第二十六章 奥村昭平
これでいい…
奥村昭平は三人が外に出たのを見ると、バッとやって来たSCYメンバーの方向を向いた。
「拳銃女を合わせて五人って所か…」
奥村はナイフを取り出し構えると、素早く下駄箱によじ上った。
「上だ!」
バンッ!バンッ!と、弾が連射され、下駄箱に使われている木材が弾け飛ぶ。
「ハッ!よっと!」
奥村は次々と下駄箱を飛び越えると、一番横にある、下駄箱と下駄箱の間に飛び込んだ。
「挟み撃ちだ!」
その言葉と同時に、奥村の左右をSCYのメンバーとbが塞いだ。
出来ればコイツは使いたくなかったが…
奥村はナイフを思いっきりbに投げた。
「キャア!」
鋭いナイフの刃がbの拳銃を持っている腕に突き刺さった。
ゴトリと拳銃が落ちると奥村は素早く拳銃を拾い、bのこめかみに銃口を突き付けた。
「こい…」
奥村はbの耳元でそう囁くと、銃口をこめかみに突きつけたままbを連れて歩きだした。ヌメヌメした生暖かい血が奥村の手を濡らす。
奥村は壁に背をつけた。
「貴様らさっさと失せろ。でないとコイツの頭を吹き飛ばすぞ」
奥村がそういうと、そこらにいたメンバーが全員立ち止まった。おそらく奥村の言う通りにするかしないか迷っているのだろう。
よし…このままコイツらが消えて…
ドスッ…
「は?」
自身の胸から鋭い痛みが走ったかと思うと、体中から力が抜けて行き、バタリと奥村は床に倒れてしまった。
周りの景色が霞む…
奥村昭平が絶命したのを悟ると、ある人物が教室から出てきた。
「助けてくれてありがとう…A」
「なあに、ただ単に俺はコンクリートの壁を刀で突き刺しただけさ」
そう言ってハンカチで日本刀の血を拭うと、パチンと鞘に収めた。
「それにしても…」
Aが奥村に目をやった。
「あの連中以外でこういったのをやったのはコイツが初めてだろうな」
「おい…お前、腕は大丈夫か…?」
タラタラと血が垂れているbの腕を見て、mが言った。
「ありがとう。平気、掠り傷程度だから」
そう言って奥村の手から拳銃を捥ぎ取った。
「しかし、コイツみたいなのはコイツだけじゃないかもしれないな」
ポツリとAが呟いたため、その場にいたSCYのメンバー全員が彼の方を見た。
「………なあに、気にするな。いずれこの世を破滅に導く偉大なる犯罪者の卵の勘だ」
そう言ってAは仲間に背を向けて歩いて行った。
「…俺達も行くか…」
メンバーの一人がそう言うと、彼らはまた作業に戻るのであった。




