第二十三章 七瀬智子
フウッ…
七瀬智子とその弟は運動場のすみのしげみに隠れていた。
二人はさっき父親とフェンスごしだが、会話ができて心が落ち着いていた。
七瀬姉弟は冥王小学校でも有名な仲のよい姉弟だった。
登校、下校をする時はいつもお互いの手をつないでいた。
もしも弟がイジメッ子にいじめられる事があれば、智子はイジメッ子と弟の間に入り、弟をイジメッ子から守った。
なぜ、お前は弟を守るのか?と、彼女はよく人に聞かれる。
それは、母親との約束を守るためだった。
彼女達の母親は智子が五歳の時にガンでこの世を去った。
その母親が死ぬ間際にいった彼女への一言が智子が弟を守りぬくきっかけとなった。
「お母さんの代わりにあなたがあの子のお母さんになってあげなさい…」
その日以来、彼女は母親の様に弟に接すようになった。
今だって、弟に惨殺された生徒達の死体を見せまいと手で弟の目をふさいでいた。
「おねえちゃん…」
弟の口から低い震えた声が出てきた。
「大丈夫、怖くないから、おねえちゃんが守ってあげるから…」
そういう智子も本当は泣きたくなるほど怖かった。
一体今日で何人が目の前で死んで言ったか…
「…いこう…」
ここで隠れていてもいずれは見つかってしまうと考えた彼女は弟を立たせてしげみからでた。
「できるだけ目立たないようにいこう」
「ウン」
二人は小さく身をかがめて死体が散らばっている運動場を歩き始めた。
「早く学校の中に入ろうよ…」
「そうだね」
弟にいわれて、智子は足を速めたその時、二人はガクッとうつぶせに倒れた。
な…なに?
するとだんだん足が熱くなってきたので、二人は熱くなってきた足を見た。
「……………!」
ショックで声が出なかった。
二人の両足は血を噴出しながら地面に転がっていたのだ。
「四時間目において大復活だぜ~!」
ショック状態にある二人の目の前に、血がついたオノを持った少年(P)が近寄ってきた。
「まずこっちを殺ろうか…」
少年はオノを智子の弟に向けた。
「やめて!」
智子は少年の攻撃から弟を守ろうとするも足が無くなっているので飛び掛る事も出来なかった。
「……………!」
弟は悲鳴を上げる間も無く、少年のオノで頭から真っ二つに裂かれた。
「さて…」
少年は舌でオノについた血をベロッとなめて、智子の方に歩みよった。
私は母さんとの約束を守れなかった…
少年がオノを振り上げる。
ゴメンね…
ザシュ!
「もしもあの時、お前達があのしげみから出なかったら、お前達は最後まで生き残れたかもしれないぜ」
彼はそう言うと、幼い姉弟の死体を残して立ち去った。




