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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第2章 王立学院

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137.もうすぐ期末試験

 実はこのチーム分けについてセイから事前に聞いていた。

 俺たちのクラスは9人だから、2人と1人に分かれて他のクラスとチームを組む。


 女性は必ず2人でチームに割り振られるようで、マリアージュとユリウス、ブランにはリグが着く。顔に包帯を巻いた状態だが、ケガは治ってるから問題ない。


 他はレオとガイ、エルサダとナリウス、そして俺とミロ。実力で割り振るとこうなった。

 レオのチームにはトーカが、俺のチームにはクリスと子爵家のカルロスが入る。ミロの知り合いらしく、安全とトーカが判断した。

 同じ理由でトーカがレオとブランのチームに割り振ったのは裏のない実直なメンバーのみだ。


 やらせだが、仕方ない。俺も含め王族は守られる立場だからな。


 騒めく教室で

「静粛に、それでは授業を始める」

 カエサル導師が粛々と授業を始めた。

 午前の授業はつうがなく終わり、最後にカエサル導師が

「野外実習のチーム分けは食堂前の廊下に張り出されている。各自確認するように。本日はこれで終わりだ」


 カエサル導師が教室を出るとまたざわめきが大きくなる。

「カスミ、見に行こう!」

 ミロに声を掛けられた。廊下にはクリスたちとセイの気配がする。行くか。


「そうだな」

 ミロと教室を出るとクリス、トーカ、リグが寄って来て俺とミロを囲んだ。

 セイは先に馬車にいるとチビクリスから連絡があった。


 食堂に向かうとすでに廊下は人だかりが出来ていた。見たらとっとと帰ろう。今日は久しぶりに青い稲妻として依頼を受けるからな。クリスたち水龍も一緒だ。


 クリスが器用に人をかき分けて掲示板の前に出た。

 ミロが

「あ、カスミと一緒だ!クリスとカルロスも。うわぁ、嬉しい」

 純粋に喜んでいるミロは可愛いらしい。


「力で割り振ったんだな」

 そう聞いても

「えへへっその通りだし、それでカスミと同じチームになれたなら嬉しいよ」

 本当に無垢な笑顔だ。だから俺も

「そうだな、ミロのへなちょこ魔法に感謝だな」

 と言えばさらに顔を赤くして頷いた。頭をくしゃりと撫でると真っ赤になった。


「主、離脱します」

 今度はしんがりだったトーカを先頭に離脱した。そこで声を掛けられる。


「パルシェン侯爵家令息様、お初にお目に掛かります。カルロス・メニエーラでございます。この度は同じチームとなりましたので、どうぞよろしくお願いします」

「カルロス、名前で呼んでいい。こちらこそよろしく。時に、メニエーラ商家は野菜などの食べ物を多く取り扱っていたな?」


 カルロスは驚いた顔で

「はい、隣国に近い場所に領地がありますので…。ただ、保存の問題で王都へはほぼ入って来ませんが」


「そうか。品目を知りたいのだが…探している野菜があるからぜひカミール商会として取引がしたい」

 カルロスはばっと体を起こすと

「は、はい!見本をお持ち出来れば良いのですが…」

「紙に絵姿を描けるか?」

「それは、はい」

「ならば、紙を渡すから書いてくれ」

「はい!」

 顔を赤くして直立不動だ。


「ソレアルレストランに野菜を卸しているだろ?」

 ソレアルレストランはレイラシティ、そう双子の実家であるシュプラール侯爵家が治める街だ。

 そこの老舗レストランがソレアルレストランだ。

 例の特別急ぎの案件を請け負ったときにぜひ食べに来てください。と言われていたのだ。


 そこで訪ねたら、メニエーラ子爵領からはるばる運んだ食材を使ったというサラダが出てきた。

 豆だ、そう豆。

 多分、枝豆。大豆にもなれる奴だ。


 それから多分、アボガドとブロッコリーも。

 あとはとうもろこし。見かけないなって思っていたんだ。だから粉であちらから持ち込んだコーンスープを出せなくって自分だけでちまちま飲んでいた。


