第十八章 三時間目③
「う…う…」
俺の後ろで今日子がすすり泣きをする。
「おい、もう泣くのはやめろ、またアイツらが気づく」
奥村がキョロキョロと辺りを見渡しながら言った。
「泣かしてやれよ、奥村」
本当は俺も泣きたかった。だが、こんな時に泣く訳にはにはいかなかった。泣くのは六時間目が終わって、アイツらとのこの腐れゲームに勝った時だ。
「おい、誰か来たぞ!」
奥村が小声で俺達に伝えた。
「アイツらか…?」
俺は奥村の様に顔を伸ばして辺りを見渡して様子をうかがった。
「あっ!」
この三時間目の始まりで別れた、大崎先生だった。
先生も俺達の姿を認めると、俺達の方向へ走りだした。
「よかった、無事で」
俺は今日子を立たせると、先生の所へ向かった。
「おお、君達、無事だったか」
先生は笑った。明らかに作り笑いというのが分かる。
あれ…?
そういえば…舟原先生は…一緒にいたんじゃなかったのか…?
「舟原先生は、どうしたんですか?」
今日子がしゃっくり混じりの声で先生に聞いた。先生はそれを聞くと、はあ~と大きな溜息をついた。
やっぱり…
「…ああ、すまない、それにしても、中島君はどうしたんだ?」
俺と今日子がガックリと頭を下げたので、先生は俺達がなにを伝えたかったのかが分かったようなので、それ以上は浩二について聞いてこなかった。
「あの…やっぱり私達と一緒にいきません?やっぱりその方が安全でしょうし…」
今日子がそう先生にいった。
だが浩二は皆と一緒にいたが、それでも死んだ。
「…それじゃいくか…」
先生はそういうと、歩き始めた。どうやら自分が俺達の先頭をいくらしい。
「先生!俺が先頭をいきますよ」
奥村が先生の前に出ようとしたが、先生はそれをさせなかった。
「いこう」
俺は今日子の腕を握ると、先にいった二人の後を追った。
俺達四人は校舎の裏口の前に立った。
「開けるぞ」
先生はポケットから鍵を取り出すと、扉の穴に突き刺して回した。
カチャ
小さな金属音が静寂した空気の中に響きわたる。
「…よし…」
俺達は深呼吸をすると、死体の多くなった校舎内へと足を踏み入れるのだった。




