巨大な要塞
たっ たっ たっ たっ
暗い階段を登る足音。 勿論私のマスター、ユウト様の足音だ。
少し登り方がぎこちないが仕方がない。
マスターが元々宿るはずだった依り代とは別の依り代を与えてしまったからだ。
それにしてもマスターには言っていないのだが、どうしてオーナーはマスターの依り代とは別の依り代を与えるように私に命じたのかが謎である。更にオーナーはその命令を誤魔化してマスターに伝えろ。という命令まで私に下したのだ。私はその命令を聞いてからオーナーの狙いがあまり分からない。もしかするとオーナーはマスターに何か大切な事をしてもらうためにしたのかもしれない。だが私はその事実を知る術を持っていない。ので今は1つのスキルとしてマスターの元で使われることを大いに喜んでいる。更にマスターは私の声を褒めてくださった。今まで、様々な方のスキルとして使われた事があったがこんな経験は初めてでとてもマスターが面白い人だと感じた。.........これがマスターがこの世界へと転生された理由なのかもしれない。
マスターは浮かれているようだ。
どうやら先程マスターのお願いを受け、鏡を出した時。
マスター自身の姿がとても可愛い&マスターの好みの体だったらしくテンションが上がっているそうだ。
マスターの体は男でも女でもない依り代だが、確かにマスターの姿は嘘でも女だ。と言えば間違えられそうなほど可愛らしい容姿だった。
髪はとても綺麗な水色で髪の先の方へ行く度に徐々に赤色に染まっている。そんな髪が地面につきそうなほどのロングで瞳は綺麗な青色。顔はとても子供らしく体つきも少女のように小さい。
服装は元々マスターが着ていた茶色のパーカーに少し飾りがついたジーンズだったが元々マスターの体に合っていた服なのでその体ではあまりにもぶかぶかでパーカーに関してはフードで顔が全て隠れてしまいそうなほどである。
なのでマスターはテンションが上がっているので出来るだけ楽に階段を登りたいようだが残念ながらその小さくなっている体にマスターは結構苦戦しているようだ。それもそうだろう今まで慣れきっていた体を小さい体に入れ替えるのだ。勿論小さい頃の記憶など等に忘れているだろうからマスターが苦戦するのも無理はない。
仕方なく倒れそうになると私のスキルで支えていたり、と手助けをしてなんとかマスターはその小さい体で要塞の頂上、目的地に辿り着いた。
そこは元々大きな部屋だったのだろうか。家具らしきタンスや椅子、机などが散らばり その場所の天井はなかった。どうやら壁の傷跡から何らかの戦いが行われていたようだ。
《なぁ。ナビ ここで何があったか分かるか?》
そんなマスターの声が聞こえ、私は はっ として応じる
「今の所は何かの争いがあったのだと予想できますが、私の能力で調べれば分かるかもしれません」
それを聞くとマスターは じゃあよろしく。 と私にお願いをされた。
スキル番号 元NO,1 案内
スキルにしては珍しく意識を持ち、そのスキルを使う者を敬いサポートする。
サポートする内容に限度が無いためどのような命令でも実行させる。頭脳と力、忠誠心を兼ね揃えるため その強さは全スキルの中で最強であり、案内は生まれた年にチータースキルとしてスキルの力を弱められ封印されてしまった。
それが私 ナビの詳細。だがしかし今私はこうしてマスターの元でスキルとして使われている。更に私のスキル番号もいつの間にかNO,10となっている。何のために私は開封されたのかはオーナーの思想同様、謎である。
そう思考するなか私のスキルの一部 【研究、解析】での解析が完了した。
私は少し驚愕しながらもその内容をインプットし、マスターに伝える。
「傷跡などの痕跡から此処には勇者とあるモンスターの激しい乱闘があったようです。結果から言うと勇者の勝ちですが、両方の力はとても強大であったことをこの部屋は物語っています。」
《そりゃあ天井も壊れるよな》
そう言うと、マスターはある方向を見たまま固まった。
? それに気付き私もそちらの方向に注意を向けると
ズズズズズズッッッッ
そう言いそうなほどの強大なマナがその部屋の隅に漂っていた。
マナは通常、マナの薄い場所へと流れる傾向がある。更にマナという物は高い場所より低い場所に溜まりやすい。ましてやこのような要塞の天井もない場所であればすぐにマナは外に放出され、この部屋にマナが漂うことはあり得ない。だがしかし私とマスターの前には明らかに濃ゆいマナが漂っていた。これはつまり
《これだけのマナが出てるってことはそれだけヤバイ奴って事だよな》
濃ゆ過ぎてマスターにも見えるのだろうかそう言うとマスターは汗をかき、その汗は数滴下に滴り落ち その濃ゆいマナに入った途端蒸発した。
少々の水分は蒸発してしまいそなほどの濃ゆいマナ。これは私の想像をはるかに超えていた。
そのマスターと私はその部屋の隅にある物に気付く。
巨大な檻だった。
《.......檻?》
マスターの声が聞こえた途端私は解析を行う。
もしもこの檻に仕掛けがあればマスターが助からないかもしれない。それは嫌だ。
そう考え今までの三倍の速度で解析を完了した私は心底安心する。
この檻には外部への攻撃方法はない。中にいる者や触れた者のマナを放出させ弱らせるという性質の檻だった。
それをマスターにも知らせるとマスターも安心したのかため息を吐く。だがマスターと私を見たそれは言い放つ。
『なんだ?この人間は』




