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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第2章 王立学院

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135.休日

 目が覚めた。腕の中にルイスが収まっている。口を少し開けてぷくくと息をしながら眠っている。可愛い。

 その柔らかいほっぺたを突く。ほんの少し色付いたほっぺたは俺の指を柔らかく受け止めた。


「ん…」

 寝返りを打って背中を向ける。まだ小さな背中。顔を寄せると甘い匂いがした。

 もうミルクは卒業したのに、赤ちゃんはどうして甘い匂いがするんだろう。


 後ろから緩く抱きしめてその髪に頬を寄せる。

 ルイスの向かいにロキ、俺の後ろにルキ。他の子たちはどうやら足元辺りにいる。横並びで寝ても必ず3人が日替わりでどこかに寝ている。


 ロキがベット周りに結界をしているので、落ちることはないが足元だったり頭付近だったり、俺たちとは90度違う向きで寝ていたり。


 それが何故か1人だけはちゃんと腕の中にいる。今日はルイスだったのだ。

 ルイスはすでに2才。よたよたしながらも走る。白玉がルイスと一緒に庭を走ったりしてお世話している。

 ロイスとカルアとカロアはイナリとコハクが子狐と一緒に庭で過ごす。


 昨日は表彰式終わりで、それまでしばらく一緒にいられなかったからか、子供たちがグズリまくって宥めながらあやして、お風呂に入ってソファで膝に抱けばやがて寝た。


 まだ柔らかくてコシのない髪の毛を撫でる。子供は可愛い。その体温を感じていたら眠くなった。やっぱり普段と違う事をすると疲れるな。


 まだ早い時間だったが、子供たちと一緒に寝た。


 目が覚めた。

 リクと散歩がてら少し発散しよう。外に出てリクに水と飼葉を出す。ふかふかの背中を撫でると俺を包み込んでくれた。


 ほんとリクは俺の感情に良く気がつく。包まれていると暖かいし、幸せな気持ちになる。頭を撫でると

(ケッ馴れ馴れしい)

 悪態をつかれた。なのに、逃げない辺りがリクの優しさなんだろう。


「カラス、スズメ、白玉にイナリとコハクも、亜空間に行くよ!」

(よっしゃ!)

(やったー)(わーい)


 みんな俺の亜空間がお気に入りだ。

 で、転移して俺は山に向かった。ここならどれだけ魔法をぶっぱなっても大丈夫だ。吸収されるからな!


 魔術大会のうっぷんを思う存分晴らした俺だった。


 まさか、同じ日の午後にまた憂さ晴らしに来ることになるとは思わなかったが。




 表彰式では肅々とトロフィーとメダルが渡された。受け取って挨拶をする。

 ジョセフィーヌ先輩からだ。


「今年の1学年の戦いは酷かった。1人にあれだけのハンディを背負わせて、それを公にしない事に強い憤りを感じる。パルシェン公爵家令息は、間違いなく一流。それに気が付かない大勢の苦情は聞くに耐えなかった。学院は説明をするべきだ」


 優勝の挨拶なのに、俺のことを庇ってくれた。先輩を見れば、ふわっと笑った。

 なんか心の中が暖かくなった。


 次はアリシラル先輩だ。

「私も今年の1学年の戦いに疑問を呈したい。突出した実力を隠さざるを得ないことで、多くの疑問と苦情があった。その中で、攻撃をしないのに優勝した彼の力は本物だ。魔術師塔の言いなりになる学院に未来があるのか、考えてほしい」


