月夜の繭 4
その戦いは長引いていた。しかし、一進一退の戦いであるという表現は正しくないだろう。状況としてシャル達の方が圧されている、守りの一方になっているのが見て取れる。
「これならどうだ、アルタード!」
シャッサールの背部に取り付けられてユニットが展開し、そこから8本の鋭利な物体が飛び出してくる。展開されたアルタードはシャッサールの周りを駆けまわった後、超神王に狙いを定め突撃を開始する。正面から迫ってくるアルタードをエムリアーナは避けたが、その直後、四方八方に広がったアルタードが超神王目掛けて襲ってくる。エムリアーナは咄嗟に超神王を分離させ、迫るアルタードを間一髪で外す。分離した神使獣はそれぞれ別方向へと分かれ、火星獅子と海王星大鷲は持ち前のスピードで振り切ろうとし。木星大猩々は逆に立ち向かう事にするのだった。
「エムリ、アレ追ってくるよ!」
「分かってる!」
しかし、逃げる火星獅子の目の前にシャッサールが立ちふさがる。
「余所見をしていてはなァ!」
火星獅子は気付いたがもう遅く、シャッサールの両腕の巨大なアームに掴まれ、持ち上げられてしまう。
「こうなると言うものよ!」
ゴートはシャッサールの腕を伝い、雷の魔法を放つ。強力な雷撃は火星獅子と、中に乗るエムリアーナはレーメネをも苦しめるのであった。
「マズイゴリ!」
「グル!任せろ!」
海王星大鷲はアルタードを誘導しながら大きく旋回すると、シャッサールの背後に回り込みシャッサールの背中へ突撃する。すると、その衝撃でシャッサールは火星獅子を離してしまい、更には海王星大鷲を追いかけていたアルタードまで被弾してしまう。
シャッサールの腕から離れたエムリアーナは再び合体をさせ、すぐに反撃に出た。
「そんな腕ッ!」
超神王の剣を振り、シャッサールの左腕を斬り落とそうとするものの、ゴートは寸の所で躱すのであった。
キャトルタイタンの猛攻は止まらなかった。攻撃を受けたミリアムが反撃をしようとするものの、その図体とは裏腹に、増設されたバーニアを活かしながら移動して躱し、そして次の攻撃へと移り反撃の余地を与えていなかった。ヴァリエンデを飛ばそうにもその飛ぶ暇すら与えない攻撃に、成すすべのない状態であった。攻略の糸口の見えない中、ミリアムは一か八かに賭け、迫りくるキャトルタイタンに対して→手に持った剣を振るう。すると偶然にもその剣は武器である斧を持っていたキャトルタイタンの手の部分に当たる。剣が当たったキャトルタイタンの手から斧が手放されてしまい、オルタロスもそれを目で追ってしまう。その隙を付き、ミリアムはキャトルタイタンの左肩の関節部に剣を差し込もうとするのだった。それは以前キャトルタイタンと戦った際にシャルが取った戦法の真似だった。しかし、キャトルタイタンの関節部はその剣を受け付けなかったのだ。
「以前と同じ手を使おうとした様だが、そうはいかん!」
オルタロスはキャトルタイタンの左腕に当たっている剣を右腕で掴むと、左腕でヴァリエンデの下腹部に拳を撃ち込むのであった。
九龍機の両肩の龍の意匠。それをは肩から外れると長い柄を出し、二つの柄を繋げると長刀の様になるのであった。ソレと背部から前方に突き出した二本の龍の首、ソレらを使う事で九龍機は変幻自在の攻撃をしていた。
「このままじゃマズいぜ」
「待ってください、まだ手はあるかもしれません」
トロンはモニターに表示された指示を見て呟く。すると、ヴァリエンデへ通信を繋げるのだった。
「シャルロット、ミリアム、聞こえますか。今からそちらにあるものを送ります」
「あるものって!」
「それはヴァリエンデに任せてください!行きますよ!」
トロンは操作すると、ソムニユームの背部の二本の砲台が外れ、飛び始める。一方はヴァリエンデの方へ、そしてもう一方は九龍機の方へだ。
「なんだ!?」
射出された砲台は九龍機へ突撃すると、旋回しソムニユームの元へ戻ってくる。しかしソレは背中にではなくソムニユームの右腕へ装着されるのだった。
「こんなことも出来るのかよ」
「ええ。ドリル?を出せる様です」
「なんだよそれ」
「回転して相手を貫く物の様ですね」
「まあいい、とにかく使ってみるか!」
一方、ヴァリエンデの方へ飛んで行った砲台はヴァリエンデの左腕に装着されるのであった。巨大な腕となったソレはキャトルタイタンの攻撃を防ぎ、弾き返せるほどの崩御力を持つ物であった。そこでミリアムはシャルにヴァリエンンデの翼をキャトルタイタンに突撃させる様に飛ばしてもらう事にした。飛んでいくヴァリエンデの翼はキャトルタイタンに弾かれたものの、突撃するヴァリエンンデから注意を逸らすほどの目くらましにはなるのだった。ミリアムは巨大な腕となった左腕でキャトルタイタンの頭部を殴るのであった。
前回の後書きで「次の話でこのエピソードは終わらせます」と予告しましたが、もう1話使う事になってしまいました。すみません。




