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《絶望》の鎧/《超越》-エクシード- 3

陽が昇り始めると、リーナは目を覚ます。と、言っても、リーナ達の野営の場所には陽の光がすぐには差し込まない場所であったため、リーナは辺りの生き物達が活動を始める音で目覚めるのであった。

リーナは目を覚まし、テントから出るといつもの様に朝のルーティンである剣の素振りを始めようとするが、そこには先客の姿があった。シャルである。シャルも皆より早く目を覚まし、剣の素振りをしていたのだった。

リーナは準備運動をした後、シャルの隣で剣を振り始める。左腕を失って早数ヶ月、毎朝の素振りだけでなく、エスペランザでの戦いなどもあったため、片腕だけの動きにもすっかり慣れたものであった。

「早いんだな」

「アナタこそ」

「フレームゴーレムがあったとしても、これをしないと、なんだかね」

「そうね」

しばらく素振りを続けていると、リーナは話始める。

「アナタとは、いつか決着をつけないとね」

「なんで、もう争う必要はないでしょ?」

「そうかもしれないわ。でも、あの時アナタが勝てたのは仲間の助けがあったからでしょ?」

「負け惜しみ?大体、部下でも連れてくれば良かったでしょ」

「そうよ、負け惜しみよ。あの時あなた達を侮って一人で向かった私がバカだったわ。確かに、どんな形であれ負けは負け。そして情けなくも私はそこから逃げた。言い訳しても仕方ないわ。でも、もしも1対1だったら負けてなかった。それを証明したいのよ」

そうこうしていると20分ほど時が流れ、眠っていたメンバーが続々と目を覚まし、各々朝の準備をし始める。それに合わせて、シャルとリーナは素振りを終わらせるのであった。

朝食として出た乾燥させた野菜クズと干し肉を使ったスープと硬いパンを各々食していく。そして、サクヤ達は朝食を摂りながら話をし始める。

「サクヤ、お前達はこれからどうすんだ」

「そろそろリーナの義手が受け取れる街があるから、そこに寄ってからディナルドに向かうよ」

「それもだけどストルツもよ。ヤツは絶対また来るわ」

「そもそも、そのストルツの目的は何なんです?」

「さあね、知ったこっちゃない。でも、向かってくるなら叩く、それだけよ」

「でもサクヤ、エスペランザは大丈夫なの?」

「正直今襲われたら、いや、例え完全に直っても勝てるかどうか・・・」

「ならさー、私達と一緒に来ない?」

「レーメネの言う事も一理あるわ。シャルと貴方は昔争った仲かもしれないが、目的は一緒なら、共に行動しても問題ないでしょう」

「確かに。それに、昨日のが襲ってきても、私達と一緒に戦えばきっと勝てるよ。ね、シャル?」

「私はいいけど、リーナベル、どうなの?」

「そうね・・・」

リーナは少し考え込む。目的が同じならば同行しない理由がない。しかし、ストルツは明らかに自分を狙って来ている。それに他の人を巻き込んでいいのか、そう考えたからだ。しかし、自分一人が抱え込んで悩んでも仕方のない話でもある。なので、リーナは打ち明ける事にした。

「アナタ達の誘いは嬉しいわ。でも、ストルツの事で、ただでさえサクヤ達を巻き込んでるのに、アナタ達まで巻き込むのは・・・」

そしてリーナはサクヤ達の方へ向き、続けた。

「ごめんなさい、こんな事に巻き込んで。嫌だったら、私一人でなんとかするから」

その言葉にサクヤ達は顔を見合わせる。そして、サクヤは答えた。

「いいよ。今までだってそういうのを一緒に乗り越えてきたんだから、今更だよ」

「そうそう。リーナ姉ちゃん達と居ると、危ない事もあるけど、それ以上に楽しいしさ」

「村から救ってくれた後、危ない事があってもついて行くって決めたのは、私達だから」

「みんな・・・」

サクヤ達の言葉に、リーナは救われた様な気持ちがあった。

「いい仲間を持ったな、リーナベル」

「えぇ、そうね」

リーナは思わず涙で滲みそうになった目を拭き、表情をいつもの様に整えると、シャル達の方を向く。

「アナタ達の旅に同行するわ。でも、ストルツは出来るだけ私達だけでなんとかする。でも、もし無理そうだったら、その時は言うわ」

「分かった。これからよろしく」

シャルが手を差し出すと、リーナはその意味を理解し手を差し出し、互いに握り合うのだった。


朝食を済ませ、出発の準備をしていたその時、リーナとシャルが何かを感じ取る。辺りに潜んでいる何か。ソレは魔獣とは違い、確実に規則的な動きをしており、例えるなら獲物を目の前に、今からの狩りの方法を組み立てながらいつでも動ける様にしている肉食動物の様にこちらを狙っている様子である。

「何かが、居る・・・」

「アナタも分かる様ね」

リーナとシャルは剣を抜き、背中を合わせながら極力死角を失くす様に立ち回るのだった。

「サクヤとエムリアーナも剣を。ミリアム、トロン、ウォードはメラとメルを護って。獅子、大猩々、大鷲とリュードは援護を」

リーナのその言葉に、各々が自然と二重の円を形作る様に陣形を組み始める。何かが来るが何がどう来るのかが分からない。その状況に緊張が走った。

すると、遂に何かが動いた。陰から出てきたのはシャドウであった。全身が黒い人型のソレはかつてクラウンが、そしてミレーヌが使っていた自立型フレームゴーレムだ。その時との違いは約2mの小型になっている所だろう。

8体のシャドウ達は四方からリーナ達に襲い掛かる。手甲に身に着けた長い爪を使いながら、人とは違う柔軟性で読めない動きで攻撃してくるのだ。

サクヤ、リーナ、シャル、エムリアーナは神使獣やリュードと共に一体ずつ対処していくのであった。

そして、シャドウ達の対処をしていると、突如森が切り裂かれ、空から巨大な影が覗き込んで来る。エスペランザとよく似た顔でありながらも、エスペランザとはどこか違う雰囲気を持っているフレームゴーレム・デスペラシオンであった。

「ストルツ!」

「リーナベル!昨日の続きを始めようじゃないか!」


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