149.褒賞の内容
レオたちは公務があるからだな。俺は単に学ぶ必要が無いからだ。
「それは褒賞というよりは、学院としての…だな。また褒賞については話があるだろうし、祝賀を開くからそこで王から褒賞を賜る」
祝賀?
セイを見ると苦笑した。
「絶対参加の祝賀だな。で、貴族は全員参加だ」
ルキたちもか?セイが頷いた。
そうそう、ロスガレス様は実は騎士団長だった。マジで?俺ってば横抱きにされてたよな。
「しがない勤め人だ」
嘘だろ?
騎士団の団長って。カゲツを見ると頷いた。
その後
「カスミ君、カゲツだが…騎士を辞める。その理由は君がよく知っているだろう。過酷な現場を体験するとな、体が竦んでしまうんだ。今回の件は致し方ないと判断した。膨大な魔力放出に巻き込まれたんだ。そこで出来うる限り魔力を抑え込んだ。大変な功績だ。それを鑑みて、退団を認めた。カゲツは共に命を張ったカスミ君を守りたいと言っている。やがて侯爵家になるなら、護衛騎士は必要だ。そばに置いてやって貰えないか?」
俺はカゲツを見る。
そんなの当たり前の前田さんだ!
「カゲツがそれを望むなら、もちろん受ける。こちらの方こそ、そばにいて欲しい」
学院長は父親の顔を一瞬覗かせて微笑んだ。
「私からも頼むよ、カスミ君ならセイルの家族だ。安心して預けられる。難しい立場だからね、王族からは遠ざけたいんだ」
だよな、王子たちとは従兄弟だし。それはまぁセイたちもだが。
それで話が終わり、学院長室を後にした。
部屋を出るとロイナス魔導師から
「あのダンジョンについて、名前を決めたりその価値を見定める必要がある。地底湖に潜るから、参加して欲しい」
「断りたい…しばらくあそこには近寄りたくない」
ロイナス魔導師は
「そう言われると思ったんだ。何か発見されれば、ダンジョンの価値が上がる。ならば調査については責任を持って我々と騎士団が行う」
「あぁ、頼む」
こうして、ひとまずの騒動は終わった。いや、終わってないな…祝賀だよ、最大の爆弾を投下された気分だ。
そのままセイと馬車に向かい、待っていたクリスたちと屋敷に帰った。
屋敷の場所寄せに着くと扉が開き、手が差し出された。
その手に掴まって馬車を降りると
「お帰り」
ルキが迎えてくれた。
「ただ今、ルキ」
嬉しそうに俺の手を握って屋敷に入る。
「ロキは?」
「居間で子供たちとリュカと遊んでる」
ちょうどいい。そのまま居間に向かう。
「カスミ、お帰り」
ロイスを抱いてかけ寄ってきた。
「ただ今、ロキ」
ロイスを撫でる。
ソファに座ると、後からセイとトーカたちも座った。
「あールキ、ロキ。今回のダンジョン騒動に関連してカスミが叙爵される。それに伴って私の持つ爵位が侯爵になって…」
察したのか2人とも
「祝賀」
「パーティー?」
セイも嫌そうに頷いた。とはいえ、これは褒賞も賜る俺は強制参加だ。
「2人が嫌なら…」
「行く」「出る」
被せたな。
「「カスミだけ行かせるなんてダメ!」」
そう言うと思ったんだ。時間がないが、可愛い2人とセイにはとびっきりの衣装を用意したい。
「明日からの休み、パルシェン公爵家に泊まった後はレナン湖に行く予定だったが、レイラシティに寄っていいか?」
「もちろん」「布買う」
セイを見ると
「俺はまだ学院に行かなければならないから、レナン湖で合流だな」
「分かった」
結婚してからパーティーに出るのは初めてだ。
「エスコートはどうする?」
「あぁ、クリス、トーカ、リグも褒賞の対象なんだ。出来ればクリスはグラスゴー侯爵家の子息と出席してもらいたい」
「ならセイは俺とか?」
「あぁ、それがいいだろう」
ミロは相手が平民だから参加できない。妥当だな。双子と俺は一緒は無理だから。
「近くにいる」「一緒」
「そうだな、危険だし…また適当に隠蔽と認識阻害で逃げよう。セイは…流石に大丈夫か」
「分からんが、カゲツがカスミの護衛につく。来賓だからな。それがカゲツにとって最後の仕事だ」
「そういやパーティーっていつだ?」
「来月の末だ」
1ヶ月無いんだな。これは亜空間に籠って衣装の作成か。
「お母様に知らせる」「どんな布がいいか教えて」
