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第三十五章 五時間目④

 最初の頃、俺達は散らばっている血や肉片、死体をふまない様に歩いていたが、もうここまでくれば、それすらできない位に酷くなっていた。


 今日子は俺の手を握り締めたまま、死体等を見ない様に目を伏せていた。


 臓器が飛び出した死体を見ても、今の俺はもう、吐き気が込み上げてこなかった。その変わり、さっきの今日子の話を聞いて、ヤツらに対する怒りと憎しみが込み上げてきた。


 俺達は階段を上がり二階を歩いていると、またもや矢が俺の顔をかすった。俺は矢の飛んできた方を見ると、少し離れた所に、三時間目に出くわした、弓を扱う少女が立っていた。


「さがれ!今日子!」


 俺はそれだけを言うと、少女に突進していった。


 ろくに人を射れないんだ。俺がこうしても別に大丈夫だろう。


 少女はいきなり突進してくる俺に驚いたのか、筒から新たな矢を引き抜くと、弓に引き抜いた矢を込めて、俺に対して狙いを定めた。


 手は緊張しているのか、それとも俺を恐れているのか、ガタガタとかなり震えている。


 ピュッ!


 風を切る音がして、矢が放たれた。


 馬鹿め…


 放たれた矢は今度は俺にかすりもせず、別の方向に飛んでいった。


 矢を放った時、おびえた様に少女の顔がサッと青ざめたが、俺はほとんど気にも留めず、少女に殴りかかった。


 ボコッ…


 廊下に鈍い音が響く。


「ぎゅう…」


 少女は殴られた顔を抑え、二、三歩下がると、バッタリとその場に倒れた。


「本当にコイツはこれでも犯罪者なのか?」


 俺はすっかり床に伸びてしまっている、少女をチラリと見た。


「さて…今日子…」


 俺はクルリと後ろを向いて、今日子の方を向いた。

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