138.新しい取引と依頼
カカオ豆が手に入れば後は亜空間で育てて、チョコレートも作り放題だ。
こちらにバレンタインデーなどの習慣はないが、シュプール商会を巻き込んで大切な人への贈り物として根付かせたらいい。
2月14日だと同郷にバレバレだからチョコレートの日として例えば5月5日とかを定めて。
よし、すぐにリヴ兄様を巻き込もう。
セイは目を細めて
「良かったな。カスミがそんなに嬉しそうなのはマツタケ以来かな」
そうかもしれない。俺にとって故郷の食事はとても大切なんだ。
「あ、食事に関してな。ルキとロキのそばにいるときのカスミもとても幸せそうだ」
それは当たり前の前田さんだ。双子は俺にとって大切だからな。
昨日の夜を思い出して赤面した。
セイに頭を撫でられる。もう子供じゃないのに。
でもやっぱり嬉しい。
屋敷に帰ってタウロスが作ってくれたオムライスを食べる。
そしてみんなで冒険者ギルドに向かった。久しぶりだからか、ルキとロキだけじゃなくアマランとウルグも嬉しそうだ。
この時間は空いているからみんなで依頼を見に提示板の前に並んだ。
「やっぱり討伐だよな」
アマランとウルグだ。俺は自然と採取に目が行く。Bランクより下の採取依頼は急ぎで受ける人がいなさそうなのを見繕う。
「カスミ、Aランクの採取依頼がある」
―妖精の揺り籠―
とあった。なんだそれ?
(トーカ、妖精の揺り能ってなんだ?)
(幻想の森の土の中にあると言われる黒いきのこです)
あれ、それってもしかして。
(主の世界ではトリュフと呼ばれているアレですね)
あるよな、確かイナリだかコハクだかが見つけてうっほーいとか言っていた奴。
(クリス、トリュフって栽培に成功したんだっけ?)
(しましたね。亜空間で増やしていますよ)
すっかり忘れていたな。何度かパスタ料理の時に使ったな。
チョウザメの卵のキャビアとトリュフときたら後はフォアグラか。ダチョウの胃だっけ?いや、肝臓か。いわゆる脂肪肝。
そう考えるとエゲツないな。やめとこ。
(カスミ、トリュフはこの世界では内臓の病気を治せる治療薬としてとても高価だから需要がある)
そうなのか。採取量は5g。そんだけでいいのか?
(主、普通は土の中からそれこそ川で砂金を取るような方法で採取するんです。塊で見つけられるのは有り得な
それならギリギリ5g集めるか。不自然だし2週間くらいかけて。急ぎだが期限はないみたいだし。
(カスミ?)
(妖精の揺り籠の採取を受ける。何度かバスタで食べた果いきのこだ)
(3週間後に納品かな)
(そんなもんだろうか、2週間ではマズいか?)
(うん、3週間がいいと思う)
「リーダー、この採取も受ける」
ルキガアマランに話しかけた。
頷くと
「討伐はこれを受けよう。なんだかちょっと大きな群れみたいだ」
ということで、受けた。
水龍はBランクまでの依頼は受けられるので合同だ。
そうそう、ルキとロキはついにランクが上がり俺はBランクのままで、パーティーもAランクなった。
一応、これ以上ランクを上げると国からの緊急以来が強制となるので、これ以上はランクを上げないことにしている。
俺はAランクに上がる予定はない。正直、なくても問題ないからな。
実力だとSランク相当と言われているが、俺単体はそこまで強くない。
(実際はSランク相当に強いが無自覚)
ルキとロキガAランクに上がったのは例のクラーケンの討伐(海が収まったので討伐扱い)したのと、パルシェン公爵家から出ていた俺の捜索依頼を達成したからだ。
まぁ、ルキお手柄かな。
で、Aランクに上がった。2人とも微妙な顔をしていたがアマランの減るもんじゃないという言葉でやっと笑ってくれた。
とそんなことを思い出しつつ、依頼に向かう。
リクもやる気満々で、俺を背中に放り投げた。早く行きたい時にはそんな感じだ。
ふかふかの毛は相変わらず気持ちが良くて、お父様やお母さまにも人気だ。ベルからも少し卸して欲しいと言われて、卸した。
店頭には並ばなかったようだが。
大きな群れは俺たちがやがて野外実習に向かう予定の森だった。今から討伐を進めるんだな。
今回は最奥に群れがたくさんと聞いて、群れがたくさんなのか、たくさんの群れなのかという話になった。
「普通はたくさんの群れなんだが…」
「キナ臭い」
そう、リクがピリピリしている。コハクとイナリも俺の膝に乗っている。とても珍しい。普段ならリクの近くを歩いているのに。
ザワリッ
「来るぞ!」
アマランの言葉に俺も構える。降りようとしたが、リクに止められた。
(弱っちいんだから乗ってろ!)
