表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/52

第十六章 三時間目②

 俺達は体育館裏の目立たない場所で奥村の治療(応急処置)にあたっていた。


「大丈夫?」


 今日子がハンカチで奥村の出血している手を押さえた。


「だいぶ出血は収まったようだから、そろそろいった方がいいんじゃないのか?」


 浩二がそう言った瞬間、右の方からコツコツと足音がした。


「おい、この足音、こっちに向かってるぞ」


 俺達は急いで箒とナイフを構えた。


「お願いだから、生徒でいてね…」


 今日子が呟いた。俺もそうであってもらいたい…


 すぐにその足音が誰の物か分かった。


「なんだ生徒か…」


 たしかに冥王小学校の男子生徒であった。おそらく五年生くらいだろう。だが、なんとなく様子がおかしい。足取りはふらつき、まるでゾンビみたいだ。


「おい、どうしたんだ?」


 俺は試しにその生徒を呼んでみた。すると突然、その生徒がバタリとその場に倒れた。


「キヤァァァァァ!」


 俺も今日子のように叫びたかったが、恐ろしさの余り、声が出なかった。


 男子生徒の背中は、刃物か何かでメッタ切りにされていて、陰でよく見えなかったが、腸が脇腹から飛び出ていた。


 すると、男子生徒が出てきた所から、日本刀を持ったヤツが出てきた。


 顔が不気味に白い。いや、顔を白いマスクで覆っているのだ。


「オヤ、コンナトコロニモセイトガイタノネ…」


 声からして女のようだが、俺達の命を狙う殺人者には変わりはない。


「逃げるぞ!」


 俺はそう叫んできた道を戻ろうとした。


「さっきはまんまと逃げ出しあがって…」


 俺の前にさっきまいた奥村の手をすっ飛ばした少年二人が現れた。


「クソッ!」


 俺達は挟み撃ちにされてしまったのだ。


「どうすれはいいの…」


「ドウシヨウモコウシヨウモナイデショ」


「黙れ!」


 右には日本刀を持った少女、左には人の腕を軽くふっ飛ばしきれる少年二人…もう終わりか…


「うらあああああ!!」


「浩二!」


 浩二が俺の脇を通って、二人の少年に向かって走り出した。


「くらえ!」


 浩二が少年一人の顔面を拳でぶん殴った。


「ぎゃあ!」


 浩二に殴られた少年は、空いている手で顔を押さえた。


 浩二は振り向いて俺達に小声で叫んだ。


「コイツらは俺が食い止めるから、お前らは逃げろ!」


 どうやら浩二は自分が囮になって俺達を逃がす作戦らしい。


「いくぞ!」


 俺と今日子、奥村は少女の脇を通り抜けようとした。


「ニガサナイ」


 少女が日本刀を振り上げたその時、少女の体が宙を飛んだ。浩二が足で少女の顔(顎)を蹴り上げたのだ。


「俺が相手になってやるぜ!このゴムマスク!」


 浩二が少女の腹を蹴り上げようとした時、竹ヤリを持った少年が後ろから浩二の腹を思いっきり突き刺した。


「中島君!!」


 今日子が叫んだ。


「ぐ…ぐあああああああああぁぁぁ!!!」


 浩二は口から血を嘔吐しながら少年の首根っこを引っつかんだ。


「浩二!」


 俺は浩二のもとへ行こうとした。


「くるな!バカ!」


 俺に対して浩二がそう叫んだ瞬間、浩二の背中から血が思いっきり噴出した。少女が日本刀で浩二の背中をぶった切ったのだ。


「ドウヤラアナタハワタシタチヲオコラセタヨウネ…」


 その場にぶっ倒れた浩二の首を切りつけた。


「死ね!」


 パチンコの少年が弾を浩二の頭に飛ばした。


 浩二の頭がはじけ飛び、赤い血と黄色い脳みそがあたりに飛び散った。


 浩二は死んだ。


「いくぞ!三堂!」


 奥村の声で俺達は走り出した。


 俺は走る途中、浩二の死体をチラリと見た。


 死んでいるのにもかかわらず、三人は問答無用に浩二の死体を切り刻んでいく。


「さよなら、浩二…」


 そういえば浩二は俺にとって、初めての友達だった。そう、あの一年生の九月の日のまだ残暑が厳しい時の事だった…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