 ソレアルレストランでコーンスープが出て来て枝豆が前菜でハムと出てきたときに泣きそうになったのだ。

 ただ、カミール商会は相手を選ぶ。メニエーラ子爵家とは知り合いではないし、シュプール商会も食料は扱っていない。


 子爵家あたりが興した商会は生活用品が多い。もちろん食材も含めて。

 なので、どこかで知り合う機会はないかと密かに狙っていたのだ。

 クリスがミロとメニエーラ子爵家の双子とは商会の取引があり、比較的親しい間柄と聞いてトーカに探らせた。


「ミロ様と言いなんというか…いい意味で貴族らしからない御仁だな。間違いなく安心安全だ」

 太鼓判を押された。


 量産できなかったパインも亜空間で根付いたし、とは言えお父様たちからもたくさん食べたいと言われているので、来年以降もそれなりの量をグラスゴー商会から購入することは決まっている。


 商会として買っているのに卸しと言いながら自家消費という不思議なことになっているが商会としては問題ない。


 で、豆だ。大量に買う用意がある。

 そうなると相手からもこちらの商品を買いたいと打診される。

 これはもう仕方ないとはリヴ兄様だ。


 といいつつ、自分たちに関連するようなものに限定しろと言われているので、業務用の保冷箱を限定数で卸すことにした。

 業務用は小売りを禁止する。代わりに普通の保冷箱も少量卸すことにした。


 それでウインウインだ。


「は、はい!よくご存じで」

「野菜がとても美味しくてな、それがメニエーラ領から運んだと聞いていたのだ」


 カルロスは類を紅潮させ

「こ、光栄であります!」

「詳しいことはまた担当から連絡が行く。よろしく頼む」

「はい!」


 よし、豆とアボガド、とうもろこしゲットだ。

 密かにガッツボーズをした俺だった。

 もう一つ、さつまいももあったんだ。


 俺は料理にさつまいもを使うのは邪道だと思っている。

 だが、スイーツなら問題ない。絶対に買うべきだ。

 さらにもう一つ、絶対外せないのがカカオ豆。そう、これもどうやら隣国から仕入れているようだ。


 魔国以外とは取引のないカミール商会は、隣国へ手を伸ばすのも正直面倒だ。

 取引と言うからには何か売らなければならない。色々とリスクがある。

 取引相手を選ぶ品物ばかりあるのが原因だ。なので、相当相手を絞らなければならない。


 長いことベルナ商会とシュプール商会としか取引をしていなかったカミール商会だが、グラスゴー商会とメニエーラ商会に手を広げる。

 もうこれ以上は増やせないが、欲しいものはほぼ出そろった。

 それ以外は自力で何とかなる。


 宝石?いらん。魔石?作れる。鉱物?オリハルコン取り放題。布?シュプール商会。海の者?ルーガス。

 水晶も取れるからおおむね間に合っている。欲しけりゃある程度なら作れるからな。


 トーカによると水晶やオリハルコンが取れた洞窟は奥に進むとサファイアとアメジストがあるそうだ。

 エメラルドもあるというし、俺たちの色は全てある。

 出来れば水色の石が欲しい。ブルートバーズとかかな。ま、別にどうしても欲しいってわけじゃないし。


 なので、そろそろ取引相手も打ち止めだな。


 カスミは自分の物思いにふけっていて気が付かなかったが、カルロスが熱い眼差しで見ていた。

 気が付いたクリスたちはため息をそっと吐いた。


 また、主は人をたらしんで。自分たちの商会もさることながら、無口で儚い見た目のカスミが話しかけるだけで生徒は喜ぶことを自覚していない。

 しかも、無表情ながら明らかに嬉しそうに。カルロスがカスミに傾倒するのも仕方ないのだが、本人はまったく

 無自覚だ。


 カスミは上機嫌でミロとカルロスに別れを告げてクリスに手を引かれて馬車に向かった。

 馬車で待っていたセイルールに

「セイ、聞いてくれ!メニエーラ商会と渡りを付けた。豆が、待ちに待った豆が手に入る!」


 大豆が手に入れば味噌も醤油もそして豆腐も作れる。

 こうじ菌とかは持ち込んだ味噌から分離したらいい。



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