第二十八章 昼休み②
今度は俺達は運動場の中へ入った。
今日子や先生は死体の山の中へは入りたくないと言っていたが、俺はもしかしたらケガを負っているだけであって、もしかしたら生きているヤツが何人かいるかもしれない。そう考えたわけである。
だが、その思いも空しく、この運動上で倒れているヤツで、生きているヤツは一人もいなかった。
「私達はもうでるよ。この運動上から」
俺はもう少し生きているヤツがいないかどうか調べてみる事にした。
だが、十分程調べてみても、生きているヤツは一人もいなかった。
大量の死体の臭いでさすがに気分が悪くなった俺が、運動場の中から出ようとした時、
「おい、ちょっと君!」
男性がフェンス越しで俺を呼んでいた。
一つ一つしっかりと惨殺された死体を見てきたので、気分の悪くなった俺はあまり人と話したくなかったが、無視する訳にはいかないので、俺はその男性の話しを聞く事にした。
「…何ですか?」
「あ…もしかして三堂一郎君ですか?私は柴藤あゆみの父ですけども」
俺は男性のその言葉を聞いて思い出した。たしかこの人は授業参観でも何度か見た事がある。たしか柴藤あゆみの父親の柴藤武さんだ。
「すみませんが、娘を知りませんか?」
「そういえば…ほとんど冥王小学校の生徒はほとんど見ていませんね」
おそらく皆どこかに隠れているのだろうが、今思えば変な所に隠れるより、堂々と外を行動した方が俺はいいと思う。
柴藤さんはそれを聞いて一瞬暗い顔になったが、すぐににっこりと笑ってみせた。
「そうですか、わざわざ大変な所をお止めしてすみませんでした」
「ああ…別にいいんですよ」
俺はそう言ってフェンスから離れた。
おそらく、あの人の心は娘の事で潰されかけてしまっているのだろう。
俺は今日子と先生に落ち合うと、近くにあったベンチに腰掛けた。
「警察は外でなにやってんだろうな?」
先生がフェンスの外でピカピカと赤いサイレンを放っているパトカーを睨みつけた。




