2.初美容院行きます!
始めたばかりなのに投稿?遅くてすみません。
小説書くのって難しいですね..
本当に小説を書いてくださっている人を尊敬します..!
今日は3時から美容院を予約している。
「なんだか早くおきちゃったな〜」
5時30分を示す時計を見て言う。こんなことは稀だ。
なぜ今日こんなに早く起きたかというと、今日は初めて美容院に行く日だからだ。
えっ?高校生にもなって?
と、思うかもしれないが、今まではお母さんに切ってもらうか、安い散髪屋さんに行くという風だったのだ。
しかし!私は今日!美容院に行くのだ!
そう思うと早く目が覚めてしまった。
なんだか遠足の日みたいだ。
まぁ、朝も慣れてないスキンケアとか頑張らないとだからいいんだけど。
まだ誰もいない一階へ降りて電気をつける。
すぐに口を濯いで、ポットに水を汲んでお湯を沸かす。その間に朝ごはん。
(今日はたまごかけごはんにしようかな。)
「いただきます」
たまごかけごはんに、海苔と梅干しとたくあんを乗せて食べていく。これが美味しいのだ。
ポットでぐつぐつとお湯が沸いていくのをBGMに黙々と食べていく。
「ごちそうさまでした」
さて、次は洗顔だ。
お湯が沸いたポットを持って洗面台へ行き、桶の中で冷たい水道水と熱いポットの中のお湯を混ぜる。
だいたい40度くらいだろうか、ちょうどいい暖かさにしてから顔をバシャバシャと水でまず洗う。
そしてきちんと石鹸を泡立てて優しく包むように泡で洗う。優しくね!
そしてまた新しく調合したぬるま湯で綺麗に泡を洗い流したらタオルで優しくトントンと拭いていく。
そしてすかさず化粧水だ。乾燥する前に保湿が大事らしいからできるだけ素早くでも優しく塗る。
ーそして昨日の夜と同じようにスキンケアをして、私は達成感に満ち溢れていた...。
しかし.....
花粉症とは恐ろしい。私はまだ軽症な方なので私より苦労している人たちはいると思うが、鼻水がでてくる。
ーー鼻水がでてくるというか鼻が詰まるとかすると人はどうするかーー
鼻を、かむ!!!
すると、なんということでしょう〜〜(泣)
もう少しで家を出るはずだったというのに鼻が赤い!しかも小鼻がより赤い!!恥ずかしい!
もうやだーー..人生初美容院行けないよ、、美容師さんってみんな可愛くておしゃれで綺麗だし。
そこに芋女が入るだけでも勇気がいるのにーー!
あっ。ヒル◯◯ドがあったわ。これで保湿しとけばたぶん大丈夫。ーたぶん。
ーーとりあえず、行こう。遅刻は良くない。
家の鍵を閉めて、ヘルメットを被って、自転車に乗る。
家から近いところに女性だけの美容院がなかったので、自転車で1時間弱の割と遠めの美容院を予約していた。
自転車を漕ぎながら、私は何度も前髪を触る。
(大丈夫かな…変な髪型になったらどうしよう…)
風で少し乱れる前髪すら気になってしまう。
(いやいや、今日変わるんだ!私!大丈夫きっと!)
そう自分に言い聞かせながら、ペダルを強く踏み込んだ。
ーー到着。
ガラス張りの美容院の前で、私は完全に固まっていた。
(……無理かもしれない)
中には、おしゃれな人しかいない世界が広がっているように見える。
キラキラしてて、眩しくて、自分とは別の世界みたいだ。
(帰る...?いやでも、ここまで来たし…てか鼻大丈夫?)
ガラスを覗いて見る。
(たぶん、大丈夫?...よくわかんないな。
でも。)
深呼吸を一つ。
「……よし」
ドアを、開けた。
「いらっしゃいませ〜!」
明るい声にびくっと肩が跳ねる。
(うわ、みんな綺麗…)
受付の人も、美容師さんも、お客さんも、全員がキラキラして見える。
(私だけ場違い...?)
「ご予約のお名前、伺ってもいいですか?」
「た、田中です…!」
声がちょっと裏返った。終わった。
「田中様ですね、本日はカットでよろしいですか?」
「は、はい…」
案内された席に座ると、大きな鏡に自分の顔が映る。
(……うわぁ)
改めて見ると、なんというか…“素材そのまま”って感じだ。
「今日はどんな感じにしたいですか?」
美容師さんが優しく聞いてくる。
(来た……!うぅ、練習したはずなのにでてこない...!)
「えっと、その……」
「お任せでも大丈夫ですよ〜。普段の雰囲気とか、なりたいイメージとかでも」
(なりたいイメージ……)
「……あの」
私は少しだけ顔を上げた。
「頑張ってるというか、きちんと気を遣えてるというか.....そんな感じ……で、お願いします」
美容師さんは一瞬だけ驚いた顔をして、すぐに笑った。
「いいですね、任せてください」
ハサミの音が、静かに響き始める。
(……戻れないんだな、もう)
鏡の中の自分が、少しずつ変わっていく。
ーーそして、そのとき。
「すみません、遅れました」
店の入り口から、誰かの声がした。
(……え?)
なんとなく、聞き覚えがある気がして、
私は思わず、そっちを見てしまった。
ーーそこにいたのは。
(うそ……)
あの日、夕日の中で笑っていた、“あの人”だった。
(……え?)
(うそ……なんで……)
一瞬で、頭が真っ白になる。
彼は受付で何かを話していて、まだこちらには気づいていない。
(やばい……どうしよう……)
思わず、顔を伏せよう、、としたのだけど無理だ。
私には美容師さんの邪魔をする勇気がない..
(今の私、絶対変だよね……)
カット途中の髪。首にはケープ。
(というか鼻ちょっと赤くないか?嘘でしょ?)
ーーなんだろう、いつもよりちゃんとしてるはずなのに、逆に“途中感”がすごい。
(見られたくない……)
心臓がうるさい。
「どうかしました?」
「い、いえ……なんでもないです」
美容師さんの声でなんとか平静を装う。
でも、どうしても気になる。
ちらっと、鏡越しに見る。
彼はスマホを見ながら待合席に座っている。
(……気づいてない)
(そっか……)
胸の奥が、少しだけ沈む。
(まあ、そうだよね)
名前も知らないし、
たった2回、少し話しただけ。
(覚えてるわけ、ないか)
「はい、こんな感じでどうでしょう?」
美容師さんの声に、はっとする。
鏡を見る。
(……あ)
さっきまでの自分とは、少し違う。
前髪も、全体のバランスも、
ちゃんと“整ってる”。
(美容院……すご。美容師さん、すごい...)
「……ありがとうございます」
少しだけ、嬉しくなる。
でも、
(あの人には、気づかれなかったけど)
そう思った瞬間、
ほんの少しだけ、胸がちくっとした。
(あれ?気づかれないほうが良かったはずなのに?)
少しもやもやとした気持ちだ。
会計を済ませて、美容院を出る。
ドアを開ける直前、
一瞬だけ、振り返る。
(……)
彼は、やっぱりこっちを見ていなかった。
(……次は)
ドアを開ける。
(ちゃんと、気づいてもらえるくらいになろう)
春の風が、少しだけ強く吹いた。




