第十章 鹿塚奈緒美
「ったく…なんだったのよアイツら…」
一郎達から離れた鹿塚奈緒美は可愛い顔には似合わない言葉を呟きながら中庭を歩いていた。
奈緒美は年収五百億もの会社の社長の娘だった。
奈緒美は物心ついた時から父親や母親から金の使い道などを教わってきたので奈緒美はいつしか、「金さえあれば何でもできる!」と思うようになっていった。事実、彼女の人生は金メインだった。奈緒美が二年生の時、一年生の子をケガさせた時、奈緒美がポケットから十万円の小切手を出してその子の親に渡したら、すぐに許してもらえた。
ちなみにさっき、一郎達の父親の職業を聞いたのは、家柄を調べるためであった。奈緒美は貧乏な人間や、その家族と付き合ったら、貧乏がうつると思っていたのである。(なので一郎もダメだったのだろう)
好きな服やゲームを手に入れられるのも金!病気やケガを治せるのも金!!自分の犯した犯罪をもみ消せるのも金!!!
金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金………
「くっ…くっ…くっ…」
金の事を考えると口から笑みがこぼれる。だがその笑みもすぐに消えた。気づけば彼女の周囲は惨殺された死体だらけになっていたのだ。
胸に小型の斧が突き刺さっている死体。
両足と両腕を切断されて、身動きがとれない状態で、なにかにメッタ刺しにされた死体。
グチャグチャのミンチにされた死体…
「美しいだろう?」
突然、奈緒美の後で低い声がした。
「だ…誰…」
奈緒美は震えながら振り向いた。
「………!!!」
奈緒美は恐怖のあまり、悲鳴を上げる事が出来なかった。
奈緒美の後ろにいた少年(P)の目がある部分には、なにやら不気味な機械のような物が張り付いており、手には血がベッタリと付いた斧が握られていた。
「俺が初めて作品を作ったのは6歳の時だ。材料になってくれたのは生後間もない赤ん坊と、まだ若いその母親だったよ。二人そろっていい作品になってくれた…」
P1は奈緒美の横をスタスタと歩いた。
「鹿塚奈緒美…か…いい名前だな」
コイツ…何で私の名前を知ってんの?
「作品名は…シンプルに【鹿塚奈緒美】でいいか…」
P1はバッと奈緒美の方を振り向いて斧を振り上げた。
「ま…まって!!」
奈緒美は急いでポケットから十万円の小切手を出した。
「こ…これあげるから、殺さないで!!」
一瞬Pの手が止まったが、すぐに彼は黙って首を横に振る。
「じゃ…じゃあ」
奈緒美は今度は百万円の小切手を取り出した。
「おい…」
Pは呆れたように奈緒美に囁いた。
「金さえあれば何でもできると思ってたら…人間失うぞ」
「きやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
Pの斧の刃が奈緒美の頭の上に落とされた。奈緒美の頭が割れ、黄色い物がビャッと飛び出た。
奈緒美のこの最後の断末魔を一郎達が聞きつけて、この死体だらけの中庭にくるのだった。




