第三十章 五時間目①
「さて…いくか…」
五時間目の始まりのチャイムが鳴って俺達はスッと立ち上がった。
「どこにいく?」
「五時間目は外を中心に行動してみないか?」
別に外で過ごす理由なんてなかったが、その方が何となく安心だと思ったからである。
「中庭は血でドロドロになっているだろうから、アスファルトやコンクリートで加工されている所を中心に逃げていこう」
「貴様ら二時間目の時はよくもやってくれたな…」
後ろの方で声がしたかと思うと、そこには二時間目に俺が箒を目の機械にぶつけた少年だった。
「二時間目の時みたいにいかない事を教えてやる…」
少年は自身の背丈ほどものあるオノをかまえた。
「にげ…」
俺がそういう前に、またどこからか足音が聞こえてきた。
「あら、まだ隠れてないで外を行動している人がいたなんて…」
今度はブロンドの髪をした眼鏡をかけた少女だった。十中八九コイツもSCYだろう。
「Cか、何しにきた」
自分の獲物が取られると思ったのか、少年は少し苛立った様子で尋ねる。
「別に、実際にやるのも勉強でしょうけど、見るのも勉強でしょう?」
「それじゃあ俺の腕をその目に焼き付けるんだな!」
少年はそう叫んで俺達に飛びかかった。標的に選ばれたのは…俺だった。
「Eが帰ってくるまで俺は【暗闇】という名の恐怖をさまよい続けたんだ!お前にもその恐怖を教えてやるぜ!三堂一郎!!」
俺は少年のオノを避けると、箒をヤツの目に突き出した。
「何度も同じ手が効くかっ!」
少年は顔をグッと横にずらして避けるともういっぽうの手で箒をはたき落とした。箒が地面を滑る。
「フラッ!」
俺は少年のオノを紙一重で避けた。
「今度こそ死ぬがいい!」
少年はオノを置き、今度は小型のオノを二つ取り出した。なぜ…重たいオノは使いにくいと判断したのか?それとも…
「投げる気なのか!?」
「…勘がいいようで…」
パワーはあるが、一つ一つの動作が遅い大きなオノなら何とか避けられるが、さすがに高速で飛んでくるオノをかわす自信はなかった。
「今度こそ終わりだ。三堂一郎!」
少年が二つ同時に手からオノを俺に向けて投げつけた。
ここまでかよ…
俺はギュッと目をつぶった。
ドスッ…
そんな音がして、俺の顔や服に、なにか生暖かい物が降り注いだ。