リクがここまで言うならかなり、か。
(ルキ、ロキ、気を付けろ!)
(分かった)(大丈夫)
2人とも警戒している。クリスたちには俺の感じていることは分かるし、トーカもいる。
そこからはまぁ大変だった。なんせ数がな。
緑と灰色が入り乱れて混戦だ。もっともリクと白玉が人のいない方に雷魔法を広範囲にぶちこんで、それに合わせて俺が水魔法を展開しているから、数はガンガン減って行く。
木が燃えないようにと感電させるための水魔法だ。
仮死状態の奴らはイナリとコハクが凍らせて行く。俺はリクと白玉に合わせるのが精一杯だが、密かに全員に結界をしている。
俺自身はリクが結界にくるんでくれたから、大丈夫だ。
全てが終わるのにどれくらいのかかったか。1時間はぶっ通しだったな。俺なんかリクの上にいるだけなのに。
みんなも少しキツそうだから
「リグ、回帰だ!」
迷わず回帰を発動した。
「ふう、結構キツかったな」
「どんだけいたんだよ!?」
「推定だがゴブリンが324、オークが148くらいだな」
うげ、マジか?
「ギルドに注意を促そう。流石に多すぎる」
「でもよぉ、そんだけの数を1時間て…早いわな」
「あーリクと白玉だな」
俺は目を逸らすと
「クリス、ゴブリンは討伐証明。オークは…」
「亜空間に入れた」
「僕も」
ルキとロキだ。
「あー俺も入れたぞ」
「俺もだ」
アマランとウルグも亜空間が使えるからな。
「主、討伐証明も、オークも収納済みです」
ドヤってるクリスが可愛い。リクから降りるとクリスを撫で撫で。頬を染めてる姿は普通に可愛い。
俺のジョブやスキルはどうしてこんなに可愛んだろうな、見た目は。
「あ…」
イナリとコハクがここ掘れコンコンしてるぞ!
口に咥えたのは…トリュフじゃねーかよ。あるんだな、こんなところに。
「妖精の揺り籠だな…」
もしかして、オークのフンとかじゃ無いよな?チラッとトーカを見ると首を振った。良かった。
イナリとコハクがそれぞれ3個取ってきたので、ポーチに仕舞う。
さて、これで終わりかな。
「んじゃ、帰るか」
こうして帰りはリクが乗せてくれず(泣)歩いた。と言っても空気の塊の乗ってるから楽ちんだ。
こうして、無事に依頼を終えた。
アマランはギルドに大量発生の報告をした。間違いなくした。俺もそばにいたからな。
なのに、あんな事になるとはその時は知らなかった。
依頼を終えて、屋敷に帰った。
試験勉強は要らない俺は帰ったら子供たちをわちゃわちゃして、ルキとロキとお風呂に入れて寝かしつけてからルキとロキと風呂に入り川の字で寝た。
久しぶりに体を動かしてスッと眠った。
翌朝、学校で午前は授業を受けて午後はまた依頼を受けた。またしてもあの森だ。千客万来か?
今度は猿型の魔獣が群れていると。昨日まとめて討伐したばかりなのに。
不思議に思いながらもまた青い稲妻と水龍で合同受注だ。
猿はすばしっこいので、クリスに蜘蛛の巣のような罠を貼らせて動けなくなった所で凍らせる作戦にした。
リクや白玉がイライラして大変だった。
俺?俺とロキは風魔法で奴らを追い込みながら、あわよくば首を狩っていたぞ。
やっぱり数が多くてトーカによれば
「148くらい」
だとか。やっぱりなんかおかしいだろ、と思うが危ないからその調査は冒険者ギルドに任せるべきといわれた。
そしてまた、冒険者ギルドでやはり森の調査をするべきだと進言して帰った。俺も聞いていたぞ!