 またもや俺を擁護する挨拶。先輩を見ればやっぱりふわりと笑ってくれた。


 最後は俺だ。ざわざわとしている。

「縛りを設けられた戦いで、私の従者2人がケガをした。手加減をさせられた上で。残念だ。私を信じて応援してくれた家族と仲間に心から感謝を…」


 胸に手を当てて軽く叩く。体はVIPルームを見て。手すりから乗り出す勢いの双子とパルシェンのお父様とお母様だ。

 お父様はやはり胸に手を当てて、お母様に胸に両手を重ねて、双子はやはり胸に手を当てて俺を見ている。


 ありがとう!色々と報われた。


 俺の挨拶は終わりだ。

 そこで学校長から挨拶があった。

「今年の1学年について、説明を…」

 そして語られた俺が攻撃禁止と言われて参戦していたこと、従者達も相手にケガをさせないよう気を付けて戦っていたこと。


 顔や体に火傷を負ったリグと足を切られたクリス。どちらも止めるタイミングはあったことを話し、謝罪した。

「学院として、不公平な戦いを強いた事を謝罪する」


 次にロイナス魔導師が説明した。もちろん、言い訳に終始したが

「その能力をより見たかった。結果としてその力の片鱗すら見せられなかったことは申し訳ない」

 リグとクリスにしても、試合に没頭して見ていたのが救出が遅れた原因であったと認めた。


 ここでシャラリと音がした。

 誰もがハッとして頭を下げる。国王のお言葉だ。


「このようなある意味、不正とも言える状態で国の未来を担う少年が苦情に晒されたことを遺憾に思う。学院の在り方も考えねばならぬな」


 重い言葉だ。

「パルシェン公爵家からも言いたいことがあるであろう」

 目配せされたお父様が話す。


「私たちの大切な末の息子が、謂れのない悪意と苦情に晒されたことは大変残念だ。まさか散々弱虫だの卑怯だのと言っていた家から婚約者のいないカスミに婚約の打診などこないであろうが…な。念の為に申し添えるが、カスミには意中の者がいる。婚約の申し込みは受け付けない。以上だ」


 なるほど。色々と牽制してくれてるんだな。

 俺はVIPルームに向かって頭を下げた。


 とそんなことがあったんだ。




 走り終わると朝食だ。

 タウロスにお願いして和食だ。

 ごはん、大根の味噌汁、鯵の干物にたくあん。だし巻き卵。

 俺以外には肉も付いてる。

 うん、美味しい。


 セイは魔術大会の後始末があって学院に。

 アマランとウルグはトーカとリクたちを連れて依頼を受けに冒険者ギルドに向かった。

 ルキとロキ?もちろん俺と一緒だ。クリスとリグもな。

 居間で緑茶を飲む。美味いな。


 俺の膝にはカロアが乗っている。ぷっくりとした子供は可愛いしあったかい。俺の胸にしがみ付くカロア。

 普段、昼間は一緒にいられないからな。


 なんとなく午前中は居間でルキとロキとそれぞれ話をしながら過ごした。

 子供たちは居間の一角に作ったスペースで遊んでいる。


 コハクとイナリの子供もそばにいて、可愛い子供たちと子狐は見てるだけで癒される。

 作った積み木を崩されて大泣きするロイスに子狐が寄り添いしっぽで顔を撫でる。

 ロイスはしっぽを追いかけていつの間にか泣き止む。


 子供たちの小競り合いで誰かが泣けば釣られて他の子も泣いて…と賑やかだ。

 収集が付かなくなる前に俺かルキかロキが抱き上げてソファに座る。


 昼ごはんはタコライス風ご飯だ。

 ご飯の上にカットしたレタスとトマトを乗せる。ひき肉を調味料でタコス風に味付けし、レタスの上から載せる。その上にたっぷりのチーズを掛けたら出来上がりだ。

 野菜たっぷりのスープと食べる。


 そのうちロコモコなんかも作りたいな。アボガドを探すか。

 午後は子供たちがお昼寝タイムだ。

 俺たちは相変わらず居間でのんびりと紅茶とクッキーをつまみながら取り止めもない話をして過ごしていた。


 午後3時頃に帰ってきたセイの機嫌が悪かった。

 居間でコーヒーを入れてクッキーを出すとバクバク食べてぐびぐび紅茶を飲むと落ち着いた。

「どうした?」

「どうしたも何も…」


 話を聞いて引いた。

 ナリウスの侯爵家からリグに婚約の打診があったそうだ。クソッやっぱりそれが狙いか。


「もちろん、それが狙いかと聞いたがはぐらかされた。リグはカスミの従者だからと俺に話が来たが、リブリアーノの兄妹としているからな、彼にも連絡をした。もちろん、叩き返すと怒っていた」

 リグを婚約者にする為の攻撃か…まったくムカつくな。


 俺はその後、双子とセイも一緒に俺の亜空間に飛んだ。そこで思いっきり魔法を使いまくって

「ふざけるな!」「一度死ね!」

「このやろー!」

 荒ぶった。


 ひとしきり暴れまくって振り返ると3人が固まっていた。やっちまったか?と思ったら

「僕もやる!」「僕も」「私もだ」

 3人とも荒ぶっていた。そしてスッキリとした顔をした。だよな?溜めるのは良くない。



 そう言ったら双子の目がキラキラした。

「溜めるのはダメ」「良くない」

「「発散する!」」

 そのまま仮想じいちゃんちに連れ込まれた…。口は災いの元。




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