151.ものづくり
俺たちは王都の屋敷に帰って来た。
6日間の休みはあっという間だった。
俺の誕生日では純和食に日本酒までお披露目した。
味噌汁はすでにリヴ兄様を経由してマニエーラ商会から買い付けた豆が手に入ったので麹菌と合わせて寝かせていた。枝豆だけかと思ったら大豆もあったんだ!最高だ。
え?早すぎ??
もちろん時間促進だ。
で、誕生日には味噌が大盤振る舞いされたのだ。
俺が日本から持ち込んだ味噌は毎日補充でそれなりの量になっているが、こっちは大切に食べる。
なのでお披露目したのは新しく仕込んだ味噌。
一緒に酒も仕込んでいた。
柔らかい飲み口の甘口な酒にしたからか…双子ですらくぴくぴ飲んで初めて記憶をなくしたと言っていた。
それでもセイは二日酔いになっていない当たり、何か呪術関連で耐性があるのかもしれない。
起きたら死屍累々だったのは想像通りだ。
そして相変わらずみんな上半身裸の謎。まぁみんな鍛えているし見苦しくはないが謎だ。
俺は兄ちゃんに抱き着いて寝ていた。
双子が目を覚ます前に離れておこう。
ナニがあったのか不明だが多分きっとセーフだ。
例え兄ちゃんと太ももを絡めあって寝ていたとしても、服を着ていたんだからセーフに決まっている。
コハクも俺にけりをくらわしていないから大丈夫だろ。
実際はギリギリアウト?!な気もするが、セイルール以外は覚えていない。
コハクもそろそろ学習した。カスミは酒癖が悪くないがいかんせん何も覚えていない。
周りは酔ってさらに儚げなカスミが目をとろんとさせて頬を染めているのを見て変な気分になる。
いつもは比較的無表情なのににへらーと笑うカスミはなかなかかわいらしく…酒で理性が飛んだ周りによろしくされてしまうのだ。
それがセーフなのかというと…何とも言い難いところだった。
「回帰…」
ふう、良かった。すげえ頭痛だったぜ。
今朝はお粥だな。こんな時、タウロスがいると助かる。
そしてリクたちを走らせて戻ると死体みたいになったみんなが頭を抱えて起きていた。
リグが呆れながらもみんなを回帰させる。
ウルグなんて感動のあまり抱き着いていたぞ?
あ、リグがでれた…。
とそんなことがあった。
「時間遅延は3分の1まで」
釘を刺された。
さらに午前は2時間まで、午後は3時間まで。作業時間も指定された。
確かに10時間ぶっ通しはやり過ぎだな。
で、朝から作業だ。
パーティー衣裳がひと段落したから、小物の作成だ。
ついでになんか記念で写真を撮りたくて…でももちろん写真なんてない。
だから絵を描くことにした。
なので、子供たちにも衣裳を作る。
ちびっこたちは半ズボンとスカートでフリルたくさん。
ゴスロリちっくに仕上げたぞ。
そりゃな、可愛いに決まっている。そもそもが可愛いうえに洋服も可愛い。
敢えてグレーとか水色、紫を使う。
唯一の女の子のカロアは紫のフリルとレースを重ねたドレスだ。例え1才でも淑女だ。可愛い。
男の子はひざ上のズボンにひざ上の靴下。そう、ニーハイソックス。
女の子はタイツ。
可愛いが大渋滞だ…。まだ着せていないけど服だけで萌える。
他にも夜用の服を作る。
子供たちはキツネのフードのもこもこパジャマ。それを見たらルキとロキの着ぐるみが見たくなった。
しっぽをつけよう。
やっぱりキツネだ。イナリとコハクの色を使って。ふさふさしっぽがけしからんな。
俺も作るか…なら俺は白玉を模したウサギだな。耳と丸いしっぽ付き。
似合うかどうかはどうでもいい。作るのが楽しいからな!きっと双子は喜ぶだろう。
せっかくだしセイにも着ぐるみを…想像したが似合わねーな。
うんうん考えて狼にした。これならギリ似合うだろう。
アマランとウルグは…熊にするか。
もう全員作るぞ!
カゲツはもちろんうさぎだ。ウサギ兄弟だ!
で、トーカ、クリス、リグはトーカとリグが猫、クリスが犬だな。俺の趣味だ!
