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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第2章 王立学院

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154.叙爵の準備

 エルサダとガイが殿下方に向かって口が悪いと言うが、今に始まった事じゃない。

 それに実際、ブランを抱えていた騎士を守る為に俺も必死で、透視の能力を使い忘れた。それで奥へと誘導された訳だ。


 俺が命を賭けても守りたいものは近しい家族と仲間だけだ。もし、ルキ、ロキとブランどちらかを守らなくてはならないなら、迷わずルキ、ロキを取る。当然だ。

 それが分からないなら好きにしたらいい。


 そうして席に戻った奴らを無視して俺は目下、考えなくてはならない事にため息を吐いた。

 そう、貴族の名前、貴族名だ。前例から選ぶのも良し、新たに付けるのも良し。既にある貴族と同じのはダメ。


 うーん…難しい。広辞苑の貴族名の欄を参照する。

 高位になるほど字数が増えるようだ。下位貴族なら短くてもいい。

 ロとルとカ辺りを使うか。カゲツの名前も入れたいけどなぁ、カが俺とダブりだ。セイはルが入ってるからオッケーかな。

 うーもう無理だ。ダブってなきゃいいならアレにしよう。


 最後は面倒になって決めた。なんて家名か?

 ルカロだ。ロルカはダンジョン名で使ってるからな。カロルも候補だったが、カスミ・カロルはなんか違うなと。同じダブリでもルシアーノ・ルカロはそんなに変じゃないし。


 自習の終わりを告げるチャイムが鳴ると、カエサル導師が教室に入って来て試験の成績について話があった。

「食堂前の廊下に張り出されているから、各自見なさい。このクラスは全員が及第点を取っているから補修はない」


 ホッとした。圧倒的に授業日数が足りて無かったからな。

 その後は、各試験の解答を教えてもらって終わった。


「今日はこれまで。明日と明後日も試験の解答を伝えて、質問があれば受ける。最終日は来学年の案内をして今学年は終わりとなる。解散」

 その言葉で解散となった。


 成績は見なくていいよな?と思ったんだが、セイが迎えに来てにっこり笑うと

「ちゃんと試験結果は見に行くんだぞ?」

 と言われた。ばてれたか?


 その前にミロから

「カルロスが来てるから、少しいい?」

 頷くと教室に入って来た。このクラスは王族がいるから、誰かの案内なしに入れないのだ。


「カスミ…その節はありがとうございました!」

 ガバリと頭を下げるカルロス。

 戸惑っていると

「ずっとお礼を言いたくて…。お礼と言ってはなんですが、商会の取引でカスミが好きそうな食材をオマケで入れたから…。そんな事しか出来ないけど」


 マジか?カルロスっていい奴だな。

「出来ることをしたまでだ。だがその気持ちは貰っておく。来学年もよろしくだぞ!」

 元気に答えた。食べ物は嬉しいぞ。



 カスミはオマケの食材が嬉しくて言っただけだが、カルロスの頬は赤く染まり嬉しさに涙ぐんでいた。それほどまでにカスミの言葉は嬉しかったのだが、本人は全く無自覚だった。


「カスミ、成績を見に行くぞ!」

 セイに手を引かれて、外で待っていたトーカたちと共に食堂前の廊下に向かう。混み合ってるな…


「混んでるから…」

「主、進みます!」

 被せたな、クリスめ。やっぱりめんどくせぇな。


 クリスを先頭にずんずんと進んで、前に出た。

 ……見たく無かったかな。


 一位に俺の名前がデンと載っていた。2番3番はブランとレオ。この辺りは普通に実力だろう。

 で、10位以内にトーカ、クリス、リグが入っていた。ちなみにミロもだ。


 トーカ4位、クリス6位、リグ10位、ミロが7位だ。そしてカルロスがリグと同立の10位。

 俺の周りってめちゃくちゃ優秀じゃね?


 だからなのか、視線が刺さる。きっと休んでばっかりのくせに忖度かよ!って思われてるパターンだな、これ。


(トーカ、クリス…さっさと離脱だ!)


 トーカが露払いをしながら混雑から抜け出した。

「あの方が…」

「まぁ、あの方が?」

「一位ですって」

「凄いな」

 ざわざわざわざわ…居た堪れない。


 そのまま馬車寄せに向かおうとしたら

「カスミ、学院長がお呼びだ」

 カエサル導師に拉致られた。トーカたちは先に馬車に向かい、俺はセイと学院長室に向かった。


 中に入ると学院長とカゲツ、アラシハル先輩がソファに座っていた。向かいに腰を下ろすと

「やぁセイル、カスミ。今日は叙爵の事で来て貰った。家名は決めたか?」

 やはりそれか。


「まだセイには相談していないが、決めた。ルカロ…どうだろうか?」

 事情をしっているカゲツは変な顔になっている。


(お前、どんだけ双子が好きなんだよ!)


