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第十四章 三時間目①

「どこにいこうか」


 廊下を歩いていると、今日子が言った。


「どこだろうな…」


 移動ができる範囲はこの学校の狭い敷地内だけだ。


「六時間目まで気合を入れていこうぜ!」


 浩二が数十センチ飛び上がった。


「まあ…どこにもいかないのなら、外にでもいこうか…」


 奥村の提案で、俺達は玄関から外に出た。目の前を生徒達がチョロチョロと走りまわる。


「俺達ほどまだ元気がある生徒達は一体何人いるんだろうな」


「はははっ」


 こんな状況だが、だいぶ俺達は落ち着いてきた。


「おい」


 奥村が遠くを指差した。


「だいぶ野次馬が集まってきたようだな」


「ほ…本当だ!」


 学校の外にはちらほらと人が集まり始めたようだ。


「休み時間にあそこにいってみよう」


「ああ」


「貴様ら~」


 二時間目の最初に、奥村に倒された少年二人がいた。


「おっ、お前らか」


 奥村は一回倒したので、完全になめきった口調だ。


「今度は絶対に負けないぞ」


「ヘッ」


 奥村は中指をピンと立てて、二人に向かって突き出した。バカッ!!挑発なんかするな!!


「ふん…貴様らなんかにこんな代物を使いたくなかったが…」


 少年達はポケットからなにかを取り出した。


「注射器か…?」


 浩二がボソリと呟いた。


「注射器…たしかにそうだが、この中に入っているコイツに注目してほしかったな」


 たしかに、この注射器の中に入っている赤い液体状の薬のような物が入っているが、それがなんだと言うのだ。


「コイツはSCYの科学部が特別に作り出した、通称、【Daemonblood】と呼ばれている薬さ。

 コイツを体に投与すると約二十四時間、悪魔のような強さを手に入れられるのさ!」


「……………」


 ここまで見えすぎた嘘がこの世にあるとは…俺達は絶句して声を失った。


「あまりのすごさに声も出ないか?」


 二人はそう言うと、注射器の針を自分達の腕に突き刺した。今日子が目を逸らす。彼女は注射が苦手らしい。


 二人は空の注射器を地面に落とすと、それぞれの武器を構えた。


「いくぞ!」


 一人がパチンコの弾を飛ばした。


「大丈夫、どうせ当たっても大したダメージは…」


 グシャ…


「…今…なにが起きた…?」


 奥村が俺達に聞いた。


「キャアアアァァァァ!」


 今日子が奥村を見て大きな悲鳴を上げる。


「お前…手が…」


 そう、奥村の左腕の手首が無くなって、血がポタポタと流れていたからである。その無くなった奥村の手は、粉々に飛び散って、辺りを赤く染めていた。


「どうだ!!【Daemonblood】の威力は!!」


 奥村の手をすっ飛ばしたパチンコを持った少年がハハハハハと、高々に笑い声を上げた。


「さーて…今度は右腕をいくか…」


 少年が三つくらいの弾をいっきにパチンコに込めた。


「逃げるぞ!」


 俺達はそうさ叫んで、近くのしげみに飛び込んだ。やはりしげみの中も、肉片や服の切れ端が散乱していた。


「逃がすか!!」


 パチンコの弾が飛んできて、木の幹や草の葉を吹き飛ばす。


 ようやくしげみから出た俺達は、フウッと息を吐いた。


「血が…」


 奥村の手から出ている血が地面を赤く染める。


「早く…早く出血を止めないと!」


 たしかに、このままだと大量出血で死んでしまう。


「どこか人がいない所にいって休もう」


 そういう事で、俺達はまた走り出した。

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