第二十章 三時間目④
「三時間目終了まであと十分…」
浩二が死んでこの校舎に入った時から今まで、いろんなヤツに追われてきた。
ワイヤーを使う少年…
巨大なブーメランを使う少女…
思えばここまで生きれるヤツの方がおかしく、一、二時間目で死ぬヤツの方が正常なのかもしれない。
「そろそろいくか…」
先生がそういったので、俺達が再び歩き出そうとした瞬間だった。
ビュ!
俺の顔の横を何かがかすっていった。
それは垂直に壁に突き刺さった。
それは…矢だった…
「大丈夫か!?」
奥村と先生、今日子が慌てて俺に駆け寄ってくれた。
「もー!アンタなにやってんのよ!」
ゴンッ、という音と高い少女の声が俺の耳に入ってきた。
「アンタ、やろうと思えば頭を打ちぬけたでしょ!」
「ごめん…ちょっと…手が震えて…」
その声がしている方を見ると、頭を押さえている髪の長い半泣き状態の少女と、バットを持ったいかにも凶悪そうな目をした少女がいた。
「アンタこれだから皆から冷たい目で見られてんのよ…まあ、私がお手本を見せてあげるからちゃんと見てなさい!」
少女はそういうと、両手にバットをもって俺達の方に走り出した。
「逃げろ!」
先生が叫び、走り出したので俺達もその後に続いた。
「逃がすか!」
少女はそう叫ぶが、足の速さでいけば俺達の方が上だ。
「散らばって逃げた方がいいんじゃありません!?」
とっさの思いつきだったが、逃げるのには効率がいいと思った俺は、皆にいった。
「そうと決まれば…」
俺達はバッと違ういろいろな方向に走り出した。
「クッ!…アイツ…」
バットをもった少女は俺に標準を定めたらしく、俺の方に走ってきた。
殺されて溜まるものか!
それだけを信念に俺はひたすら走り続けた。
俺が階段を下りても少女は俺を追い続ける。
どうにかしてアイツをまく方法はないものか…
そう思った時、近くの教室の扉が開き、一年生位と思われる冥王小学校の男子生徒が出てきた。
その男子生徒も少女が来るのに気付いたらしく、俺と同じ方向を走り出した。
俺は男子生徒を追い抜き、とにかく走り続けた。
走らなければ死ぬ、殺される!
後ろでさっき追い抜いた男子生徒のものかと思われる絶叫が聞こえてきた。少女に追いつかれてまったのだろう。
よし!これでしばらくヤツは時間を取られるぞ!
そして俺は、少女の視界から消えた。




