきまでなんの動きも見れなかった格子が吹き飛び消滅し、
その檻の中で魔王は口を開けて俺をただただ見つめていた。
『おぬし......オリジナルスキル持ちか?』
ごめん。俺にもよくわかんない。
俺たちは一旦冷静になり状況の整理を始めた。
どうやらオリジナルスキルという物は、ナビのような並外れた能力で スキルの上位版らしい。
「じゃあ、ナビ物はそのオリジナルスキルってやつなのか?」
《はい。私は オリジナルスキル番号NO,10案内 です。》
「へ〜。 っていうかさっきから気になってたんだけどそのスキル番号って何?」
『儂が教えてやろう。』
その声を聞き、俺は魔王の方を向く。
『スキル番号というものはこの世界に存在するスキルの強さだ。』
「スキルの強さ? どういうことだ?」
そう聞くと魔王は腕を組み 少し唸ると閃いたように手をポンと叩く。
『例えば、火を操る力と火を消す力.....どちらが強いと思う?』
「そりゃあ火を消す力が強いだろう。」
『そうじゃろう。そのような強さじゃ。さっきの炎を操る力より炎を消す力が強いようにスキルには強いスキルと弱いスキルが存在する。 』
「成る程なぁ。」
じゃあ俺がさっき手に入れたスキルはこの世界で三番目に強いって言われてるのか?
《いえ。この力はスキルではなくオリジナルスキルの中で三番目に強い力です。》
え?スキルとオリジナルスキルって違うのか?
《はい。先ほどお教えした通りオリジナルスキルというものは スキルの上位版です。 スキルというものは条件を満たせば誰でも使いこなすことのできる能力です。しかし、オリジナルスキルというものは 名前のとおり オリジナルのスキルであって世界にはそれぞれ1つしか存在しません。さらにオリジナルスキルというものはスキルとスキルを混ぜ合わせたようなものなのでたまにスキルと全く同じようなオリジナルスキルも存在する可能性があります。》
へぇ。じゃあさっきナビが言ってた理由を調べるための方法も.......
《はい。 スキル【研究、解析】によって成し得たものです。》
ふぅん成る程ね。で、オリジナルスキルってこの世界にどのくらいあるの?
《通常、オリジナルスキルというものはある程度スキルを習得した者や大きな力を手に入れた者などに習得できる能力ですので今 何個オリジナルスキルが存在するのか。 詳しいことは分かりません。》
やっぱりそうなのか。 っていうかじゃあなんで俺にもオリジナルスキルが2つついてるの!?
《その件ですが、この世界には度々転生者が現れます。 つまりマスターのような方達です。》
え?他の人もここの世界来たりするの!?
《はい。 そしてその人達は転生時に強力な力を手に入れます。その時に願った言葉や思いが具現化し、オリジナルスキルとして生まれることがあるのです。》
そして俺のその結果がナビだったってことか。
《そうですね。 しかし、マスターは一体何と願ったのですか?》
いや、その事は置いておこう!!
《そうですか。 まぁいいですが.......》
..........あの事は黙っておこう
《どうかしましたか?》
いや!!なんでもないです!!
『1人だけスキルと喋ってないで儂も混ぜろ人間!!』
「喋りたがりな爺さんだな!!まったく。」
『爺さんではないぞ!!儂は魔王じゃ!!!』
はいはい。そう言い、手を振りどうでもいいよ。と伝えようとした時だった、ふと思う。
「なぁ爺さんなんで俺がナビと話してるのが分かるんだ? ナビの声は俺にしか聞こえないはずだろう?」
それを聞き魔王はふん と鼻を鳴らす。
『そりゃあ、儂のオリジナルスキルからすれば造作もないことよ。』
「え!? 爺さん!!オリジナルスキル持ってんのか!?」
『当たり前じゃ!!! 儂はまおうじゃぞ!! オリジナルスキルを持っとらんで魔王が務まるか!!』
「いやぁ。檻に閉じ込められてるから.....つい。」
『ついとはなんじゃ!! 儂を舐めおって!!!!』
魔王が怒り狂いそうになるが俺はこの爺さんが魔王だという実感が持てない。魔王というものはゲームをやっていた俺は悪の塊のようなものだと考えていてこのように優しそうな口調と性格ではないだろうと心の中で決めつけていたのだ。
『それに儂の名前は爺さんなどではないわい。』
「.....あぁそこは悪かったな。ちゃんと名前を呼ぶよ。」
『分かれば良いのだ。 儂の名は第9魔王が1人 亜修羅魔王 ルミス・ゲル・ガ・ライオットじゃ!!!』
その大声にビビる俺。それに気付くと....
