147.休日の過ごし方
と言う事で、その日はひたすら家族サービスをして過ごした。それもありか、学院の行事で忙しかったからな。
ゆっくりと子供と遊び、ルキとロキと寄り添い過ごした。
なかなかこんな休日は取れない。
コハクやリュカもいて、たくさんで寛ぐ。リクもいるから子供たちは大喜びだ。
外は寒いのに、白い息を吐きながらリクにもたれている。
ふかふかの背中は気持ちいいからなぁ。
子狐ももっさもさで可愛いんだ。ふかふかした頭を撫でると頭を擦り付けて来た。いや、ほんと…俺は恵まれている。
兄ちゃん、早くこの輪に入ってくれよ。楽しみだ。
俺は幸せを噛み締めた。
さて、兄ちゃんと再会できたからには、アレだな。ずっとやろうとしながら後回しにしていたアレ。
そうハンバーグだ。
久しぶりに厨房に行くとタウロスが迎えてくれた。
「カスミ坊ちゃん、待ってました。やっぱり坊ちゃんが来ないと寂しいです」
「俺もだ!新しい料理を作るからな。手伝ってくれ」
「もちろんです!」
「まずはオーク肉をミンチにする。粗挽きでいい」
その量は半端ない。とにかくみんなよく食うからな。普通なら4人家族で500から600gほどだと思うが、俺たちは青い稲妻5人、水龍3人、セイにヒルガとタウロス、御者で総勢11人と子供たち4人。
リク、白玉、イナリ、コハクは俺たちと同じ飯を食うからプラス4。
ざっと50から60人前必要だ。多めで1人150gとしても9Kg。仕込みは10Kgだ。もう食堂並みだと思うぞ?
1人100g換算だと実に100人前だ。それで余らなかったりするのが恐ろしい。エンゲル係数爆高いな、きっと。
タウロスが肉をミンチにしている間、俺は堅パンを空気の膜に入れて風の刃で粉々にする。パン粉だ。ソフトパン粉だな、生にこだわりがないので問題ない。
卵はカラスの金色の卵。栄養豊富で濃くて美味い。
タウロスがいい感じの粗挽きにし終えた。クリスが作った大型のミンチ製造機はここで大活躍だ。
「ボウルに入れて、パン粉と卵と塩にコショウとこの薬草を入れる」
薬草はナツメグだ。
「ボウルを氷で冷やしながらただ肉を潰すようにしっかり混ぜる。だいたい100回。手が冷たくなるが、頑張りどころだ!」
「はい」
2人で手を真っ赤にしながら頑張る。握り込む動作は魔法で替が効かないから、手だ。真っ赤になって冷たい手を息で温めながらひたすら混ぜ合わせる。
終わった時には俺とタウロスの手は真っ赤で冷たくて動かなかった。すぐにぬるま湯に浸ける。
「いや、これはなかなか。何故冷やすんです?」
「肉の脂が体温で溶けないためだ」
「あ、それで。焼いた時に脂が溶けてそれが旨味となるわけですな」
さすが料理人だ。
「そうだ、この一工夫が味を変える」
「よし、再開するぞ!こんな形だ」
見本を見せる。小判形とか俵形だと通じないからな。
「少し厚めにして、真ん中は窪ませる」
「何故です?」
「中に入った空気をこう、手に打ちつけて抜くだろ?でも抜け切らない。空気は温まると膨張する」
「なるほど、割れ防止ですかな?」
頷く。
空気を抜いても膨らむから、肉汁を閉じ込めるために必要だ。
「出来た!」
80個くらい出来た。大人用とは別に味を薄くしてパン粉多めにした子供用もある。俺はガッツリ肉肉しいのが好きだが、好みがあるからな。子供たちは食べやすいように挽き肉を細かくして、ハンバーグ自体も小さい。
「どんな料理になるか、検討がつきません」
「試食だな?」
「はい!」
満面の笑みのタウロス。
「嫌な予感がするので多めに焼くぞ!」
タウロスは8個ほど焼いた。
「表面をしっかりと焼いたらひっくり返して、焼き色が付いたら火力を落として蓋をする」
「中まで火を通すんですね」
「そうだ」
じゅうじゅうといい音がする。
下味はしっかり付けたからこのままでも食べられる。子供たちはそれでいい。でも大人はやっぱりソースだろ。
音が落ち着いた頃に透視する。いい感じだ。
「いいぞ!蓋を開ける時に水分が中に落ちないようにな」
「はい」
肉の匂いがする。これだけだとイマイチ美味いか判断が付かないよな。
「保温庫に入れてくれ」
俺はフライパンにソースを投入する。
ゆっくりと温めて、ふつふつしたら火を止めた。
タウロスが試食用に皿に乗せたハンバーグにソースをかける。たまらなく良い匂いが漂った。
ゴクリ
「熱いから気を付けて、試食だ!」
「待ってました!」
フォークで割ると中から肉汁が溢れ出す。おぉ、いいんじゃね?
