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「陛下が待っておられる。ついてこい。」
先程の気分はどこかへとんでいってしまった。掴まれた腕が震えている。自分の手で腕をギュッと掴み深呼吸しながら震えをおさえる。
アルの心配そうな目と合う。心配ないよとひきつる頬をあげ笑顔をむけた。
謁見の間は広く、緊張感のある雰囲気を感じる。扉から真っ直ぐに伸びた赤い絨毯を歩き、台座より少し離れた場所で膝を折る。
「ただいま、昨日捕らえた女を連れてまいりました。」
「そなたがアカネか。面をあげよ。」
同年代、いや、少し上くらいだろうか・・・若く整った顔だちだが、さすがは一国の王。重圧感で手足が震える。
「一応報告は聞いている。もう一度こちらへ来た時の事と、そなた自身の事を話してくれ。」
「・・・はい。私は茜と申します。日本と言う国で保育士、遊びを通して子供の情緒の教育、基本的生活習慣を身に付ける援助などを仕事としていました。昨日、その仕事を終えて家に帰ってから晩酌・・・いえ、お酒をたしなもうと思い座った所、電気、こちらにそのようなものがあるかは分かりませんが、夜部屋を照らす明かりがいきなり消えたので原因を探そうと立ち上がった瞬間光が弾けたように周りを包み、気がつけばあのジメジメとした所におりました・・・」
黒いローブの人たちに囲まれた事、激しい足音を耳にして慌てて逃げようと私の手を引っ張った事、足が動かず置いていかれた事などその時の様子を思い出せるかぎり話した。
「ほう・・・ニホンとは耳にしたことがないが、どのような生活をしていたのだ?見れば手荒れもなく、苦労のない生活をしていたように見えるが上流階級の出身か?」
「いえ、私は一般の家庭の生まれです。そもそも日本には階級というものはありません。昔はあったのですが、時代がかわり、民主主義、つまり民が代表を選び国政や、外交を行います。皇族は日本にもいらっしゃいますが、政治に関わることはできません。あくまで日本の象徴であると定義づけられています。大きな変革を遂げ、日本は世界でもトップレベルな生活水準を得ました。
義務教育があり、6歳からの9年間は子供たちは全員学校へ行きます。そこでは勉強だけでなく、健康も損なわないよう給食、栄養バランスのとれた昼食も出ます。運動、学習、食事と手厚い教育体制を私も体験し、さらに高校、大学と5年学習をつんで保育士という職につきました。きちんと働いて給料を頂いておりましたので、衣食住に困った事はほとんどないと言えます。
そして、私の国だけでなく他の国でも魔法や魔術を使える人間はおりません。いまだに信じられませんが、ここが私の生きていた世界とは違うと言うことは間違いないと思います・・・」
「魔法がないとは、さぞかし不便だと思うのだが?」
「魔法のかわりに科学という学問が発達しております。普段生活をしていて不便だと感じる事はあまりないです。」
大分いっぱい話した。政治に関してなどあまりあってるか自信ないけど・・・何が知りたいんだろう?やっぱり疑われているんだろうか・・・拷問とかされるのかな・・・不安でしょうがない。
「アカネ、君は子供の教育に携わっているんだろう?うちの子の侍女が辞めちゃって~かわりに侍女してくんない?」
「陛下っ!!!こんな得体のしれない女を近づけるなんて何を考えていらっしゃる!!!」
ポカーン・・・そんな擬音がついても可笑しくないほど呆けてしまった。
さっきまでの重圧感どこ!?
「まぁ、よいではないか~」
「賛成しかねます!!!」
赤髪の目付きの鋭い男がキャンキャンと吠えてる横で、すっかり威厳もなくなった陛下がダラッと椅子に寄りかかっている。
「大丈夫だよ~。アカネ面白そうだし。アカネ、うちの子ちょっと気難しいけど宜しくー。それから、ジーク!アカネはお前預かりで宜しく。生活に馴れるよう援助してやって。以上~(*´∀`)♪」




