第十二章 P
Pは闇の中でおろおろとしていた。
Pの目は数年前、とあるライバル組織のメンバーとやり合った時に両目とも潰されてしまったのだ。目の見えなくなった彼は、自分の貯金を全部はたいてこの機械を買っだ。(もちろん裏の世界で買った)
この機械は目の神経を繋げて、見えるようにするといった、言わば(人工の目)といった所だろう。この機械は防水などにも優れているのだが、何よりも相当すごい機能が隠されている。その機能とは、戸籍などに登録されていれば、その人物の名前が見られるというすごい機能が付いているのだ。なので、奈緒美や一郎達の名前が一瞬で分かったのもこのためである。
だが、このすばらしい機械にも、一つだけ欠点があるのだ。
それは、非常にもろく、ちょっとした衝撃だけで壊れてしまうのだ。
「…どうしよう…」
Pが途方にくれていると、遠くの方で足音がした。
「SCYの人間でいてくれよな…」
Pが呟いた時、向こうの方から声を掛けてくれた。
「おっ!Pじゃなか。どうしたんだ?こんな所で」
よかった…
彼に声を掛けてくれたのはeであった。彼は爆弾作りが得意だが、機械などを扱うのも、大の得意なのである。
コイツがいれば俺の目を直してくれる!Pはそう思った。
「丁度よかった!実はちょっとヘマをおかしてな…」
「ヘマ?」
「そうだ!だからこの目を直してくれないか」
Pは壊れた機械を指差した。
「…P…悪いけど俺今、直す道具持ってないぞ」
Pはガーンと頭を殴られたような感じがした。
「それにな、仮に道具を持ってたとしても、俺にはこの機械を直す事はできない。それ専門の知識を持ったヤツじゃないと直せないだろう」
eはポンとPの肩に手を置いた。
「よし、俺が責任を持ってお前を隠れ家に連れて行ってやる。あそこなら、お前の代わりのヤツが数人るだろう」
Pにもし本物の目があったのなら、彼は悔しさの余り、涙を流していただろう。
「いくぞ、P」
Pは手をeに握られ、暗闇の中を歩き出した。
おのれ…三堂一郎…
訓練された犯罪者にとって、高い電流の流れるフェンスを誰にも見つかる事無く上る事はけして難しいものではなかった。
Pはeに連れられ、冥王小学校から少し離れた隠れ家にきた。
隠れ家というのは、今回の計画のため、Aが頑張って借りた狭いアパートの一室だった。
「入るぞ」
eは一言声を掛けて、部屋の扉を開けた。
「なんだ、お前しかいないのか」
目の見えなくなっているPには、誰がいるのか分からなかったが、どうやら一人しかいないらしい。
「ほかの皆はどうした?」
「スコシハヤメノチュウショクヲタベニイッタケド」
言葉が片言の少女の声がPの耳に入ってきた。aか…
「そうか、ならお前に頼むか」
「エッ?」
暗いaの声が一瞬明るくなった。
「いや、実はな、Pの目がちょっと壊れてな」
「ソウナノ、カワイソウ」
「P、もしEのヤツが帰ってきたら、目の修復を頼んでみろ。アイツなら直せるかもしれない」
「…分かった」
「いくぞ、a」
二人がいってしまうと、薄暗い部屋には目の見えないPが取り残された。
「暇だな…」




