49/52
第四十七章 六時間目⑦
それは日本刀だった。
「珍しいだろう?緑色をした刀なんざ。着色とかしてないんだぜ」
俺の首筋にその日本刀を押し当てたヤツは自慢そうにいった。
この声は…
「A…」
「覚えてくれていた様だな」
最後の最後で…コイツに…嫌だ。
逃げ出そうと思ったが、この少年が出す何かの力が、俺を包み込んで逃がさない…そんな気がした。
本当にここまでか…そう思った時、Aはポケットから何かを取り出して、俺の目の前に差し出した。
十円玉だった。
「フェアじゃない勝負は俺は大嫌いなんでね…こうしようじゃないか。
コイントスを一回行う。
表の面が出たらお前…いや、お前達の勝ち。家にお前を返してやる。
だが、裏の面が出たら俺達の勝ち。俺はお前を殺す…どうだ?」
何故、非道の限りを尽くしたAがいきなりこんな事をするのか、理解不能だったのだが、もう俺にはこれしか生き残る術はない。
俺は黙って頷いた。
「残り時間も少ない…さっさと投げさせてもらう。お前らは何も手を出すなよ!」
見ると、しげみをAの仲間達が取り囲んでいた。気付かなかった…
「いくぞ」
そういって彼は、十円玉を上に投げた。
周りの連中も黙って見守る。
十円玉は、クルクルと宙を舞って…
チャリン…
地面に落ちた。




