解禁
『!?』
「!? マスター。それは一体どういう__」
私の言葉を遮り、マスターは答える。
《だって、邪魔だろ? この檻》
「ですが、その檻を壊してしまえば......」
『儂がこの檻から抜け出すことができるぞ?』
《ああ。 そのために壊すんだよ》
その言葉に私と魔王は言葉を失う。
この世界では力こそ正義だ。つまり敗者には厳しい世界である。
そんな世界の頂点に君臨する者は2グループしかない。
【勇者】と【魔王】だ。
魔王はその圧倒的なスキルと魔法、力で物を破壊しモンスターを操る世界の支配者。
勇者はその実力と多彩稀なる力でモンスターをなぎ倒し、戦う英雄。
その2グループはそれぞれ対等に現れ、対等に滅びる。それがこの世界のルールであり、勇者と魔王。対の悲しき終わり方である。
もしそんな存在が突然現れようものならこの世界はバランスを失い、結果滅びる可能性もあり得る。
それが勇者に敗れ、力を落とした元魔王であってもその力は強大。きっと世界のバランスをいとも簡単に崩してしまうだろう。
そしてマスターはそんなことをいとも簡単に行おうとしていた。
「マスター。そのままでは世界が滅んでしまいます。」
そこまでを述べ、私はマスターに言う。が
《それってさ、その魔王や勇者を抑える代わりの力が無いから........ってことだよな。》
「そ、そうですが。」
《じゃあ俺がその魔王を抑えるくらい強くなったらそれって関係ないよな?》
「.........い、一応方法としてはあります。が いくらマスターでもそれほどの力を瞬時に持たれるのは不可能です!!」
《へぇ。なるほど。じゃあ そんな鎖壊してやろうかな?》
「?」
『?』
首をかしげる魔王と私をおいて、マスターはその檻に手を触れる。
「マスター!!それは触れてはいけません。」
『その檻の格子に触ればお前のマナがなくなって直に死ぬぞ!?儂は人間が好きなんじゃ。目の前で勝手に死ぬことは儂が許さんぞ!!』
私と魔王が叫び止めようとする中、マスターは口を開く。
《俺ってさ、自由が好きなんだよ。 少しの縛りなら構わない。 けど そいつを閉じ込めて動けなくするような縛りがあったら俺はそれを壊したい。 「みんなが自由で平和な世界を作りたい」 じいちゃんもよく言ってたんだ。だから俺は 誰を縛っているものだろうと、 自由を失わせる物はぶっ壊す!! それにこんな檻を壊せなかったら 魔王を抑えることなんて出来ないしな。》
そう言うとマスターはその檻の格子を握る。
《うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!》
マスターが叫び格子を壊そうと試みる。が
その直後マスターの体内から3/1ほどのマナが放出したのを私は確認した。
「ダメですマスター!! 人間もマナが体内から無くなると死んでしまいます!! このままではマスターも!!」
死んでしまう。 そう言おうとした時だった。
〈告) この世界に存在しない者からの執念を確認。内容。平和で自由な世界を作りたい。その為の力が欲しい〉
《『「え?」』》
その声に私達は驚愕し声を漏らす。
それはいつも聞いていた。私が気付けばお世話してくれていた者の声。
〈告)力のスキル.......エラー発生。 力のスキルは封印さています。 解禁しますか?〉
その問いかけが聞こえた時、マスターの目の前に青色の表示が現れた。
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| 解禁
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| YES NO
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その声は確かにオーナーの声だった。
それを気にせずマスターはその表示に手を伸ばし。
YESに触れた。
〈告)確認。 力のスキル スキル番号 NO,3 スキル名 力で自由を手に入れる者の習得に成功しました。〉
その直後 ぴくりとも動かなかった格子が突如 消え失せた。
『《「え?」》』
その直後 3人は声を漏らし、オーナーの声は消えてしまった。
そしてその場には沈黙と濃ゆいマナだけが漂っていた。




