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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第2章 王立学院

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125.カミール商会

 要するに、冒険者としてガツガツ働かなくともまぁまぁな給料が貰える。

 とはいえ、体を動かすのはやっぱり好きだ。なので、王都でも依頼を受けている。


 子供たちはリュカとイナリが乳母として育ててくれたから、昼間は預けている。

 学院から帰ると俺がそばで見る。ルキとロキは戻っていない時があるので、子供の面倒を見ながら料理を作る。


 ベルシティの屋敷には数人の使用人がいるだけで、ヒルガもタウロスも今は王都の屋敷に来ている。

 小さめの屋敷だったから、人が増えるのに合わせて増築した。なんせ敷地は広かったからな。


 リクは走りたいし、イナリとコハクも子供を走らせたい。もかもかの子キツネは本当に可愛くて子供たちも大好きだ。

 それでもやっぱりそばにいてやれない時間が長いので、セイとも相談して、繰り上げて卒業することにした。


 王立学院は単に学びの場ではなくて、出会いや人脈を作る場でもあった。だからスキップ制度が無かったのだ。

 提案されたことはあったものの、重要性がなくて流れていたそれをまた提案した。


 理由はレオやブラン、そして俺。明らかに学院で教わることはすでに知っている。

 敢えて言うなら実技が不足なんだが、調査のためにラウラリアダンジョンに何度も入っていたレオたちも実力はあり、不要だった。


 それならば、拘束される時間が勿体無いと王族からも検討するよう打診があり、再検討された。

 その結果、認められたのだ。


 ただ、飛ばせるのは最終学年のみ。で、もちろんだが試験がある。後は理由がある生徒のみ。

 王族はもちろん、仕事があるから。俺?俺も仕事があるから。なんせ商会の開発担当だからな。


 クリスたちも認められた。理由は俺と同じ。彼らは冒険者としてもCランクパーティーになっている。

 クリスは当たり前だが、何でもできる。具現化は自分にもあらゆる事を具現化させられるから。


 トーカは相手の意図や攻撃を全て読めるから、クリスによって具現化された魔法の腕と剣の腕で無双出来る。そしてリグは回復担当だ。

 と言うか、もっともエゲツない。


 回復力の高い魔獣を、ケガした状態に回帰させるから。いや、使い所ではあるんだがな。

 で、パーティーは3人と少ないながらも安定している。たまにリクたちを連れて行ったら実力はBランクパーティーも真っ青だったりする。

 俺の護衛も兼ねているからな。


 って事で、あと一年と少しは学院に通いながら商会で働き、子育てもしてと言う生活を送ることになった。


 カミール商会では食品の開発は商売にしていなかった。人に広めなくとも、俺が作れるしタウロスもいるからな。しかし、そろそろ手軽に持ち運びできる携帯食は広めてもいいかもしれない。

 そこでセイとルキとロキにリヴ兄様も集まって会議だ。


「今度は何をやらかしたんだ?」

 酷い言われようだ。確かにリヴ兄様には迷惑を掛けている。自覚はある。ほんの少しな。

 旅の途中で鍋料理をしていて、通り過ぎる人の注目を集めた。なんせ土鍋だからな。


 あまりにも話しかけられるので、ついベルナ商会で販売予定と言ったら、問い合わせが殺到。で、ベルから何事だとリヴ兄様に連絡が来て

「早く言わないか!ほら、登録だ。販売個数と…値段も決めて。ベルにも…あぁ、全く」

 なんて事が何度かあった。


 だってな、カミール商会は小売りしてないし?