そうだな…イメージは水龍かな。リュカの色だ。そしてセイと俺の色でもある。
「青とか水色の布で、薄くて柔らかい素材。今回はコートも作るから…リクの毛で作った生地が欲しいな」
「伝える。作るのはコートとスーツとシャツ?」
「他にも作るが、シュプール商会で買うのはそれくらいだな」
「分かった、リヴ兄様に伝える」
ルキが部屋の隅にある通信箱に向かい、何かをしたためて箱に入れた。便利だ。
ふう、ゆっくりしたいが大切なみんなの為だ。亜空間の時間を操作して遅延させよう。10分の1にすればいいだろう。
夕食は海鮮丼とステーキだった。凄い組み合わせだが、我が屋敷では定番の人気メニューだ。
ステーキは塩胡椒で味付けをし、焼き加減はミディアム。子供たちはまだ食べられないから、大人だけの特権だ。
ちなみに子供たちには肉団子だ。柔らかくて味も薄めにするからな。
で、夜は親子で川の字で寝たぞ。
冬の夜、子供たちの体温は俺をスッと眠りに導いた。
僕はカロアを抱いて眠るカスミを見る。
詳しくは話してくれなかったけど、また危ない目に遭ったんだと分かる。例え回帰しても、魔力が乱れたりする。それは強いジョブを使った反動みたいで、カスミの魔力が散っていた。
カスミは気が付いていないけど、僕たちには分かる。本当になんでカスミはこんな目に遭うんだろう。しかも、誰かを助けるために。
自分だけでも助かって欲しいのに、それはわがままなんだろうか。
規則正しく動く胸、震えるまつ毛。こんなに大切なのに…。反対側からルキもカスミを見つめている。
巻き込まれても傷付けさせないように…防御を考えなきゃ。
必ず守るから、大切な僕たちの旦那様。両側からそっとキスをする。
守るよ、いつだって守られてきたけど、今度は僕たちが守るからね、大好きなカスミ…
目が覚めるとロイスが腕の中にいた。あれ?昨日はカロアと寝たような?
で、当然みたいに両側から双子が抱き付いている。幸せな朝だ。2人にそっとキスをして、カロアの頬を撫でると転移した。
厩舎に行くとリクが脚をかく。
「リクおはよう、走るか?」
(当たり前田!)
省略したな?
朝はまだ冷える。白い息を吐いて走るリクはとても楽しそうだ。俺も走ってコハクを捕まえると抱きしめて寝転んだ?ふはっもっさもさだ。さすが冬毛。
イナリとコハク、子狐たちの抜け毛はまとめて保管してある。それを牛皮に圧着して襟巻きを作るぞ!
もさもさの襟巻きを着けた双子は絶対に可愛い。想像するだけで萌える。子供たちにはまだ早いか。でもお揃いがいいって言うよな…考えよう。
まだ寒いが、もう3月。やがて寒さも緩むだろう。待てよ、パーティーは3月の末なんだからコートは要らないか?スプリングコートを用意しようか?片マントもカッコいいかな。
青系の布を頼んだが、そのまま使うのには目立つ。少し色を足して濃紺に仕上げよう。
今回はカッチリした軍服風にする。ボタンは5つで、肩には徽章を付ける。
徽章は職業とか階級を現すが、この世界では一般的か分からない。ならば家族の証として何か図案を考えよう。
なんとなくスズランがいいと思っている。純粋とかそんな花言葉だった筈。双子にぴったりだ。
カスミソウは図案にしにくいからな…俺の花だが。
イメージカラーは白で紫の草模様で囲む。根本に水色のリボンを配置したら良さそうだ。
ズボンはセンタープレスでビシッと。スラっとしたみんなには絶対に似合うからな。美形が着るんだから何作っても似合う。
俺のはどうするかな…またあちらから来てきたスーツでいいか。すごく高級ではなかったが、こちらと比較すると良いものだ。シャツを変えればいいだろう。
ネクタイを新しく作るか、シャツは立ち襟で幅広のネクタイにすればいい。色は紫だ。タイピンを水色にすればいいだろ。
そうそう、例の騒動で倒した芋虫。クリスが保管してて、調べたら糸袋があるらしい。良質なシルクが取れるとあった。蚕みたいなもんか?
ならシルクでネクタイを織ればいいな。織り機はクリスに作らせればいい。
イメージが固まったから細かいデザインはこれから描こう。
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