 兄ちゃんに付けたチビクリスから念話が来た。

 くそっなんでここに兄ちゃんもいるんだよ!


(こんだけだよ!)


 言い返したら顔を赤くしやがった。

 隣でセイも笑いを堪えている。側から見るとセイの文字と俺の文字を入れたように見えるだろ?まぁセイは分かってるから笑ってんだろうけど。


「おや、いい家名だな。ふふっもっと奇抜なのが来るかと思ったが…いいな。カスミ・ルカロ。ん…名前も改名した方がいいな。文字数が足りない」

 ん…?


(貴族の名前は最低7文字以上の決まりがある)


 マジか…。


「「カスミーユはどうだ?」」

 セイとカゲツの声が重なった。

「「それはいい」」

 学院長とアラシハル先輩の声も重なった。


 まぁ無難か?何よりセイとカゲツが考えてくれたならアリだろう。

「2人が考えてくれたなら、それでいい」

「なら決まりだな。カスミーユ・ルカロ。うん、いい名だ」

 俺はセイとカゲツに目線を送る。


「それから、ダンジョンの買取についてだ。最奥の湖にリュカ様と潜ったロイナス魔導師が、沢山の宝石を取ってきた。あのダンジョンは発見者であるカスミの持ち物であるから、国に所有権が渡るまでに発見されたものは全てカスミの所有になる。何か希望があるか?」

「道中でドロップした者は拾った人に進呈する。最奥の宝石は全部、ダンジョンと一緒に売りたい」


 学院長は考えてから

「まず、ドロップ品は構わないだろ。ただ、宝石の全てはダメだ。拾ったのは一部だし、まだまだ沢山あったと聞いた。多くても半分まで、残りはカスミが受け取らなくてはならない」

 それの何十倍も持ってるんだが。

「ならば、褒賞の折に王族へ進呈するとかは?」


 また考えてから

「そうだな、ならば目録と共に王へ進呈するか。叙爵のの返礼とでもしたらおかしくは無い。周りも黙るだろう」

 そう言ってニヤリと笑った。

 良かった、乗り切れそうだ。


 話し合いはそれで終わり、カゲツに

「おほん、その…カスミ。コーヒーが飲みたいのだが」

 あーそうか、兄ちゃんコーヒー大好きだもんな。


「それはなんだ?」

「黒い飲み物ですよ。広場の屋台などでも売っています。ただ、カスミのは全然違って美味しいんです」

「ベルシティのベルナ商会にカミール商会から卸してますよ」

 カゲツとセイが説明した。

「飲みたいな」「私もです」


 ということで、カップは用意して貰ってその場で焙煎してミルで挽く。いい香りが漂う。

 フィルターをセットしてカップに直接コポコポと注ぐ。


 牛乳と黒糖も出しておく。

「酸味を抑えて苦味が際立っています。お好みで牛乳と黒糖をどうぞ」

 セイとカゲツに俺はそのまま飲む。


 こくん…ふう、美味いな。昼前だがツマミにナッツ入りの甘さ控えめクッキーも出した。俺が一口食べる…前にセイとカゲツがバクバク食べていた。


 おい、遠慮って言葉はないのか?

 コーヒーもゴクゴク飲んで

「「おかわり!」」

 少しは遠慮しろよ…全く。


 おかわりを作ってやる。

 優雅に足を組んで寛ぐ2人。心臓に毛が生えてないか?学校長の部屋だぞ!

 そこでやっと学院長とアラシハル先輩がコーヒーに口を付ける。


「「!!美味しい…」」

 そしてクッキーにも手を伸ばし食べると目を開いた。

「「!!美味しい…」」

 そりゃ良かった。


「カスミ君は多才なんだな」

「なんていうか…食材がドロップするのも頷ける」

「食事もとても美味しいですよ」


 学院長は苦笑すると

「カゲツはあれからカスミ君のことばかり話をする。ご飯がとても美味しくてってな」

「そうですね、カスミ無しでは生きていけないって。婚約するか?」

「「それはない!」」

 俺とカゲツの声が重なった。




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