 子供が持ってたリクの縫いぐるみなんかもやっぱりおばさんに話しかけられて、怖いからシュプール商会で…と言ったらハンナお母様が飛んで来た。


 なので、リヴ兄様が警戒するのも頷ける。しかし、今回はやらかす前だ!ドヤッ

「まだだ!」

 何故かため息を吐かれた。


「で?ものは?」

 俺は粉を出した。そう、粉を。

 皆が見つめる。

「粉?」

「粉だな、2種類作った」


 俺は魔道コンロを取り出して、ボウルにビックバード(リクが好きで取ってくるのでやたらと溜まる)のもも肉と胸肉を入れた。

 そこに粉と卵を投入して手で揉む。

 そして厚めの鍋に油を注ぎ、熱してから投入。ばちばちといい音がする。

 浮いてきたら、バットに取っておく。胸肉ともも肉は分けて揚げた。


 さらに、ささみをミンチにして整形。例の粉と卵につけたら揚げる。

 キツネ色になったら揚げる。粒マスタードを添える。そう、ナゲットだ。


 みんなの目線が怖い。皿に盛って出すと手が伸びて、あっという間に消えた。

 早くね?俺は自分用に取り分けてあったからそれを食べる。うん、胸肉はあっさり、もも肉はジューシー、ナゲットは食べやすい。

 いわゆる唐揚げ粉だな。自信作だ。


「これは…」

「間違いなく売れるが」

「単価がな…」

「ベルナ商会に任せるか?」

「いや、しかし」

 紛糾した。あれ、そんな感じ?売れる!とかならないの?


「売れすぎるな…」

「限定するか?」

「いや、手軽に携帯食を作るつもりで…」

「美味しすぎる」


 あれれ? 

 自信作なんだけどな、おかしい。保留になった。仕方ないので、任せることにした。しょんぼりだ。

「カスミ、仕方ないよ。美味しすぎる」

「レストランから睨まれる」


 そんなもんか…。何故か双子にいーこいーこされる俺。

「だからね、今日はアレ食べる」

「アレたくさん食べる」

「アレ?」

「さっきのアレ」

「アレ食べる」

 決定なのな。仕方ない。



 って事で順調なカミール商会だ。実はパウンド型とかシフォン型も売ろうとしたら却下された。もう一つ持って行った粉はホットケーキミックス。で、当然のように却下された。


「ダメ、僕たちだけのもの」

「他の人はダメ」

「俺たちだけだろ!」

「他には知らせなくていい」

 却下の理由は自分たちだけが食べたいから。なんだよ、それ。

 フルーツ牛乳バーもパイン串もダメ。


 コヒはベルナ商会に卸した。元からこちらの世界にあったものだし、数を絞ればまぁ問題ない。

 自分たちの分は俺の亜空間で栽培してるから、リグの回帰もあるし枯渇することはない。


 どうやら商売よりも自分たちの食事を優先しているようだ。商会としてそれでいいのか、と思うんだが積み木とブロックが大人気だ。


 しかも、類似品が出てくることは想定済みなので、ブロック一つ一つに焼き印を押してある。

 カミールブランドだからな。類似品はすぐ分かるようにしてある。


 クリスに作らせた魔法印だからだ。これは商標登録した。商標という制度もカミール商会からの提案で出来た。今までもそういう問題があったから、アッサリと受け入れられた。

 第一号がカミール商会のカミールブランド印だ。そのロゴは俺たちの商会しか使えない。


 しかも、シュプール商会が取り扱っているのだが予約制だ。値段が高いのもそうだが、何よりもステイタスだ。

 カミール商会としてはカミールブランドを展開することでかなり儲けが出ている。


 卸しだが、シュプール商会は買取なので取りっぱぐれない。シュプール商会は専属販売先なのでこちらも安定している。


 リヴ兄様にも感謝された。

 カミール商会はパルシェン公爵家の商会だから、もちろんカトレアお母様にも感謝された。ニア兄様も王宮で仕事がやりやすいと喜んでいる。なんでもカミール商会を敵にすると、仕事がやりにくくなるらしい。


 例のインク壺が無くても書けるペンは未だに品薄。持ってるだけでステイタスだし、ニア兄様には特別にまとめた数を個人的に卸した。だからニア兄様の株も上がった。


 商会には卸していないが、上級ポーションを冒険者ギルドに卸している。さらに、調味料はまだ食えない金のない冒険者に人気だ。

 しかも、ケガで冒険者を辞めなくてはいけなかった元冒険者を数人雇った。


 そう、積み木とブロックを作るために。もちろん、人となりはトーカでちゃんと確認した上で。力はあるから人選としてはいいし、彼らも必死だからよく働く。


 他にも孤児院の子に広場での調味料の販売を任せた。売り上げの一部は還元している。まだ登録したての冒険者の子供と一緒に売っている。


 それがきっかけで、レストランに採用された孤児もいる。計算ができて接客が出来るからな。広場の店で働くと、自然と計算ができるようになる。顔も売れる。


 こうしてほんの少しだけ社会貢献もしつつ、今日も俺は学院に通っている。





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