キリッとな。
いや、これマジで楽しい…
っとヤベッ時間だ。戻らなくちゃな。
ヒュン
屋敷に戻った。
休みは今日で終わりだからな…午後は子供たちと遊ぼう。昼飯を食って居間に向かう。
今日は俺以外の青い稲妻は依頼を受けて出掛けている。俺は外出禁止だって。酷いよな?引き寄せてる訳じゃないのに。
で、子供たちとわちゃわちゃだ。
ルイスが
「あのね、おしるのね…ちゅりゅんってのがね、えっとね、おいちかった!」
必死に喋る。お昼ご飯に食べたつるんとしたのが美味しかったんだな。
「ラーメンだぞ、ルイス」
キョトンとして
「りゃあめん?」
「ラーメン」
「りゃうむぇん…!」
くすくすっ可愛いからいいか。
「そうだ、よく言えたな」
「りゃあみぇん!!」
微妙に違うけどまぁいいか。
嬉しそうに振り向くとぽすんと抱きついて来た。背中をトントンしているとやがてうとうとし始めた。
そして口を少し開けて寝始めた。静かだなと思ったら他の子たちも横になって寝ていた。
可愛いな、おい。
俺はルイスの柔らかな髪の毛にキスをして目を瞑った。
あれ…?
「…」「しっ…」「…てる」「可愛い」「しーっ」
声が聞こえる。何だ…?
目を開ける。体に柔らかい何かがかかっている。横たわって寝ていたみたいだ。
「あ…」
「目が覚めた…」
顔を上げるとルキもロキにアマランとウルグも上から俺たちを覗き込んでいた。
「寝てたか…お帰り」
「ただ今」「ただ今カスミ」「おう帰ったぞ!」
「ただ今だ」
「どうした?」
みんなが動かない。
「可愛くて…」「眼福…」
「いや、子供たちが可愛いのは当たり前だがカスミもなかなか」
「可愛かったぞ!」
えっと、男だし可愛いはあまり嬉しくないな。複雑な顔をしていたからか、笑われた。
「お前、黙ってたらほんと儚げなんだよな…」
ウルグ、黙ってたらって酷くない?
伸びをして起き上がる。腕の中のルイスが俺にしがみ付いている。そっと抱え直すとルキが腕を引いてくれた。
ソファでまったりだ。
クリスがコーヒーを淹れてくれる。こくんこくん…美味い。今日の夜はさっき作ったパジャマのお披露目だな。
パジャマパーティーだ!
夕食まではまったりとしながら、今日の討伐について話を聞いた。
「カスミが見つけたダンジョン、話題になってるな」
ウルグが言う。何で?
「ほら、俺たちが冒険者ギルドに魔獣の発生がおかしいと話をしてただろ?ギルドからも注意を促していたからな…」
「で、ギルドから魔術塔と騎士団が出入りするから、俺らは立ち入り禁止ってなったんだよ。だからダンジョンだと気がついたってことだ」
なるほどな。
「名前決めたの?」
ん?
「やっぱり…セイルさんが言ってたよ。発見者には命名権があるって」
あーそれな。でも兄ちゃんも発見者だけどな。
ルキが俺の髪を撫でると
「騎士は国に属している。勤務中だったし権利はカスミにある」
…つってもなぁ、俺って名付けのセンス無いんだよ。
…よし、ロルカカでいいな。
「決めたのか?」「教えろ!」
「聞きたい」「教えて…」
「…てって!」
ルイスにまで期待の眼差しで見られた。おほん、まぁいいか。意見も聞きたいし。
「ロルカカダンジョン…」
「「ロルカカ!?」」
「ロル…」
「カカ?」
ルキが隣から、ロキは後ろから抱きついて来た。あれ、分かったのか…?
「カスミ大好き」
「嬉しい」「うれちー!」
えっとバレてる感じかな。
アマランとウルグは笑いを堪えてるし、クリスとリグは生暖かい目で俺を見る。トーカは呆れてる感じか。
「カスミって…結構そういうとこあるよな」
「あるな…ま、口にはあまり出さないが、分かりやすい」
「何のことだ?」
「「ルキとロキのことだ!甘やかしてるよな」」
その自覚はある。だって可愛いからな。結婚して3年目だが、いつまでも可愛いらしい反応で萌える。
「そりぁな、こんなにきれいでうぶで…惹かれるのは当たり前だろ!」
「もう…」「もう…大好き」
ロルカカはロキ、ルキ、カゲツ、カスミの頭文字を合わせてあります。
分かりやすく一途なカスミでした。
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