ふーふーパクリ。
ん、来た!やっべ美味い。残りはあっという間に口に入って溶けた。
「これはまた…とてつもなく美味いですな…」
「だろ?ソースを変えたり中にチーズを入れても美味いぞ」
「それは楽しみですな」
ゾクリ…悪寒がして振り向くと、怖え…。
厨房の扉の窓にルキとロキが張り付いていた。顔潰れてんぞ?やはりか。タウロスはしたり顔で皿にハンバーグを盛る。
扉を開けると
「良い匂い」「仲間にして」
「「試食の手伝いする」」
だと思った。
「夕食に出すから少しだけだぞ?」
「カスミ大好き」「好き」
タウロスが差し出した皿を受け取るとさっそく食べ始めた。どっから出したんだよ?フォーク。
もぐもぐしてる双子は可愛い。
飲み込むと
「カスミは天才!」「最高!」
2人の笑顔で俺も最高だ。
「笑ってくれるのが1番だ」
途端にもじもじして赤くなる。なのにフォークは止まらない。流石だ。
「美味しかった…」「もっと食べる」
「夕食でな?ほら、口の周りに付いてるぞ」
指で口元を拭うと唇を突き出して来た。お前ら、タウロスが…背中向けて笑ってやがる。仕方ない。
軽くキスすると満足そうに笑った。はぁ、俺の双子が可愛すぎる。
その後は付け合わせの青菜のバター炒めとフライドポテトをタウロスに頼んで、厨房を後にした。
兄ちゃんにも食わせたいな。
その夜はいつもに増しておかわり争奪戦が激しかった。
「俺のだ」「取りすぎ」「寄越せ」「あっ…もうない」
大人気ないな。しかも、ルキとロキは子供用のやわらかハンバーグを見ている。子供たちは手でしっかりカードしてたぞ?
「ほら、これ。子供たちのハンバーグと同じだ」
きっと欲しがるだろうと作っておいた。だから子供のは取るなよ?
「ん、柔らかい」「これも美味しい」
賑やかな夕食はこうして終わった。
コーヒーを飲んでまったりだ。子供たちは居間の遊べるスペースで遊んでいるが、眠そうだ。早めに寝かしつけてから、酒だな!キリッ
そしていつも通り、記憶をなくすカスミとセイだった。
翌日、今日から学院が始まる。と言っても実技試験のその後と試験休みの案内だけだ。
1週間の休みの後、今学期の総括があり、また休みを経て次の学年に上がる。
セイが
「問題になってるんだ。青い稲妻が冒険者ギルドに魔獣の増え方がおかしいと伝えたあの件だがな、どこかでそれが現場に伝わらずに放置されたようだ」
「どこか?」
「冒険者ギルドではない。国のどこか、軍だと思うがな、誰かがそこで伝えなかった。故意か過失か不明だが。危うく王族が死ぬ所だったからな。大問題だ」
保護者への説明も必要で、しばらくは学院も軍も大変そうだ。今日はその説明もあるみたいで、講堂に集まった。俺はクリスたちと一緒に話を聞く。
「学院の実技試験で由々しき自体が発生した。原因については国軍と魔術塔で調査中である。生徒が1人死にかけると言う大変な事態となったことを心から詫びる。済まなかった」
学院長とは言え、王族が頭を下げるのはなかなか無い。それほどのことだだたんだろう。
その後も説明が続き、ようやく話が終わった時には昼になっていた。
俺はすかさず隠蔽を発動して公爵家の個室に逃げ込んだ。なんか目線が凄かったんだ。死にかけたのが俺ってバレてんのか?
くわばらくわばら…
明日の投稿でカスミとルキ、ロキのイメージ画像追加します!
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