『なんじゃ?儂の名を聞いて流石の転生者も腰を抜かすか? やはり儂の名を聞いてビビらないものはいないのぉ。』
「.........長いからルミゲルでいいか?」
『省略するんじゃねぇ!!!!!この人間がぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
「だって長いんだから仕方がないだろう? それになんかそっちのほうがかっこいいしな。」
『そ、そうか? まぁ お主がそれで良いならそのかっこいいルミゲルで呼んで構わんぞ?』
その「かっこいい」の言葉に反応すると魔王は機嫌を直したようだった。
ふっ..........チョロいな
そう心の中で思いながら先ほどの言葉を思い返す。
「というか転生者ってのも分かったのか。」
『あぁ。 儂のオリジナルスキルは 学習し学び育つ者。 どんな物でも【吸収、反転、放出】ができ、学んだ事は二度と忘れず、【研究、解析】のスキルを持っておるからのう。』
「へぇ。そんな能力あったんなら檻でも抜け出せたかもしれねぇぞ?」
それを聞くと魔王は肩をすくめる。
『残念ながら儂のオリジナルスキルはこのような檻などの拘束しているものに対して反応できんのじゃ。 しかもマナを放出する檻じゃから儂のオリジナルスキルを使う力もなかったという事じゃ。』
「成る程ね。ってかルミゲル。お前 そんなに俺に情報をやっていいのか? 事実上魔王なんだろ?」
それを聞くとルミゲルは口を開く。
『儂はもう魔王ではない!!勇者に一度は破られた。つまり儂は人間より弱いということを証明されたのじゃ。じゃから儂は元魔王じゃ。それに』
ルミゲルはその巨体で俺に近付くと俺を見て笑う。
『お主のような人間について行くと面白そうじゃからの。人間についても興味がとてもある。ぜひお供させろ。』
なんで上から目線........まぁいいか。
そう思い 俺は伸ばされたルミゲルの左手に手を伸ばし握手する。
「俺は人間 ユウトだ。 単純に世界を平和にしたいだけの人間だ。宜しくなルミゲル。」
『あぁ 宜しくな ユウト。』
そう言い握手を離そうとした時 頭にモヤがかかる。
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『お主は何故儂を殺さずに閉じ込めるだけで終わらせるのじゃ。 いつか復活するかもしれぬのじゃぞ?』
それは背の高い誰かの目線。その目線の者が放つ言葉に 目の前の人間は言う。
「だって俺 生き物なんか殺したくない。」
『儂らはモンスターじゃ!!マナで作られている物であって生き物などではない!!』
「そんなの関係ねぇよ。」
その言葉に目線の主は動揺する。
何故この者は儂をこうも優しく接するのか。
「だって俺たちはよ。」
その人間に朝日が照り、その素顔があらわとなる。
「生きてんじゃねぇか。同じ世界でよ。」
そう言うと勇者は背を向け、その壊れた壁から外へ出ようとする。と振り向き、言う。
「あぁ そうだ。もし、その檻を壊せる者が現れたら、そいつについて行け。 面白いことが始まるからよ。」
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『おい。ユウト。大丈夫か?』
《マスター大丈夫ですか!?》
その声で俺は自分が床に倒れていることを思い出す。
なんだったんだ。あれ。 もしかして。
俺はルミゲルを見やると魔王はその目で俺を心配そうに見つめていた。
まぁ どうでもいいか!!
そう考え 俺は立ち上がる。
「大丈夫だ!!気にするな。 まずはどこか人間が集まってる場所に行こう。ナビ 近くに村か街はあるか?」
《ここから北東へ2キロほど進んだ先に町があります。マスター。》
その言葉に俺とルミゲルはうなづく。
「よし。まずはそこの町に行くぞ。2人とも!!」
こうして俺、ルミゲルはその要塞の階段を降りると新しい道へとナビに従い。 3人で歩いて行った。




