第四十五章 服部正
服部正は周りを見渡しながらブラブラと外を歩き回っていた。
服部は冥王小学校の五年生…だが、本当は彼はこの学校にいてはならない人間なのだ。と、いうのも、かれは五年前の入試試験の際、左右、前方の受験者の答案を写してこの学校に入ったのだ。
彼は生まれながら、相当の運の良さを持っていた。
テストでのカンニングや、万引き等を繰り返しても、けしてばれる事はなかった。
この世は運が全てだ。
今回の惨劇も、ほとんど連中に出会う事もなかった。もし出会ってしまっても、周りに他の冥王小学校の生徒を標的にしていたので、今に至るまで彼は掠り傷一つつける事はなかった。
今度は…体育館辺りにいってみるか…
全てが始まった場所で、ヤツらの考えついたゲームを終わらせるのも、気分がいい。
彼は足を速めた。
血溜まりがピチャピチャと音を立てる。
服部は腕時計を見た。
早いものだ…ゲーム終了まで、残り十分…
彼が体育館に着いた時、突然服部の体に、誰かがぶつかった。体がよろける。
ヤツらか…!?
そう思ったのは一瞬だった。
生徒か…
冥王小学校の男子生徒(三堂一郎)だった。彼よりも年上だろう。その生徒はグチョグチョになった死体に突っ込んでいた。
「気をつけろ。カス」
服部はそういって、男子生徒をのつま先で小突くと、その男子生徒が出てきたと思われる体育館の裏口の扉に、吸い寄せられる様に入っていった。
体育館の中は思ったより騒がしかった。SCYのメンバーが数人、さっきの男子生徒を追って入ってきたからである。
「そっちにはいたか!?」
「いや~、いないよ~♪」
「三堂一郎め!俺様がこの手で肉の塊にしてやる!」
「さっきはよくも投げ飛ばしあがって…」
これは…ヤバイ…
服部はステージのカーテンからこっそりと様子を窺い、入ってきた裏口から出ようとしたが、もう手遅れだった…
「ぐふ!」
細いワイヤーが後ろからまわってきて、彼の首を締めつけたのだ。
「あ…あ…」
彼の体はどんどん上に上がっていく…
何故…どうしてここまで来て…
最初で最後に運に見放された服部正が最後に見たものは、
天井の鉄骨の上で微笑を浮かべながらワイヤーを引き上げている、青みのがかった髪の毛をした少年(m)の姿だった…




